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2007年04月19日
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カテゴリ: 行・道楽
大石くん.JPG

赤穂といえば、はい、忠臣蔵。
去年、初春興行で観た「仮名手本忠臣蔵」。
玉三郎のおかる、仁左衛門の勘平。
その凛々しいこと、美しいこと、当代きっての看板だ。
私にとっての忠臣蔵とは、討入りよりもそこに至るまでの阿呆らしくも切ない、
歌舞伎や浄瑠璃で馴染んだ、見栄と意地の人間ドラマだ。

で、前述通り雨もよいの春の日、花見の積もりで降り立った赤穂は
まさしく四十七士の故郷だった。
改札を抜けて駅頭に下りる階段には、四十七士一人一人のタイルが貼られているし
駅前モニュメントも赤穂浪士ならば、お弁当の名前も赤穂浪士。
私の気持ちの中では、お城に行く予定は無かったのだが、
天気も悪いし、一つミーハーで楽しむことにする。

城下町らしく、真っ直ぐな広い道路がお城に向かって走っている。
海に面しているので、平坦で空が広い。
お堀の名残と大手門を越えた城内、大石内蔵助の館跡に大石神社はある。
松の廊下の惨事(珍事?)を伝えた早駕籠(早馬説も)が叫ぶ
「御開門!ごかいも~ん」の門も残っている。
短い参道には、ずらりと石造りの四十七士が居並ぶが、
当たり前か、皆、悲壮な表情だ。
入り口には、大立役者大石内蔵助、対面には若くして父に殉じた主税。
この大石神社のご利益は、大願成就、らしい。

神社.JPG

私は子供の頃、殿様一家は天守閣に住んでいると思っていた。
再建するならば天守閣だろうが、赤穂城はそもそもそれを持たない。
それでは、と歴史的にも優れた赤穂上水道の遺構に合わせて、
本丸御殿を再現した。
といっても、コンクリートで間取りを象っただけだが、
大広間、控えの間、湯殿、押入れ、縁側、奥の間、台所、
十分にあらましが想像できる。
大家族だろう殿様一家を想像すると、広いのか狭いのか、よくわからない。
う~ん、5LDK基準の小市民的発想ですね。

御座所の大広間の正面には、日本庭園が広がっている。
ゆるやかに綻びかけた桜もたくさん植わっている。
天守閣をついに乗せることのなかった石垣は、
その分、さらに堅牢に残っているという。


御殿と庭園.JPG 天守閣が乗るはずだった石垣から御殿跡を見る

赤穂御崎に急ぎたかった私は、
この日、大石神社の資料館にも博物館にも寄らなかった。
残念。あまり来ることはない町だろうに。
堀端には桜が咲ききらぬ枝を水面にかざし、
その遠景、蔵を模した博物館の外観が伺えた。
塩の取引で栄えたろう国の名残だ。

赤穂を去る頃、ようよう陽が明るく差し出し、
締めくくりに、隣町の坂越に降り立つことにした。
海に面した古い家々を取り潰し、町並み整備を始めたようだが
かつては塩の取引で賑わった、古い漁村の面影を残している。
頃は夕方、神社の広場では、子供達がボール遊びに興じるその上で
桜が霞を作っている。
港には、二人三人と手にバケツを下げて集まってきた。
きっと、漁のおすそ分けがあるのだろう。
まだ開ききってはいなかった桜が、駅へと戻る頃には、
西日を受けて、温もったのだろうか、
ぽわぽわと夢から覚めたように、咲きだした。


今日もまたもや、西行法師。

雪と見えて 風に桜の 乱るれば 花の笠きる 春の夜の月

もう赤穂でも、いくら何でも今日辺りは散った頃と思われます。
お城の庭では、朧月夜、名残の桜を慰撫するために
管弦の音色を漂わせ、上臈方がきららにお揃い召されたやもしれませぬ。







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Last updated  2007年04月19日 13時14分20秒
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