北の狼

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Apr 13, 2005

「ホラー映画」の構造（一）

(5)

カテゴリ：カテゴリ未分類

最近、どういうわけか、日本のホラー映画を立て続けに観ております。刺激が欲しくなったのかもしれません（笑）。
作品は『呪怨』、『リング（らせん）』、『ほんとうにあった怖い話』、『学校の怪談』などのシリーズです。

「ホラー（horror）」には、”恐怖”または”嫌悪”という日本語があてはめられています。

・”嫌悪”としてのホラー

人に嫌悪感をもよおさせるような映画の作製は、現在の技術からするとそう難しいことではありません。典型が血のスプラッター描写です。あと、死体や化け物をリアルに・残虐に描くとか、画面を暗くしておいて突然または背後からモンスターや殺人鬼を登場させるとか。
”嫌悪”とは、不快や驚きといった人間のエモーショナルな反応のことですし、人間の生存が脅かされる事態（死が示唆される状況、現実をコントロールできない状況）において生じる心的反応といってもよいでしょう。

・”恐怖”としてのホラー

ほんとうの”恐怖”とはどのようなものでしょうか。
私は、（人間の生存が脅かされる状況において生じる）”嫌悪”との対比でいえば、「自らの生存本能（欲望）に基づいて他人に残虐行為をなす者をみる時に湧き上がってくる”恐怖”感」と考えています。

ほんとうの”恐怖”を感じさせる映画について、小中千昭氏（ホラー、ＳＦ、ファンタジー系の脚本家）が面白い分析（「小中理論」）を披露してくれています。上で示した私の考えとは多少の違いがありますが。
以下は、小中氏の『ホラー映画の魅力　ファンダメンタル・ホラー宣言』（岩波アクティブ新書）より。

ほんとうに怖い映画（ファンダメンタル・ホラー映画）が備えている要件とは、「小中理論」によれば以下のようなものになります。

１）脚本構造
　・恐怖とは段取りである
　　　　観客が恐怖を感じるまでには、段階的な情報を提示して
　　　　いく必要がある。
　・主人公に感情移入をさせる必要はない
　　　　怖い映画では、観客は登場人物に対して感情移入してい
　　　　るのではなく、自分とは異なる人間の、自分のそれとは
　　　　異なる人生を擬似体験している。

　　　　オチ、すなわち何故幽霊が現れ脅かしたのか、という理
　　　　由が明らかになるや、その幽霊は非常に「頭の悪い」存
　　　　在になってしまう。
　　　　恐怖とは不条理に宿るものなのだ！
　・文学は忌まわしい

　　　　たりして、いま観ている作品は普通のドラマではない、
　　　　というサインを強制的に送る。
　・情報の統一は恐ろしい
　　　　一人の人物だけの体験であるよりも、「幽霊を見てしま
　　　　う」といった体験が伝染病のように多くの人に伝わって
　　　　いくことが、恐怖を構造化してゆく。
　・登場人物を物語内で殺さない
　　　　実話ホラーに限った話であるが、主人公（報告者、語り
　　　　部）を物語中で殺してはならない。

この後、「２）　脚本描写」の項が続くのですが、今日は時間が遅いので明日にでも。

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Last updated Apr 14, 2005 03:00:36 PM
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■コメント

痛い≠怖い

chocoolique さん

個人的には、”嫌悪”としてのホラーをホラーに含めないで欲しいって感じです。
うちの近所の図書館に、なぜか、「オーディション」という日本映画のＤＶＤが
あったので借りたのですが、観ていてムナクソ悪くなってしまいました。
「リング」とかの正統派のほうがいいです。
なんたって、私、最後まで観られなかったんですから（笑）。
(Apr 15, 2005 12:40:19 AM)

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Re:「ホラー映画」の構造（一）(04/13)

gacha-danjhon さん

”本当に怖い”って、嫌だけど見たい気もします。。
ホラーは嫌いといいつつも、「リング」も「らせん」も原作から読んでますね～。

「学校であった怖い話」は小学生に人気です。
小学生くらいの脳に、"怖い"というのがちょうどいい刺激なのだと言う話を聞きました。
だから、小学校には怪談も多いし、子供にはいいのだと。。

とりあえず貞子の恐怖を越えるものは、まだ無いかなと言う感じです。
「ゴシカ」なんぞは怖そうで手が出ません。
でも、たしかに、最近刺激が欲しいです。
良質な　”サスペンス"の方が　観たいですね。

最近観た「デビルズ･バッグ･ボーン」で感じましたが、
＞・恐怖とは段取りである
＞観客が恐怖を感じるまでには、段階的な情報を提示していく必要がある。
というのは、
恐怖対象＝霊が　いるサインや　近づいてくる雰囲気で、
私は　もう挫折、早送りしてしまいます（＾＾；）
その　恐怖の醍醐味を味わう度胸が無いのです～。 (Apr 15, 2005 01:22:12 PM)

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Re:痛い≠怖い(04/13)

北の狼＠Ｗｏｌｆさん

＜＜chocooliqueさん＞＞

＞「オーディション」

肉体を切り刻むという、一種のスナッフ・フィルムですね。
「スナッフ」という映画がありましたが、内容はB級どころか下の中で、最後の”リアル”な残虐シーンのみで話題になった映画です。

「宇宙人の解剖ヴィデオ」という”ドキュメンタリー（？）フィルム”がありましたが、狙いはそれと変わらないでしょう。

才能が全くなくとも人に”嫌悪”をもよおさせることは実に簡単で、その極致が「イラクにおける人質殺害（斬首）ヴィデオ」でしょうね。 (Apr 16, 2005 06:04:43 PM)

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Re[1]:「ホラー映画」の構造（一）(04/13)

北の狼＠Ｗｏｌｆさん

＜＜gacha-danjhonさん＞＞

＞ホラーは嫌いといいつつも、「リング」も「らせん」も原作から読んでますね～。

はは、結構はまってますね。
映像よりも、文章のほうが想像力がかきたてられるぶん、余計に怖いかもしれませんね。

たとえば、「呪怨」。
迦椰子の「階段降り」のシーンは、映像よりも文章のほうが絶対に怖いと思います。映像はともすると、笑いがこみあげてきますもん。

＞とりあえず貞子の恐怖を越えるものは、まだ無いかなと言う感じです。

幽霊”そのもの”よりも、「井戸のなかに30年」という設定がもの凄いですよね。霊能者であるがゆえに死ねずに・・・・・。

＞その　恐怖の醍醐味を味わう度胸が無いのです～。

chocooliqueさんもそうなんですけど、女性はやはり怖がりなんですね。
ももちきさんなんて、お二方に輪をかけて怖がりかな。

なぜか、ちょっと安心したりします。 (Apr 16, 2005 06:14:03 PM)

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私も、怖いの大好きです。

星野あいさん

怖がりなのに、サスペリアとか、死霊のはらわたとか、バタリアンとか、大好きです。後は、動物パニック映画。ｔｖで、よく見ます。人形の、ドールは、好きですが、チャッキーは、見ません。後は、１３日の金曜日みたいな映画も、いやです。 (Jun 28, 2010 07:35:43 PM)

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