☆☆ えいごとインテリアの国 ☆☆

PR

Profile

メーベル

メーベル

Keyword Search

▼キーワード検索

Archives

Nov , 2025
Oct , 2025
Sep , 2025
Aug , 2025
Jul , 2025
Jun , 2025
May , 2025
Apr , 2025
Mar , 2025
Feb , 2025
Aug 31, 2004
XML
カテゴリ: 英語・翻訳
以前、児童文学翻訳の講習に参加したことがある。

そのとき『赤毛のアン』が話題に上った。講師の方の質問…「村岡花子さんの翻訳では、『キルト』が何と訳されているか知っている人、いますか?」

「はい!」勢いよく手を挙げる私。忘れるはずもない、あのまったりとした響きの言葉…「『刺し子の布団』です!」

村岡花子さんの翻訳が何年のものかわからないが、その頃、「キルト」という言葉はまだ市民権を得ていなかったようだ。で、「刺し子の布団」…私にはどんなものかイメージがわかなかったが、印象的な言葉のひとつだった。

講師によれば、外国文学の翻訳作品は、初期のものの場合、単語の置き換えだけでなく、文全体の訳し方に関しても、かなりおおらかなやり方がまかり通っていて、最近のプロフェッショナルの目から見ると、質的に出版レベルに達していないものが多々あるという。

現在、『赤毛のアン』は様々な翻訳家の手により、出版されている。もちろん、「刺し子の布団」ではなく「キルト」という語が使われている。わりと最近出版されたものに、インターネットの検索を駆使して、引用の出典などを事細かに調べたものがある。確かに正確なのであろう。しかし、私には学術書のようなイメージで、何だか楽しめない。

翻訳作品は、最初に読んだもののイメージが強烈に残るもののようである。確かに村岡花子さんの訳は、孤児院で育った、10歳ちょっとのアンがしゃべる言葉としては少々優雅すぎて、違和感を感じることもあった。(恐らく翻訳当時の上流階級のお嬢様が使っていたような言葉づかいである。村岡花子さんのお育ちが偲ばれる)

でも、私にとっての『赤毛のアン』は、なんといっても村岡花子さんの『赤毛のアン』なのである。

石井桃子さん翻訳の『ちいさいおうち』も、最初に出版されたものと、そのあと改訂されたものとでは、表現の異なるところがあるらしい。


「1954年版の初版本は横文字をタテに直したために絵の流れも逆の方がよいと判断されたのでしょうか、左右逆版ですが、訳文は古い方が美しくよどみない気がします」
と述べておられる。

縦書きの『ちいさいおうち』…一度読んでみたい。(もしかすると、私が子どもの頃読んだのは、縦書きだったのかな?…そこまでは記憶にないのでわからない…)

少し古い日本語の響き…翻訳の的確さだけでなく、美しさということを考えると、初期の翻訳本を見直すのもよいことだと思う。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Dec 10, 2004 10:41:10 PM
コメント(12) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: