11年前。 セルパン10歳。
極普通の家族の中に家族でないものが1人いた。
記憶の中に薄っすらと残っておるのは、この家に誰かに預けられた事。
ワシの親がこの家にワシを預けたと聞いたがワシは深く聞こうとはしなかった。
だからワシの中で小さい頃に親はいなかった。
死んでしまったのか捨てられたのかは分からぬ。
物心ついた時にはこの家におったと自分に言い聞かせた。
だからこれが家族だと思うしかなかった。
家族の主はカラカサと言う男。
その妻、モメンとワシと同じ歳の息子、カナメの3人家族だった。
家族は優しかった。 怖い位に優しかった。
だからその優しさに他人のワシはただいるだけで肩身が狭かった。
一体いつからこの家におったか思い出そうとするが・・・
そう覚えているのはやっぱり物心がついたときからという結論に達した。
カナメ「お母さん! ご飯まだ?」
モメン「もう少しだから待ってて頂戴」
カナメ「は~い」
セルパン「あ、ワシが何か手伝いましょうか?」
モメン「いいのよいいのよ。 セルパンは座ってて」
セルパン「いや。 しかし・・・」
カラカサ「いいんだよ。 セルパン」
セルパン「分かりました・・・!」
モメン「どうかしたセルパン?」
セルパン「(今、窓の向こうに誰か・・・) いや何でもないです」
・・・
カナメ「うわ~美味しそう」
モメン「カナメ!待ちなさい。 挨拶してからよ」
カナメ「は~い」
一同「いただきます」
モメン「セルパン、おかわりもあるから沢山食べなさい」
カナメ「あ~セルパンだけずるいぞ! 僕も僕も」
カラカサ「こらこら。 ゆっくり食べなさい」
セルパンの茶碗は空になっていた。
モメン「あ! ほらほらセルパン。 おかわりね」
セルパン「! あ、ありがとうございます。 おかあ・・・おばさん」
モメン「いいのよ。 あと敬語もそろそろ止めてくれないかしら? 私達はそんな偉くもないわよ」
セルパン「い、いや・・・しかし」
カラカサ「慣れていけばいいさ。 フフ」
・・・
カナメ「お父さん! お風呂入ろう」
カラカサ「そうだな。 セルパンも一緒に」
セルパン「! は、はい」
カラカサ「どうだ? セルパン背中、洗ってやろう」
セルパン「! あ、ありがとうございます。 おとう・・・おじさん」
カナメ「じゃあセルパンは僕の背中洗って」
セルパン「うむ」
カラカサ「セルパン。 敬語もそうだがいつも・・・お父さんと呼んでもいいんだぞ?
もちろんモメンの事をお母さんとも」
セルパン「い、いやしかしワシは」
カラカサ「それとも何か? 私達を親と思うことは出来ないか? フフ」
セルパン「そんな事は!・・・全然ないです」
カラカサ「だった呼んでいいんだぞ。 私達もその方が嬉しいさ」
セルパン「・・・は、はい。 お父さん 」
カラカサ「ん? もっと大きな声で」
セルパン「ありがとうございます。 お父さん!」
カラカサ「フフ」
・・・
カナメとセルパンの部屋。
カナメ「セルパンが来てから毎日楽しいな」
セルパン「本当に?」
カナメ「だって僕達って家族でありながら友達でもあるんだよ? そんな事ってある? 凄くない?」
セルパン「家族? 友達? カナメは本当にそう思ってくれてるのか?」
カナメ「? 何で? 当たり前じゃん。 お父さんとお母さんだってみんな思ってると思うよ」
セルパン「そ、そうか? ハハ、、、ハハハ」
カナメ「何だよ笑っちゃって気持ち悪いな」
セルパン「いやスマナイ・・・そろそろ寝るとしようか」
カナメ「そうだね。 おやすみ。 セルパン」
セルパン「うむ。 おやすみ」
暗くなった部屋。 セルパンは暗闇で涙を流した。
偽りではあるかもしれない。 はたから見たら本当の家族ではないかもしれない。
しかしこの家で、ワシには家族が出来た。
To Be Continued
第69話「Heat Up」 2009.07.12
第68話「エレクの覚悟」 2009.07.11
第67話「大喧嘩」 2009.06.26
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