香蓮 らんど

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2011年08月06日
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「失礼します」

重い扉を開き、一応、声を掛けてから足を踏み入れ、薄暗い教室内を見回したが、2人の姿はどこにもなかった。

(あれ? ・・・まだ、来てないのか)

遥より先に着いていたかった俺は、少しホッとしながら、閉ざされたカーテンを開け、雨が降り込まないことを確認してから 窓を開けた。

だが、窓際はともかく、廊下側は薄暗いままだ。

今や、廃墟と化してしまった旧校舎は、電気も水道も止められているので、これ以上の明るさは望めない。

有難いことに、時折、湿気を多量に含んだ風が吹き込んでくるので、我慢できない程の暑さではなかった。

窓際の席を陣取って腰を下ろすと、鞄から弁当を取り出した。
一緒に食べよう、と言われたわけではないので、さっさと済ますことにしたのだ。



先程と同様、大きな音を立てながら、前方の扉が開いた。

「本当に、立て付けが悪いんだから~★」

少し大きめの独り言を言いながら、鈴木遥が顔を出した。

「あっ、鈴木。ここだ」

先に気付いた俺は、軽く手を振って見せた。

「先生! 遅くなって、すみません」

「俺も、今しがた来たところだよ。あれ? 勇平先生は、一緒じゃなかったのか?」

俺の問いに、遥は驚いたように呟いた。

「勇平さんも、来てるんですか?」

「多分、間違いないと思う。ここへ来る時、この建物に入って行くのを見掛けたから」

「ふ~ん・・・・・・先生も、お弁当なんですか?」



「鈴木も、弁当か。今、食べ始めるところだったんだ。一緒に食べよう」

「はい」

遥は隣の席に座り、その包みを開くと、コンビニのおにぎりより さらに小ぶりなのが1つと、小さなタッパが出てきた。

他人の食事内容など、見る積りはなかったのだが・・・

その小さなタッパの蓋を開けると、予想通り、レタスにキュウリ、トマト等が入った、野菜サラダだった。



(ドレッシングも掛けずに、美味しいだろうか?)

余計なことを思いながら、その様子を横目で見ていた俺は、思い悩んだ挙句、やはり訊いてしまった。

「昼飯、それだけなのか?」

「えっ? ああ、はい」

新米教師の悩み(46) おわり






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最終更新日  2011年08月06日 21時16分52秒
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