このような「鳴かないホトトギス」に対しての思いを持ちながら、上述したように私は松下政経塾生として「鳴くことのできるホトトギス」であらねばならないと考えている。このアフリカに来て感じるのは、私たちの視点からの「鳴かないホトトギス」「鳴けないホトトギス」に出会い、「それもまたよし」と強く感じる一方で、自分自身がその場所で日本人として「鳴かねばならない」「鳴くことが出来る」と改めて感じることも多いのである。「グローバリゼーション」とか「人権の普遍性」とか響きのいい言葉であらゆる分野におけるすべての価値観を総まとめにしてしまうのではなく、それぞれの問題となっている部分で個別具体的に考え、それぞれの国や地域、民族に応じた日本外交のあり方を模索していくことが自分自身の鳴き方であると考えている。HIV1つをとって考えても、これは日本を含めた地球規模での課題であり、主権国家間の相互協力なかで解決していかねばならない問題であることには間違いない。ただ、その解決のなかで「普遍性」という一律の価値観で解決策を考えるよりも、各地域に根付いた文化、慣習に寄り添えるような地域行政・地域住民の価値観を活かしたマクロ的支援政策のあり方を考えていくほうが効果的である。具体的には、住民が中心となって運営する「ライフサポートセンター」を各地域レベルで日本を含めた世界各地に設立していくということを考えている。これまで日本の途上地域への支援活動は、有償・無償資金援助を通じた日本ベースの価値観に基づいたプロジェクト支援であり、特定分野への支援に関してもJIKAを通じた短期の専門家派遣や実績をあげているNGOへの資金援助などが中心となっている。今後はそうではなく、現地のニーズを最も把握し、現地の価値観を活かして運用できるCBO(Community Based Organization)を住民ベースで育て、それをいかにNGOや行政とリンクさせていくかを考えている。具体的な活動の中身に関しては趣旨がずれるので次回の個別レポートで述べるが、ここで言いたいのは「鳴かないホトトギス」に対して「それもまたよし」と捉えるのは、決して互いに理解し得ないことからの逃避であってはいけないのであって、「鳴かないホトトギス」の心に迫り、互いに共存できる環境を創るために自分たちから「鳴きかけてみる」ことが必要ではないかということであり、私自身そのような生き方をするつもりである。