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浪漫的狼

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nanaco☆ @ Re:なんと(01/08) 狼さん、お元気です?? その後調子はいか…
浪漫的狼 @ Re[1]:なんと(01/08) nanaco☆さん  わあい。すぐにお返事いた…
nanaco☆ @ Re:なんと(01/08) 狼さん、大変ご無沙汰しております~!!…
wine ガブガブ @ Re:充電します。(04/30) エネルギーが、蓄積されたら、また再開し…
deco7 @ Re:充電します。(04/30) 充電のお役には立ちませんが、遊びに来て…
Feb 2, 2009
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カテゴリ: 創作の部屋
『鏡の森』(その5)



 鏡の中に入った時の感触。それは、まるで暗闇の水の中のそれであった。

 暫くの間、その重く冷たいものの中を沈んでいくような感じがあったが、やがて本当に水の

中にいるような息苦しさと冷たさに全身が包まれていた。

 「苦しい…。」

 このまま溺れるように死んでしまうのか、それでも自分の使命を果たさなければならない…

と、ナターシャはとにかくウォレスの手だけはしっかりと握っていた。


 「バシャッ。」


 一体どちらが上でどちらが下かが分からないような状態のまま、やっと息ができた時、ナタ

ーシャは自分が本当の水の上に浮かび上がっていることを知った。

 そして、まだ自分がウォレスの腕の中にいることも。


 「ナターシャ、大丈夫か。」


 ウォレスの落ち着いた声が聞こえた。

 「…はい。」咳き込みながらも何とか返事をした彼女であった。そして、ウォレスはナター

シャを抱きかかえたまま水の中を歩くと、岸辺にあがった。


 静かに柔らかな草の上に横たえられると、ナターシャは次第に意識がはっきりしてくるのが

分かった。空には煌々と月が輝いていた。


 彼女が海か何かだと思っていた場所はほんの小さな泉であった。

 そして周囲にはあの、暗い森が広がっていた。

 ウォレスはナターシャの無事を確かめると黙々と動きはじめていた。


 自分たちより先にこちらに送り込まれた樽や箱。

 それらの幾つかは泉の水面でたゆたっていたが、すでに岸辺に整然と並べられていた。

 「夜は冷えるから、着がえるといい。すぐに火をとってやる。」

 蝋で目張りをされた箱から着替えを出すと、ウォレスはナターシャに背を向けて火を起こし

はじめた。


 「今夜はここで明かすことにしよう。」

 そう言うと、ウォレスは濡れた上着だけを着替えると木箱から酒の瓶をだして飲み始めた。

 ウォレスに勧められて、葡萄酒を一口飲むと、体の芯に火がともったようで、ナターシャは

やっと人心地がついて、言葉を口にした。

 「…ここは、大丈夫なのですか」


 「ああ。今夜はゆっくり眠りなさい。」

 自分はこれから、どうなるのか…。生け贄としてドラゴンに捧げられるのか、それともドラ

ゴンをおびき出す為の、ただの生き餌となるのか…。

 考えれば、不安の尽きないナターシャではあった…が、側にいるウォレスの優しげな目を見

ると、心のこわばりが和らぎ、知らない間に眠りについていた。



 「ゴゴゴゴゴ」


 もの凄い轟音でナターシャは飛び起きた。

 辺りはもうすっかり明るくなっていた。焚き火の火ももう白い灰になって、燻っているだけ

であった。

 昨晩、ここまで運んだ筈の、沢山の樽や木箱は一つも見あたらなかった。


 どうやらその音は、昨晩自分たちが抜けてきた森の向こう…あの小さな泉があった方向から

聞こえていた。

 少し目眩を感じながらも、ナターシャは立ち上がり、少し歩いた。すると、すぐにそこは見

えてきた。

 そして、その光景にナターシャは目を疑った。


 そこには昨日の泉はなかった。そこには、泉があるどころか、瓦礫の小山ができていたのだ

った。そして、土埃の舞う向こうにウォレスの姿があった。



 ウォレスはナターシャを見つけると、少し表情を和らげ、歩み寄ってきた。

 「目が覚めたか。…すまぬ、ここまで大きな音がするとは思わなかった。」

 ナターシャは、目の前の出来事がどうやらウォレスの起こしたものであることを知った。

 泉の後ろにあったと思われる岩山が奇妙な形に崩れている。通常の人間には到底無理であろ

うが、ウォレスなら…。

 しかし、何故そんなことを…。という気持ちが強く彼女を捉えていた。



 ただ、ナターシャはそれを勇者に問いただすことはできず、ただ呆然と見ていた。

そんな彼女を横目に、ウォレスは呟いた。

 「もう、あちらには帰れぬ。」


 そして、ウォレスはまた森の中へと歩き出した。

 数歩進んだ所で彼は振り返り、まだナターシャが立ち止まっているのを見とめると、

 「さあ。」

 と、彼女を促し、また森を歩き始めた。


 そして再び、昨晩野営をした焚き火の所まで戻り着いた。

 ナターシャは、

 「荷物は…どこへ?」

 と、それだけやっと尋ねた。

ウォレスは、

 「心配はいらぬ。ついてこい。」

 そう言うと、消えかかった焚き火の火を消し、また歩き出すのだった。







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もうちょっと続きますね。





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Last updated  Feb 2, 2009 09:14:59 PM
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