目的のスーパーは、自宅から徒歩で10分程のところ。
いつものように 運動不足解消も兼ね、車や自転車など使わず、もちろん徒歩。
Gパンの後ろポケットから携帯を取り出し 時計を見ると、5時半を回ったところだった。
曜日の加減なのか、交通量も、歩道を行き交う人の姿もまばらだ。
とはいうものの、国道等の主要道路から1本外れた、ガードレールさえない細い道なので、通勤・通学の時間等しか混まないとは思うが。
傘を持ってくれば良かったかなぁ、と後悔しつつ、半分位まで来た頃、前方から黒いBMWが勢いよく走って来た。
特別 珍しいわけではないが、横を通り過ぎた後も 何気なく目で追っていると、突き当たりの角を曲がる直前、何を思ったのか急停車した。
な、何だ・・・?
何をするかと思いきや、次の瞬間、いきなりバックし始めた!
ウィーンという音を響かせながら、凄いスピードで。
『後続車がなかったから良いものの、一体、何を考えてるんだ~★』
口には出さず、心の中だけで抗議していると、その車は 俺の目の前でピタリッと停まった。
ま、まさか、心の呟きが 聞こえたってか!?
内心焦っていると、スモーク張りの窓が静かに下り、モデル並みの男の横顔が そこにあった。
一目で上質だと判るブルーグレーのスーツに身を包み、白いカッターに、控えめだが品の良いタイで渋く決めている。
「道を訊ねたいんだが。この辺に、『霧野』という家があると思うが」
それが他人にものを訊ねる態度か? と言ってやりたい位、ぶっきらぼうに言い放った後、俺に視線を向けて来た。
緊張しているのか、切羽詰まっているのか判らないが。
それは、紛れもなく鈴木勇平だった。
トレードマークだとも言えるサラサラの長髪も 短く整えられ、いつもの白衣姿からは想像もできないような、見事な変身ぶりだ。
「勇平さん、どうしたんですか?」
「りょ、涼!?」
やっと気付いた勇平は、慌てて車から降りて来た。
「・・・にしても、私服を着ると別人だな。てっきり、高校生だと思った」
その嬉しくもない呟き声は、俺の耳にもしっかり届いた。
いくら普段着のTシャツにGパン、スニーカー姿だとはいえ、高校生に間違われるのはなぁ。
慣れているとはいえ、ちょっとショックかも~★
新米教師の悩み(22) おわり
最後までお付き合い頂きまして、有難うございます<m(__)m>
霧野涼シリーズ『 蒼い中学時代
』から、お付き合い下さった方はご存知だと思いますが・・・
上記を書いたのは8年前、2003年のことです。
当時、涼は就職3年目、24歳という設定で書き始めたので、計算から行くと、その2年前のお話ということになります。
(今、蒼い中学時代を読み返してみて、前回の1年前ではなく、2年前だと気付きました~☆ ごめんなさい)
長々と引き摺っている、中間テストの日付は5月28~30日頃、そして、今年の(東海地方)梅雨入りは5月27日ですが、10年前は6月5日だったようです。
なるべく違和感のないように書いていくつもりですが、若干ずれているのは、このお話は10年前が舞台だということで、予めご了承下さい。
・・・って、10年前の世界って、どんなだったでしょうかね。正直、覚えていませんが(ーー゛)
李 香蓮
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