加えて、「何が釣れても楽しい」という。魚を差別せず、ほろ酔いで釣りをする僕を軽蔑せず、対象魚を選別しない生き様に、ただただ頭の下がる思いである。
Iさんの車で新潟へ行くことになった今回も、「運転は私がやりますので、会頭は助手席で好きなだけ飲んで楽しんでください。ああ、つまみも買ってきましたから、よろしければどうぞ」。
ここまで来ると、1家に1人はIさんがほしいくらいだ。
さて、Iさんが仕事を終えてから新潟に向かったので、まずは夕食をとることにした。以前行ったことのあるS亭という場末の食堂で、ここは並々と注いでくれるぬる燗が極めて美味である。

この店はおばあさんと娘さん2人で切り盛りしていて、2人と会話するうちに自ずと酒も進む。隣のIさんが、「そろそろ釣りに行きましょうよ」と無言で訴えているので、肝臓8分で切り上げ港へ向かった。
常夜灯が照らす海の中から、いろいろな魚が釣れだした。多少酔ってはいても、相手は警察官ではない魚なので、遠慮なく釣らせてもらおう。


エギング初体験のIさんは、「あっ、来ました!」という確かな手ごたえを感じたのだが、正体はタコだった。

それでも、「私は何が釣れてもうれしいのです。あっ、会頭はご遠慮なく飲んでいてください」と気を遣ってくれる。僕は遠慮が嫌いなので、思い残すことなくIさんの釣り姿をつまみに1人飲むのである。