2018.10.24
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カテゴリ: 読書

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彼女はもどらない (宝島社文庫 このミス大賞) [ 降田天 ]
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 先日、

『スマホを落としただけなのに』というびっくりタイトルの本を

検索していたら引っかかってきたのがこの本。

降田天 『彼女はもどらない』

なんでも「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した作家さんの

受賞後第一作だとか。

私はミステリー好きですが

あまりこの賞には詳しくないので知りませんでした。

amazonで割と高評価だったので

図書館で借りて読みました。



続きが気になってページを繰る手が止まらないタイプの本。

ですが、

登場人物、誰も好きになれない―。

チクチクといやな感じがまとわりついてきて

それでも読んでしまう。

これ、多分、イヤミス??

湊かなえとか最近だと『ルビンの壺が割れた』とか。

 明るい、さわやかな読後感を求めて読むものではないですね。


《あらすじ》


 綾野楓は子供向け雑誌『ヒロイン』の編集者。

ある日、広告の小冊子に書いてあった謳い文句で炎上してしまいます。



目が行き届かなかった、ということで

責任を取らされます。担当を外されるんですね。

その後、舞い込んできた100円均一の素材で

子供用コスプレ衣装を作る親御さんたちについての企画。

その第一人者といわれる「ソラパパ」ブログを知るのですが



懐疑的。

「自己満足では?」「本当に娘さんを愛しているの?」と

うがった見方をします。

ちょうど、クレームで疲れていたこともあり、

つい、「ソラパパ」のブログに批判的な意見を書き込んでしまいます。

それから始まるネットストーカー、

身近に迫る嫌がらせ。

一体、犯人は???




です。




さて、あとは恒例のネタバレを含む感想。

未読の方はご注意下さい。

また、この本はこれくらいのあらすじだけ頭に入れて

読んだ方がいい内容です。

気になっている方はここでやめて下さいね。










************************************









 もともと、独善的でちょっとカリカリしている綾野楓。

夫とセキセイインコのポムとマンションで暮らしています。

子供は「作らない」主義。

有能だけれど自分で「意識高い系」的なSNS発信をしています。

一方、「ソラパパ」こと棚島は

妻が事故(?)で意識不明・寝たきりになっていて

一人娘を遠くで暮らす妹と母親に任せている国家公務員。

ブログを見ていると「娘の衣装作りに頑張っているほのぼのパパ」ですが、

かなりプライドが高く、やられたらやり返すタイプ。

中盤までこの二人のネットバトル、に見えます。

楓は「ソラパパ」とグルメサイトに投稿の「みーパパ」が同一人物だと察し、

それを揶揄する書き込みをします。

一方、棚島は言葉遣いやハンドルネームから

楓の過去日記やSNSを発見。

それを無記名掲示板に曝しあげます。

 その後、楓の周辺に起こる嫌がらせ。

ストーカー?

実際にマンションでゴミが荒らされたり、カラスの死体が出たり。

誰??

そして、楓のもとには時々、

愛人をナイフで刺して服役した母親から電話がかかってきますが、

母親と楓の過去に何が??





こんな感じです。


楓が「ソラパパ」と「みーパパ」を同一人物では、と

突き止めるくだりは理解出来るんです。

結構、日付を追っていけば「あれ?この人どこかで、、、」ってありますから。

でも、棚島が楓の過去日記とSNSを見つけるところ、

こんなにうまく行くかな?と思いました。

実は私は夫が元部下からもらった

「ブログをしているので見て下さい。

これ、アドレスです。」という紙をなくしてしまったために

探したことあるんです。

他人様のブログ。

軽く考えていました。

20代の女性、住んでいる都道府県、ペットの種類と名前、彼女の趣味、

つけそうなハンドルネームが分かっていたんです。

簡単だよね、とタカをくくっていました。

結果 → 無理でした

日本って広い! 人口多い!って初めて思いましたよ。大笑い

まあ、沢山出てきました。

彼女と同じ種類のペット、同じ名前をつけている20代女性のブログが

わんさか。地域を絞っても駄目だったですよ。

なのでこのあたりはうーん、、、、、、でしたね。

(ついでに書きますが、

友人のTwitterを教えてもらったとき、

アカウント名だけだと同じものが山ほどあってこれも駄目。

結局、本人にアカウントアドレスを教えてもらいました。

妹のFacebook、本名だからいいと思ったら同姓同名がこれも何百人。

夫と同姓同名の人はFacebookに何十人もいることが判明しました。)


そして、

実は綾野楓の夫 悟と

棚島が同一人物。

楓は実は妻ではなく「愛人」だったと分かるところは

確かに驚きましたけど、

はあ?????

この物語は30人くらいの村人で構成されているのか?

と思いましたね。

○○の○○が実は○○の○○で、、、、、、が

多すぎ!!!!!!!!!!!!


楓に子供のコスプレ企画を持ち込んだ人が

実は悟の知り合いで

彼の妻 深雪に横恋慕していて、、、、って

うーん、、、。

人間関係、こみ入りすぎ。

小説は現実より「偶然」を減らさなければリアリティがないと言われるんです。

芥川龍之介も言っているでしょ!

彼もミステリー書いているからね。

(谷崎潤一郎などあの頃の作家は探偵小説好きなんです。)

結果、残念なことに

SNSの投稿くらいで人間の全てが分かるわけではない

揶揄されている日記が魂の叫びである場合がある

という重たいテーマがかすんでしまっています。

また、棚島の人物造型、

その妻 深雪のキャラクターなど

今までにないものがあっただけにもったいない印象。

確かに驚かされましたし、

半日で読み終わるほど没頭出来ましたが

なんかなあ、、、、な一冊でした。





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最終更新日  2018.10.25 11:18:37
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