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2005年10月02日
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カテゴリ: 邦画(05・06)
何を隠そう、私は藤沢周平氏の大ファンである。しかも、一ばん最初に読んだのが氏の「蝉しぐれ」で、いまだにこの作品がマイベストになっている。いや、それを抜きにして考えても氏の最高傑作だといってもいいのではないだろうか。だからこの映画はたいへん楽しみにしていた。(期待していたのではない)

藤沢周平氏は28歳の愛妻をガンで看取ったとき、自分の人生もいっしょに終わったと思ったのだという。しかし乳児がいたので死ぬことも出来ず、屈折した想いを小説にぶつけていった。

そのとき、人には言えないともし、また思いもしたという。か弱き美しいものの死、病気という運命、金銭的な苦しさ、世の中への非難、組織の中の葛藤、そんなことであったのかもしれないし、そうではなかったのかもしれない。ついにその内容は誰にも伝えず、この世を去ってしまわれた。ただ、その想いは色濃く作品に反映しているので、したことは分からないが、想いだけはなんとなく分かるのだ。監督はこの「蝉しぐれ」の映画化が何十年来の夢だったそうだ。当然そのその想いも知っている。どう映像化するか、楽しみだった。

監督 黒土三男
出演
市川染五郎、木村佳乃、ふかわりょう、石田卓也、佐津川愛美、緒形拳、原田美枝子、大滝秀治、大地康雄、渡辺えりこ、原 沙知絵、緒形幹太、田村 亮、柄本 明

(以下ネタバレ。反転してね。)


いつものように家に帰るまでの40分間、映画のことだけをあれこれ思っていると、ふと、文四郎が父親と最後の面会をした後、土手で逸平と話した会話のことを思い出す。
「泣きたいか……泣いてもいいぞ」
「もっとほかに言うことがあったんだ
 父上に会っているときは思いつかなかった。
 父上を尊敬しているといえばよかったんだ。」
「そういうものだ。人間は後悔するようにできている。」

そういうものだ。人は後悔するようにできている。その後悔を元にどうやって生きていくが大事なのである。これは恋愛映画ではない。それを描いた映画なのである。しかし、描き方には大いに不満が残る。


私の見方は厳しいのだろうか。監督が藤沢周平作品の映像化にこだわっていた以上、私は山田洋次とは別次元のことを監督に要求するだろう。だからいくら丁寧につくっていたとしても、そんなことは当たり前だと思う。

ただ、発見もあった。ふくの描き方である。そうか、彼女はこんな女性だったのかもしれない、と思い至った。少女のときの佐津川愛美のいつも泣きそうな表情。おふく様として登場したときの気品、そしてあの目、木村佳乃には期待していなかったが、両女優とも期待以上であった。





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最終更新日  2005年10月02日 10時37分02秒
コメント(16) | コメントを書く


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TB・コメントありがとうございます。  
nori7110 さん
やはり・・本で原作を読んだ方の感想はこうなりますよね。。私も全く同感ですよ。期待していただけに少々残念でした。また遊びに来てください。。 (2005年10月02日 11時23分34秒)

Re:TB・コメントありがとうございます。(10/02)  
KUMA0504  さん
nori7110さん
コメントありがとうございます。
私は寺に引き取りに行くとき、緊張した演技とともに「音」が消えるのだとばかり思っていました。その「映像」をずーと楽しみにしていたのに。 (2005年10月02日 11時32分49秒)

単純な私  
ぐ~ さん
TBありがとうございます。
私はあの、”音”が止まった瞬間ぞぞぞーっと鳥肌が立ってしまったのですが・・・。
そうか、やっぱり原作とはちょっと違うのかなぁ。
イメージってありますモノね。 (2005年10月02日 14時45分51秒)

TBありがとうございました  
ミチ さん
はじめまして。
藤沢周平の大ファンでいらっしゃるならやはり映画には一言も二言も仰りたいことがあるのは当然と思います。
個人的には主役の二人がちょっと苦手な俳優さんだったのですが、やはりどうしても藤沢ワールドに浸りたくて鑑賞しました。
山田監督ならどう撮ったかな?と思います。 (2005年10月02日 17時14分25秒)

Re:いち藤沢ファンの観かた「蝉しぐれ」(10/02)  
ももたろう侍 さん
 映画は原作を尊重しても引きずられてはいけないと思います。その意味で原作の修正はあたりまえですよね。
 でも欅御殿での犬飼の登場の仕方は唐突だし、その前の犬飼との試合の場面は伏線のために取って着けた感じでした。また与之助は二人が舟で逃亡すること(しかも時間まで)をなぜ知っていたのか。ひょっとしてEメールかなにかを使っていたのでしょうか。欅御殿での事件のあと、里村家老の屋敷で何故文四郎は警護に止められなかったのか。そこで暴れたあと何故無事に出て行くことができたのか・・・などと疑問を持ってしまいました。
 上映時間の問題もあるので、映画は必ずしもすべてを描く必要はない、と思いますが、あまりにも綻びが多いと感じたしだいです。 (2005年10月02日 19時56分54秒)

Re:単純な私(10/02)  
KUMA0504  さん
ぐ~さん
>私はあの、”音”が止まった瞬間ぞぞぞーっと鳥肌が立ってしまったのですが・・・。
>そうか、やっぱり原作とはちょっと違うのかなぁ。
>イメージってありますモノね。
-----
コメントありがとうございます。
本文では上手いこと書けませんでしたが、
あれはあれで映画の中では必然的な場面で、
感動したのは当然ですし、実は私も涙しました。
でも原作を読むともっと感動するのです。
蝉しぐれはあれとは別の時に消えるのです。
(2005年10月02日 23時15分01秒)

