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 『中華帝国の危機』(世界の歴史19、中央公論社)という本に、他の本から引用した、「清朝の地域秩序」という図が出ていて、それを見ると、中心から、次のように、広がっていく、中国人の世界秩序観が分かります。


  直轄地
    これは、中央、地方、土司・土官に分かれるようです。
    台湾は、「化外の地」とはいうものの、一応は、直轄地の「地方」か「土司・土官」に入るのではないかと思いますが、図に書いていないので、はっきりとは分かりません。

  藩部(はんぶ) 
    間接的な支配が行われる地域で、現在の中国は、直轄地と藩部を合わせたものを中国領としているようです。

  朝貢国
    正式に清朝皇帝とそれぞれの国王との儀礼的な関係が制度化されている国で、朝鮮がこれに含まれ、現在は、日本領土の琉球もここ。
    さらに、対馬も、日本とは別で、ほとんど、朝貢国になっています。


    図では、「互市」となっている地域もこれになるのだと思いますが、日本は、ほぼこの地域。




 この広がりは、中国の東側の日本周辺だけではなく、東西南北に向かっています。


 「清朝の地域秩序」は、中国側からみたもので、日本からみれば、当然、見方は異なるのですが、気になるのが、対馬と琉球です。



 それで、図書館から何冊か本を借りてきて調べてみましたが、まず、対馬から。

 結論からいえば、対馬は100%日本で、日本と別に扱うこと自体が、おかしいのですが、対馬と朝鮮との関係から、中国人の世界秩序観に合わせるために、無理やり朝貢国にしている、という感じです。


 『対馬藩江戸家老』(山本博文著、講談社学術文庫)によると、1719年に日本に来た朝鮮通信使の製述官である申維翰(シンユハン)が、

 「この島は朝鮮の一州県にすぎない。なぜなら、対馬島主は朝鮮国王から図章を受け、米豆などを支給されており、朝鮮の藩臣(地方長官)だからである。」

 というような事を言って、雨森芳洲を激怒させています。


 この申維翰の発言は、多分、1609年に対馬藩と朝鮮との間に結ばれた己酉約条(きゆうやくじょう)に基づくものだと思いますが、その理屈が、よくわからない。



 ここで、己酉約条について。



 今でいえば、日韓基本条約のようなもので、日韓基本条約も締結するのに苦労したようで、「もはや無効」(2条)などという訳のわからない言葉を入れてごまかしたりしながら、やっと、締結していますが、こんなのは、かわいいもので、己酉約条にいたっては、国書を偽造して、締結にこぎつけています。

 しかし、その、国書を偽造してまで、やっとこさ、締結した己酉約条が、江戸時代を通じて、一応は平和であった日朝関係の基礎になります。



 民主党政権が、日韓基本条約をぐらつかせるようなことをした、ということで批判を受けていましたが、それは、当然のことで、日米同盟をぐらつかせたのと同様、あまりにも、性質の悪いことです。

 対馬藩の人から見れば、民主党はほとんど馬鹿にしか見えないのではないか、という気さえする。



 話は、戻って、その己酉約条の、4条と9条は「書き替えられた国書」によると、次のようになっています。





 9条 対馬島主には、前例により、図書(としょ)を支給しておく。見本を所轄官庁と釜山の役所に置き、真偽を点検する。


 ここで、「図書とは、実名を刻んだ銅印のことで、これを外交文書に押して、渡航証とした」とのことで、中国皇帝の支給する金印も、多分、同じようなのものだと思いますが、朝鮮は銅印。

 ということで、己酉約条によれば、申維翰がいうように「朝鮮の一州県」とまでは言えないと思いますが、朝鮮に対する朝貢国ということにはなりそうで、中国から見れば、朝鮮より格下の朝貢国ということになるのかもしれません。


 4条の「米と大豆百石」は、『対馬藩江戸家老』によると、徳川吉宗が対馬藩が朝鮮から受給している米の量を話題にしたとき、林鳳岡がいい加減な返答をしたをしたということで、対馬藩から訂正してほしいという申し入れをしたときの文書には、「年始の使者をさし渡すとき米・大豆50俵ずつ祝儀として毎年国王より送られてくる」ということで、これにあたるのだと思いますが、あわせて、100俵では、まあ、大した量ではありません。



 「対馬藩は、その立地と歴史的な条件とから、ときには『誠心』を唱え、ときには脅し、ときには屈辱をものともせず、両国関係の継続に力を尽くしてきた」とのことで、なにか、国際関係の本質を理解していたようなところがあって、本を読んでいておもしろい。








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最終更新日  2011年02月12日 14時16分23秒
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