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2019年07月15日
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テーマ: 本日の1冊(3688)


文章として1番洗練されていたのは、やはり「蜘蛛の糸」であると思う。鈴木三重吉に頼まれて初めて書いた芥川の童話集である。研究によって、元ネタが判明し、更にはトルストイも同様の話を紹介していることが判明した。芥川の凄いのは、その2つとも最後に小難しい教訓をつらつら述べているのに、芥川はラストをお釈迦様の顔でさらりと流したことである。
私が20世紀最大の知識人と評価している加藤周一の「青春ノート」を覗き込むと、青年加藤は芥川に影響を受け、かつそれを如何に超えるか苦心していた。よって、単なる短編小説家と思っていた私の芥川龍之介評価は変わりつつある。確かに芥川の知識は、当時の日本の知識人の水準を遥かに超えていたと思う。この小さな童話集だけに絞っても、インド、中国、日本古代の知られざる典籍が元になっていて、更に短編小説の手法はヨーロッパ文学が基になっている 。それでも彼は自殺せざるを得なかった。大きな課題が、加藤周一の前に立ちはだかっていたとしても不思議はないと思うのである。
「アグニの神」は、在り来たりなジュブナイル・ストーリーなのだが、驚くことにその発端は「いったい日米戦争はいつあるか」という占い師への問いかけだった。日米開戦の16年前の記述である。
約40数年振りの再読。320円で、お釣り調整のために買ったのだが、下手な現代小説よりも考えるところがあった。





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最終更新日  2019年07月15日 08時16分36秒
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Re:芥川の評価「蜘蛛の糸・杜子春」(07/15)  
まろ0301  さん
 友人との読書会の次の作品が『阿部一族』という関係もあって、鴎外が乃木の殉死をどうとらえたか、漱石がどうとらえたかが議論になりました。芥川の『将軍』という作品(青空文庫で読めます)を読むと、鴎外とも漱石とも異なった芥川独特の感性にふれることが出来ました。
 以前、「テレビ文学館」という番組があり、そこで滝沢修さんの「トロッコ」の朗読を聞きました。長岡輝子さんの「アメニモマケズ」の朗読と双璧を為す(私の中では)作品であったと思います。
 アフォリズムの大家でもあり、「侏儒の言葉」、桃太郎のパロディなどホントに面白い人です。
 積読になっている『敗北の文学』も読んでみようかなと思っています。 (2019年07月15日 13時34分12秒)

Re[1]:芥川の評価「蜘蛛の糸・杜子春」(07/15)  
KUMA0504  さん
まろ0301さんへ
ありがとございます。
読書会の雰囲気はわかりませんが、阿部一族の同調圧力的な殉死や、「こころ」の乃木殉死にかこつけた自殺などの書き方から、なんとなく2人ともかなり冷めた目で見ていた、という予想が私の考えです。

「将軍」読んでみます。

「トロッコ」この本にもありました。童話というよりか、一遍の美しい詩です。昔、台湾映画でその美しさのままに熱帯地域の「トロッコ」を描いていたのを思い出しました。

「敗北の文学」はそういえば芥川批評でしたっけ。加藤周一も当然読んでいるはず。「青春ノート」に出てくるんだろうか。早く紐解かなくては。 (2019年07月15日 18時47分29秒)

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