グランマの手料理レシピ

2023年01月14日
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カテゴリ: 簡単なお惣菜
​​ どこのご家庭にもある玉ねぎと玉子を使った煮物です。
味つけは薄口醤油にするときれいに仕上がります。
貝割れが入ると味がしまって美味しいです。

​玉ねぎと玉子の煮物​


玉ねぎ    1/2個(薄切り)
卵      1個
貝割れ    適宜

【調味料】水       大さじ1
     顆粒だしの素  小さじ1
     薄口醤油    大さじ1

1.鍋に【調味料】を入れて火にかけ、玉ねぎを入れて煮る。

2.玉ねぎに火が通ったら、割りほぐした玉子を回し入れ、貝割れを加えるだけ。

​ ※貝割れを入れたら、さっとかき回して火を止めます 。 ​
​​

​​
ブログ連載 長編時代小説 ​​ 密かごと ​​
​第1章 料理茶屋【梅乃井】​​
​
​5.薪炭商​ (しんたんしょう)

「あら、おばばさんどこへ?」
「江尻屋さんまで」
「炭屋さんの?」
「ああ、そうだよ、江尻屋仁平衛さんのところに行ってくるからね」
さちは、先日の御船手同心と船持惣代の席で、仁平衛がひどく落ち込んでいたことが気になっていた。宴席で何があったのかはわからないが、仁平衛は梅乃井にとっては大事な客だった。また気分よく来てもらうためにも、ご機嫌伺いをしておこうと思った。

真吉が梭子魚(かます)を梅酢に漬け、干物をつくってくれたので、それを手土産に持って行くことにした。黒鯛に梅醤油を使って以来、真吉は梅乃井らしい料理を工夫してくれている。
佳乃がさりげなく後を付いてくる。
「行ってらっしゃい!」
どういう風の吹きまわしか、玄関先まで見送ってくれた。

陽射しはまだ高く、海風も弱い。少し歩いただけでも汗が吹き出てくる。さちは思い立って、南片町の弁天様に御参りしていくことにした。勇気と子孫を与えてくれる弁天様は、さちにとって守り神のようなものだった。悲しいときや辛いとき、救いをもとめるように手を合わせてきた。

いまから40年前、父九兵衛と母ゆきが、江戸の本所松坂町の店をたたみ、木更津に梅乃井を出したとき、さちは18で霊岸島の酒問屋の次男、作治を婿に迎えた。
木更津は両親の故郷だが、江戸生まれのさちには初めての地だった。
開店を前に、木更津の名主や船持や商人衆などを招き、お披露目の宴を催した。
故郷に戻ったのが余程うれしかったのか、父久兵衛は深酒をし、最後は婿の作治に背負われて床についた。

ところが、翌朝になっても父久兵衛は起きてこない。母ゆきが寝床に行くと、父は大いびきをかいて眠っていた。揺すっても叩いても目を開けない。
そのまま目を覚ますことなく、父は卒中風(脳溢血)で亡くなった。
まるで死ぬために故郷に戻ってきたようなものだった。
落胆した母も床に就き、後を追うように亡くなった。
夫の作治は板前ではないので父の代わりはできない。梅乃井は開店することなく、休業ということになった。
さちは途方に暮れ、ふらふらと村の中を歩き廻っているとき、弁天様を見つけて手を合わせた。手を合わせていると気持が落ち着き、勇気が湧いてくるような気がした。

薪炭商の江尻屋は矢那川沿いにあった。
上流の丘陵は山谷が多く、耕地が狭い。切り出した雑木(ざつぼく)は矢那川を下って運ばれてくる。
いましも、雑木を満載した小舟が数艘下ってくるところだった。
岸では男たちが舟の到着を待ち構えている。
江尻屋の空き地には、すでに運び込まれた雑木が積み上げられ、そのかたわらでは鋸を引く音が響き、薪が次々とつくられていく。
江尻屋仁平衛は、出来上がった薪の束を数えていた。
さちに気づくと、手を休めてやってきた。

「江戸から急な注文が入り、ご覧の通りの忙しさでな」
木の香があたりに漂っている。
「商売ご繁盛で、結構でございますね」
「忙しいばかりも、つまらねえものよ」
「それは、贅沢というものですわ」
「そんなこと言ったら、梅乃井には行けねえぞ!」
「まあ、どうしましょう」
さちは大仰に困った顔をする。江尻屋は仁平衛の父親の代から贔屓にしくれている。
「きょうは、こんなものを持って参りました」
さちは風呂敷から竹皮の包みを出す。
「板さんがつくった、梅風味の梭子魚の干物でございます」
「梅風味?」
「はい、梭子魚は梅酢に漬けて干すと、日持ちがよく、梅の風味もあって美味しいんですよ」
「それは珍しい。早速、晩酌の肴にしよう」
 仁平衛はそう言って受け取った。
「お忙しいところ、お手間を取らしてしまって」
「いやいや、この薪を江戸へ送り出したら、また梅乃井に寄らせてもらうよ」
「ぜひ、お待ち申し上げております」
仁平衛のいつもと変わらぬ様子に、さちはほっと胸を撫で下ろした。

梅乃井はいまでこそ、木更津でも名の知れた料理茶屋だが、ここまで来るには決して平坦な道のりではなかった。
父九兵衛と母ゆきを相次いで亡くし、さちは看板を下ろそうかとさえ思った。
しかし、開業もせずに休業に追い込まれ、挙げ句の果てに閉店では世間の物笑いになるだけだ。そんなことはできない。
故郷に戻って料理茶屋を開くという両親の夢を実現してやりたい。本所松坂町の店に出入りしていた口入屋の十兵衛に頼み、板前を手配してもらった。そのときに来てくれたのが、口入屋になる前の佐助だった。

幸いなことに、開業前に招いた人たちが急場を救ってくれた。
薪炭商の江尻屋の先代もその一人で、江戸から訪れる客の接待や村の集まりなどに使ってくれたり、船宿に泊まる人たちにも梅乃井を吹聴し、利用するようにと口利きしてくれた。
自分を守り立ててくれる人たちの気持に応えようと、さちも踏ん張ってきた。その支えになってくれたのが板前の佐助だった。
佐助は人の心を掴むのがうまく、雇い人たちを上手に使いこなし、父の代わりを立派にこなしてくれた。

ところが、佐助に従わない者が一人いた。さちの亭主の作治だった。突然、やってきた使用人の佐助から指図されるのが面白くないのか、佐助に注意されると、持っていた鍋の蓋を流し台に叩きつけたりして、自分から板場を遠ざかっていった。
江戸の本所松坂町の店に、霊岸島の浅野屋から酒を届けに来ていた作治を父九兵衛が口説いて、さちの婿として迎えた。結婚は木更津へ来るために急ぎ決められたもので、さちが望んだ相手ではなく、御調子者の作治には好感がもてなかった。

両親の死をきっかけに、作治とさちの夫婦関係は悪くなるばかりだった。
霊岸島の実家へ酒の手配に行くと言っては帰らなくなり、酒はきちんと送られてくるが、江戸滞在が半月になり、一か月となり、やがて一年近くなることもあった。ひょっこりと帰ってくることもあったが、またすぐに出て行ってしまう。まるで鉄砲玉の使いだった。
女と暮らしているらしいことはわかっていた。惚れて一緒になったわけではないが、亭主が他の女と暮らしているのは気分のよいものではない。作治が戻ってくると、さちは怨みつらみを並び立てた。そんなことが何度か繰り返えされ、作治の足は木更津から遠退いていった。(つづく)





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Last updated  2023年01月23日 10時38分25秒


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