Re:TBありがとうございました(10/02)  
KUMA0504  さん
ミチさん
>はじめまして。
>藤沢周平の大ファンでいらっしゃるならやはり映画には一言も二言も仰りたいことがあるのは当然と思います。
>個人的には主役の二人がちょっと苦手な俳優さんだったのですが、やはりどうしても藤沢ワールドに浸りたくて鑑賞しました。
>山田監督ならどう撮ったかな?と思います。
-----
コメントありがとうございます。
山田監督が撮ると原作を大幅に変えるでしょう。私もそのつもりで映画にのぞむので、すっきりするのではないかと想います。
(2005年10月03日 03時12分45秒)

Re[1]:いち藤沢ファンの観かた「蝉しぐれ」(10/02)  
KUMA0504  さん
ももたろう侍さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
確かに上記の点で不親切なところはありましたね。

ところで、実は今さっき数年ぶりに読み返してみました。驚くべきことに、私の記憶の中では父上の対面か、死体を引き取るときか、緊張がふと途切れたとたんに「突然セミの声が聞こえてきた」となっていたのですが、原作にはそういうはっきりとした描写はなかったのです。ただ対面のあとに「狂ったように鳴き立てる蝉の声が聞こえてきた」とあるだけです。とすると私の心の中で、この時急にあふれる涙とともに蝉しぐれが鳴りはじめたのかもしれない。だから映画では当然こうなると思っていました。……文四郎が対面を終えて屋敷の外に出る。青白い顔の文四郎が緑の中に立ち尽くす。そのとき逸平が「腹減ったな」と顔をみせる。突然蝉の声が聞こえだす。……あの映像はあの映像で間違ってはいなかった。変な言いがかりをつけていました。 (2005年10月03日 04時29分20秒)

Re:いち藤沢ファンの観かた「蝉しぐれ」(10/02)  
いい原作なので、きっといい映画になるだろうなと、家内と観てきました。
原作も別の映画も知っていますが、これはこれでとてもよかったです。涙してしまいました。

この映画を観終って、この時代の我慢が今まで長く日本人のベースになっているのかなあと思いました。
父親をお寺に迎えに行くシーン。私なら世の中の音や景色は何も頭に入らないだろうなあ・・・そしてあの日をずっと忘れられないだろうなあ・・・ (2005年10月03日 12時58分05秒)

Re[1]:いち藤沢ファンの観かた「蝉しぐれ」(10/02)  
KUMA0504  さん
のりまきターボさん
コメントありがとうございます。
今回原作を読み返してびっくりしたのは、すっかり自分の中に「自分流蝉しぐれ」を作ってしまっていたということ。そういう意味では黒土監督の作品も誠実な作品になったと思います。もちろん「自分流蝉しぐれ」のほうが感動作ですが(^^;) (2005年10月04日 00時53分03秒)

TB御礼  
スナッチャー さん
はじめまして・・
原作のファンであれば、あるほど不満がのこりますよね~。
原作、舞台、映画・・全て別物として楽しみましょう・・って感じですかね?

TBお返ししました・・ (2005年10月06日 09時20分47秒)

自分は原作至上主義者なのかな?  
義宣 さん
私はラストシーンで文四郎がふくと呼んだ場面でずっこけました。まさかラストシーンに原作にない付け足しがあるなんて。正直あそこは余計な事を言わせないで欲しかった。原作を読まれた方はあのシーンについてどう思われたか聞きたいです。 (2005年10月07日 00時56分42秒)

Re:自分は原作至上主義者なのかな?(10/02)  
KUMA0504  さん
義宣さん
ご意見ありがとうございます。
私はいつ抱き合うのかと、緊張してみていました。(原作では肌を重ねあうのですが)しかし映画ではそこまで描きませんでした。その代わりあの台詞なのですが、それなりに緊張しました。でもあともう一歩盛り上げてほしい、というのが正直なところでした。だってあれで肌を重ねあわないと、単なるプラトニックラブじゃないですか。あの二人にはそれ以上のものがあったのです。(あえて封建制度の中の禁を犯すところにこの作品の凄さもあったと思います。)

ただ、私は成長物語としての「蝉しぐれ」に感動したので、そっちの失望感のほうが大きいのでした。 (2005年10月07日 07時42分32秒)

Re:TB御礼(10/02)  
KUMA0504  さん
スナッチャーさん
>はじめまして・・
>原作のファンであれば、あるほど不満がのこりますよね~。
>原作、舞台、映画・・全て別物として楽しみましょう・・って感じですかね?

ご意見ありがとうございます。
宝塚ですでに作品化していたんですね。(一度だけ宝塚を見たことがあるので)どんな舞台かだったか、想像できて愉しい感想でした。
そうですね。映画と原作は別物。それは充分に頭に入れて観たのですけど。 (2005年10月07日 07時50分26秒)

こんばんは♪  
miyukichi さん
 TBどうもありがとうございました。

 原作、私も読んでるんですが、
 かなり昔すぎて、内容を忘れていました。
 映画とは、描き方がまるで違っていたんですね。

>人は後悔するようにできている。その後悔を元にどうやって生きていくが大事なのである。

 この言葉、沁みます。。

 木村さん、私も正直あまり期待してなかったんですが^^;;、すごくよかったです。

 http://blog.goo.ne.jp/miyukichi_special (2007年09月01日 01時30分09秒)

Re:こんばんは♪(10/02)  
KUMA0504  さん
miyukichiさん
私の読み方も少しいびつなのかも。とあとで少し反省しました。
「河童のクゥと夏休み」もよかったですね♪ (2007年09月02日 10時15分22秒)

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