巨大落石　福となす　熊本地震　ネット販売、お守りに

大きな被害をもたらした熊本地震。２度の震度７に見舞われた熊本県益城町に隣接する御船町でも崖崩れなどが相次ぎ、水越地区では巨大な落石が道をふさぎました。付近住民を困らせた厄介物でしたが、支援者らの発案からお守りや震災記念碑に姿を変え、今では地区の防災力や知名度の向上に貢献しています。住民は「災いが転じて福となった」と話します。
２０１６年４月１４日の前震で、高さ約３・３メートル、周囲約１２メートルの巨大石灰岩が山腹から落ち、農業岩本増喜さん（８４）宅からクリ林へ続く林道をふさぎました。私道のため撤去に自治体の補助は出ず、岩本さんは収入源だったクリの収穫を断念しました。
相談を受けた復興支援を行う団体の河合昌猛さん（４４）＝大分県日田市＝は、巨石を「風神石（かざがみいし）」と命名しネットオークションで売ろうと発案。２４００円で落札した造園業者らがダイナマイトで破砕、１７年５月にようやく撤去されました。

熊本地震で山腹から転がり落ち、林道をふさいだ巨大な石灰岩＝2016年12月、熊本県御船町（河合昌猛さん提供）

落石のかけらの販売収益で建立された震災記念碑（右）と、落石の一部＝2017年12月、熊本県御船町

一連の経緯は地元報道で話題になり、河合さんは破片を再度ネットで販売。「少額だが寄付したい。小さなかけらでいいのでもらえないか」との声も寄せられ、地区の高齢者が古い着物を再利用した袋に小片を入れたお守りも作りました。売り上げはこれまでに計約５０万円に。地元産米とセットで御船町のふるさと納税返礼品にもなりました。
「ほとんどの人は純粋に被災地を支援したいと買ってくれる。住民の悩みだった巨石を逆に活用するストーリーに魅力を感じる人もいるのでは」と、河合さんは人気の理由を推測します。
住民有志でつくる水越地域活性化協議会は、収益でテレビを購入、指定避難所に設置しました。地震の記憶を風化させないため、撤去過程や「支援の輪が全国につながったことに感謝する」との謝辞を刻んだ高さ約１メートルの震災記念碑も建立しました。協議会の山下陽子さん（７０）は「地区を悩ませた巨石が防災力を高める役に立ち、水越を知ってもらうこともできた。石のおかげで地区が元気になった」と感慨深そうに話しました。

「しんぶん赤旗」日刊紙　2018年1月4日付掲載

ネットオークションで落札。落札した造園業者が塞いでいた巨石を発破で取り除いたってことはニュースになりましたね。
その、後日談で記念碑まで出来たって知りませんでした。

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