ゆのさんのボーイズ・ラブの館

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2007年01月19日
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カテゴリ: ボーイズラブ






季節が廻るたびに、過ぎ去った同じ季節のあの頃を思い出す・・・
まどろむ意識の中で
どれだけの時間をさかのぼったか・・・


若葉の季節に想いを馳せ



『親友の諸藤君で~す 綺麗な子でしょ?先生っ』

何度思い出しても恥ずかしくなる
それが初対面の人間へ、自分を紹介された時の言葉





「あの時のことは今思い出しても笑ってしまうな」
小梶は淹れたての珈琲を二つのマグカップに注ぐ

そして客人は皆、この西蘭学園の生徒たち






「山田と諸藤が将棋倒しになった時には驚いたな」

あの日、美術準備室でまだ初々しさの残る新一年生を迎え入れたのはこの青年教師、小梶 陽
高等部の美術を担当している

コポコポと音をさせながら珈琲を注いだ二客揃いのマグカップからは香ばしい湯気が立つ
部屋の中央に設置された簡単な応接セットのソファに二人は顔を並べそれを見つめていた
真新しい制服は少々大きめで、裄丈は体に合っていない
これから成長することを前提に縫製された学生服

「諸藤君が痩せっぽちでヨカッタ  じゃなかったら俺はつぶれてたよ~」

ほんの数ヶ月前までは小学生だった二人
背丈は標準に近くても横幅は平均値よりかなり下回っている日樹


「ごめんね・・・」
その思い出話はここへ来れば何度でも持ち上がり、そうしては頬を紅潮させて
日樹は詫びるのだ
二人重なり合って床に転げた

そんな二人をいつも快く迎える教師


香りの誘惑にもう待てない、山田がクーンと鼻をカップに近づける

「おいおい、ところで山田は入部届けを出したのか?」
小梶は自分の飲みかけのカップを持って二人の対面に腰掛ける

「あ・・・まだです」
カップに伸ばしかけた手を止めざるを得ない
その手をそろそろと引っ込める

「見学といって、この部屋に来てばかりいては活動内容もわからないだろう?」
「・・う・・・え、・・あぁ・・・」

いきなり核心をつかれて山田は目を泳がせる
彼には入部する意思はあるのだろうか

0119

「じゃ、残念だが砂糖とミルクまではサービスできないなぁ」
ちょっと意地悪げに、小梶はカップを口元に運びながらチラリと山田を覗く

「えぇ~先生、ブラックじゃ飲めないよ~ ねっ諸藤君」
「・・え?・・あぁ・・・うん」

中学生にブラック珈琲はほろ苦く大人の味だ
同意を求められ、日樹ははずみで返事をする
どうやら山田は美術部入部希望を名目にここへ遊びに来ているらしい

だがこの教師はそれを咎めることも、入部を強制することもしない
冗談交じりのたわいもない会話をしながら生徒と接するのを楽しんでいる
彼の話術にすっかり乗せられ生徒たちは自然と、うちに秘めた心を開く

本人の気づかぬ間にカウンセリングし、深層心理をさぐりながら
日々、生徒達の心のケアをする
それが教師としての勤め、と
小梶はわきまえていた


ここへ来れば心が軽くなる
そんな思いで訪れる生徒も少なくない



そして静かなこの準備室は、なぜか居心地が良かった
こうやってクラスメイトと一緒にここへ通ってきたのはもう何度目だろうか




名門校だけあり、学園全体が落ち着いた雰囲気だった
多々ある部活動の中に大会出場やコンクール出場など数々の成績を残している部も多い
体育系、文科系に偏ることなく
まさに文武両道に秀でた学園なのだ


「そうだ、諸藤君も一緒に美術部に入らない?」
いつの間にか日樹を親友として扱う山田がとんでもないことを言い出す
入学してまだ一ヶ月足らず、
自分を親友と呼ぶが、彼のことなど何も知らない

「・・えっ?・・・僕は・・・」
まだどの部に所属するかまったく考えていない
そう言い返すつもりだった

「・・・諸藤君は運動神経が良いからやっぱり体育系の部活に入るのかな?」

表情から察したか、日樹の否定的な返事で山田は顔を曇らせる

「そんな・・・」
まだ何も決めていないのだから返事のしようもない

「じゃ、一緒に美術部に入ろうよ そしたら毎日美味しい珈琲が飲めるから」
ころっと変わり、再び日樹を誘う明るく弾む表情の山田

「こらこら、それが目当てじゃ困るぞ」
二人のやり取りを面白そうに眺めていた小梶が軽く言葉を挟んだ

山田は日樹の両手を握り締めくどき続ける

「諸藤クン~そうしようよ」
「でも・・」
「一緒に入部しよっ」

軽い気持ちでついてきたのは良いが
まさかこんな展開になるとは思わなかった
山田にしてもなかな決心がつかなかった入部だが
日樹と一緒ならこの場で決める勢いもつくのだろう

じっと見つめられては目のやり場に困る、これでは説得に押し切られてしまいそうだ
「・・山田君・・・」

「ねっ!いいでしょ」

美術を勉強したいのか珈琲を飲みに来たいのか
彼の真意もわからない
いきなり親友呼ばわりされた上、熱心に誘いかけられる
もしかしたら『うん』というまでここから帰れないのだろうか

助けを求めるつもりで目の前の小梶に視線を移すと
彼はじっと日樹を見つめていた
それはとても温かく穏やかな瞳

不思議と初めて逢うような気もせず
しばらくその瞳を離すことができなかった

そして・・・

「・・・・・・うん・・」
日樹はいつの間にか頷いていた


そう返事をしてしまったのは
この青年が義兄に似ていたせいだろうか・・・














  しばらく日樹の眠りの中にお付き合いください
星  彼の過去をお話します



こっそり帰ってきました
ぽっ お休みした分、いつもよりちょっと長めデス手書きハート















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最終更新日  2007年01月19日 20時39分05秒
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