ゆのさんのボーイズ・ラブの館

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2007年02月05日
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カテゴリ: ボーイズラブ




☆。・。☆。。・。☆。・。☆。・。☆。・☆。・。☆。。・。☆。・。☆。・。☆。








そんなこと
考えたことがなかった





「どうだった?」
後ろを振り返り、返却された答案用紙を覗き込む遥

「わっ!諸藤君すごい!!」
主要教科を平均し、ほとんど満点に近い答案用紙を見れば遥でなくてもそう声をあげてしまう
だが遥とて日樹に負けず劣らず立派な点数を取っている
遥も優秀な生徒だ

期末テストが終わり、夏休み目前
心なしかクラスの雰囲気もザワザワと浮かれ出している
生徒の頭の中はもう、数日後に突入する夏休みのことでいっぱいなようだ


「・・・今のところ予定はまだなくて・・・」

きっと父や義兄の仕事の関係で家族が一緒に集まれるのも数日間だけだろう
それでも毎年、別荘への家族旅行は欠かしたことはない

「部活には来るよね?」
「うん・・・」

教壇の先生に聞こえないように前後の座席の二人は小声でやり取りする
授業中のそのスリル感はたまらない

「どうせ夏休み中の部活なんて、小梶先生の手伝いで終わりでしょ?」

そう言いながらもいつも楽しんで手伝いをしている遥が
まともに作品に取り組んでいる姿を見たことがない
不満そうな顔があまりにも愉快で日樹はじっと見入ってしまう


「美術部は夏休みの後半しか部活予定表になかったけど」
「先生は全然やる気ないみたいだなぁ・・・」

教師に友達言葉で接してしまうのも遥ならではのこと
勿論、小梶もそれを咎めたりしない
小梶との掛け合いは媚びても自然で心地よく、それをいつも身近で感じていた


「え?・・あ、あぁ・・・」

一緒にいる日樹の代弁までしてしまうぐらいハキハキとしている遥なのに
珍しくこの時の返事ははっきりしない言いようだった
そして遥の瞳はしばらくどこか遠くを見つめていた

「遥・・・はるかくん・・・?」
「・・・ん、あ・・ごめん」
「どうしたの?」
「なんでもないよ」

首をフルフルと振っておどけて見せる
少し気になったがいつもの遥だ
きっと一瞬、何か他のことを考えていたのだろう
そんなことぐらいにしか思わなかった

それに話が弾むと、もう声量を気に留められなくなっていた

「やっぱり夏は海だよね~」
遥の口から出てくる言葉は何もかも全部楽しく感じられる

「うん」
日樹はその続きが聞きたくて仕方ない
だが、今は授業中

「夜の浜辺で打ち上げ花火も最高だよ」

遥は日樹の経験していないことを沢山知っている
きっと遥も自分と同じように家族で出かけてるのだろうか
考えてみれば、自分のことを話したがらなく
遥のことをほとんど知らない

「今度一緒に行こう」

日樹は嬉しくて、うんと頷く
遥に誘われると何事も簡単に実現してしまいそうだ

「そこの二人!」
教室に響く教師の怒鳴り声が、自分たちに向けられたものだと
二人は身を竦める

早くも見つかってしまった・・・

「は・・はい・・」
シュンとし日樹は姿勢を正し、遥はゆっくりと前に向き直す

二人に対し無言で廊下を指差す合図は、『授業の妨害になるから廊下に出てなさい』の意
椅子を静かに引き、立ち上がると二人はクラスメイトの視線を浴びながら教室をこっそり出て行く
運が悪かった
教科担任の中でも最も厳しい年配の教師
下手をすれば、“廊下に正座”という罰を与えられることもある
今回 “正座”のオプションは付いていなかったのは
成績優秀な日樹に免じてということだろうか
二人に指示を出すと、もうすでに授業を続行している

後ろの扉から静かに廊下に出た二人は言いつけを守りきちんと並んで立った
教室側の壁を背に立てば、真正面に高等部の校舎が窓から見える

「怒られちゃったね」
そう呟く遥の視線が少し上のような気がした
それまで気がつかなかったが、いつの間にか遥の身長が日樹を越して高くなっている

「うん」
「高等部から丸見えかなぁ・・・」
「気になる?」
「全然~!」

そしてクスクスと笑い出す
罰で立たされているのにすっかり反省を忘れてしまった
むしろこうして遥と二人だけの時間が嬉しくて、こんな機会を与えてくれた先生に感謝してしまいそうだ
遥といるとどうしてこんなに心弾むのだろう

「さっきの続きだけどね・・・」

高等部の授業風景を見つめながら中断してしまった夏休みの話題をこっそり再開する
まったく懲りていない
触れ合いそうで触れない手と手から、遥の息遣いと体温を感じる




遥・・・


この夏休み、成長期に入った君の背はもっと伸びるかもしれない





☆。・。☆。。・。☆。・。☆。・。☆。・☆。・。☆。。・。☆。・。☆。・。☆。





   活字続きです号泣


   遥・・・西蘭時代の同級生は、漠然と一人考えていたのですが
        こんな役割になるとは思ってもいませんでした


しばらく“遥”のお話です
          術後の日樹が早く目を覚まさないと
              拓真も高原も出てこれないです









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最終更新日  2007年02月05日 18時16分33秒
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