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2011年07月08日
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曖昧な微笑みを浮かべながら、俺の反応を窺っている。

「お待たせしました。特上寿司、二人前です」

美しく盛られた、大ぶりの寿司桶を目の前に差し出しながら、タイミングを見計らったように、大将が声を掛けてくれた。

俺にとっては、渡りに船。
話題を変えられるチャンスだった。

「勇平くん、悪いが 俺も上で食事をして来るよ。俺が居ない方が、会話も弾むだろうからな。30分程で戻るつもりだが、用がある時は大声で呼んでくれ。テレビのリモコンは、ここに置くから」

「判りました。すみません」

大きめの急須を勇平に手渡しながら、それだけ言うと、大将は店の奥へと入って行った。

「涼、俺の奢りだ。遠慮せずに食えよ」



俺達は、無言で食べ始めた。

店内には、テレビから流れる音だけが響いている。

何か話した方が良いだろうか? と思っていると、先に勇平が口を開いた。

「俺にも、上に2人の兄貴が居るんだ」

「へぇ・・・知りませんでした」

「俺のことなんて、知ろうとも思わなかっただろ」

妖艶な微笑み付きで、鋭い突っ込みを加えて来る。

「遥は、いちばん上の兄・祥平の娘だってことは、知ってるよな」

「ええ。一応、副担任ですから。家庭調査票に記載されている範囲ですが、父親の名前くらいは」

「俺と祥平兄貴は、9才違い。遥は、兄貴が17の時の子・・・当時俺は、8才のガキだった」

17才といえば、まだ、高校生。


結婚できる年齢、日本では男性18才、女性は16才だった筈・・・

今まで、遥について 訊ねようとする度に、はぐらかされて来た。
やはり、隠したいような、複雑な事情が背後にあるのだろう。

だが、今なら、勇平は何でも答えてくれる気がする。
迷った末、俺は最大の疑問を口にした。



「生きてるよ。確か、7年前に2度目の結婚をして、子供は遥以外に2人居る筈だ」

余りにも素っ気なく返って来た。

「そ、そうですか~☆ でも、母親の近況をご存知だということは、少なくとも 交流があるってことですね」

「ない」

勇平は即答すると、表情を硬くした。

どうやら、いきなり 彼の中の“地雷”を踏んだようだ。

気まずい雰囲気が漂い始めた。

「遥のこと、聞きたいか?」

「そりゃ、副担任とはいえ、受け持ちの生徒のことですから。知りたくないと言えば、嘘になります。でも、俺が想像している以上に、複雑そうなので・・・無理にとは、言いません」

新米教師の悩み(36) おわり






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最終更新日  2011年07月08日 22時20分26秒
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