それにもかかわらず、現代医学者の大半は"症状即疾病"観に基づいた研究を精力的に進めておられるのです。
しかも、その研究内容はますます専門分化し、大局的な観点に立った研究が少ないのはまことに遺憾であります。
たとえば最近、新聞の記事にも載りましたように、卵白によるアレルギー性鼻炎の発症を抑制する抗体IgG4の作用が明らかとなり、将来これを卵白アレルギーの患者に応用すれば、すばらしい効果が期待されるといった研究などがそれであります。
すなわち、IgG4といった特殊の抗体を薬として使用し、アレルギー病に悩む患者さんたちのごく一部の人々に、しかも単に一時的な対症療法として効くだけにすぎないものを、学者も企業も必死になって精力的に作り出そうとしているのです。
しかし、理論的には、いかにも根本療法であるかのごときイメージを与えているところが、皮肉で巧妙ではありませんか。
要するに、根本的なことには気がつかず目先のことしか考えていないのです。
一方、患者さんたちも、一時的に苦しい症状を取り去ってくれるものなら、何でもそれに飛びつくといった態度で、それらの"皮相的研究成果"を喜んで受け入れているのです。
まことに近視眼的な愚かな症状観ではありませんか。
般若心経のなかで、
「いっさいの顛倒夢想(てんとうむそう)を遠離(えんり)して涅槃(ねはん)を究境(きゅうきょう)す」
と説かれてありますが、私達は今こそ、この教えを深く考えてみる必要があると思うのです。
「こうすれば本当に幸せになるだろうと思って一生懸命努力してきたが、よく反省してみたら、全く逆さまのことをやっていた、ということに気がつくだろう。
そこでいままでの考えをすっかりひっくり返して、真実の知恵(般若の知恵)に基づいた生き方をしてこそ、本当に安らぎのある人生を全うすることが、できるであろう」
と教えておられるのです。
これはアレルギー病を初めとする各種の疾患に対しても、あてはまる大切な教えではないでしょうか。
アトピー性皮膚炎に対する自家ワクチン療法も、最近注目されている研究分野ですが、これも、結局これまでの研究と大同小異で、かなりの費用と労力を必要としながらも、患者さんたちに真の救いをもたらすものにはなり得ないだろうと考えられます。
具体的な説明は紙面のつごうで省略しますが、要するに、もっとより根本的な研究内容のものが出てきてほしいのであります。
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