喜久蔵blog

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第三話「背中に鋭利なもの



彼女は僕が完全に記憶を喪失していた二年以上前にチャットを通じて知り合った方なのではないだろうか。

チャットで仲良くなった僕らは実際に会う約束をした。

しかし、僕の記憶喪失という事故で彼女と連絡が途絶え‥

_無論、仮説の域を越えていないが、それが一番考えられる答えだった。


僕は考えをめぐらせていると、いつものゲームセンターに着いていた。

おそらく2階にはいつものメンバーが対戦ゲームをもう始めていることだろう。



「彼女、喜久島がどうたらとかチャットに書いてたな。。。」

今も彼女が住んでるとしたら、午後のフェリーに間に合う。


彼女の言うとおり、喜久島行きのフェリーは午前・午後の二便だけのはずだ。

なぜか僕は喜久島のことをいろいろと知っていた。


僕は彼女にベロニカは記憶喪失である自分のことではないかと伝えるべきか悩んだ。


僕は"ふぅ"とため息をつき、ゲームセンターの脇に植えてある大きな木を見上げる。





その大きな木からはひらひらと木の葉が舞い落ち、僕の額にかかった___














薔薇とベロニカ  第三話「背中に鋭利なもの」











「・・・いいや。ベロニカが僕であるかどうかもわからないし」





僕はゲームセンターの2階に上がり、とりあえずトイレに向かった。



"薔薇の十字架ちゃんかぁ・・・。いや、なかなか可愛い子だったなぁ"



いつものように"鏡を見ず"に手洗い場で顔を洗う。











ぐさり。













"・・・ん・・あぁ"






何が起きたのかわからない。



ただ、背中から冷たい金属が入ってきたと感じた。








"ふぅ・・・な"






背中には何かが刺さっている。





僕は何者かに襟をつかまれ、手洗い場から大便所の方に放り投げられた。





僕はタイルに頭を打ち付けられながら、投げられたほうを見上げた。


そこには身なりのいい長髪の若い男が立っていた。


見覚えがある。


「んぁ・・と・・・ぅ」



父さんの部下の人だ。



若い男はこちらを哀れむように見下ろす。

「俺だって、こんな仕事したくないさ。お前が悪いんだぞ。」


第四話「 - Le sang semble etre vin - 」

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