くろの旅

くろの旅

2006年03月31日
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「君はルートだよ。

 実に寛大な記号、ルートだ。」



映画にもなった
「博士の愛した数式」の原作(小川洋子著)を
読みました。


新鮮に、感動しました。
本当に美しい話です。


くろはバリバリの文系で、

こんなに美しく、詩的に、
数学の話を文章化している小説を、
くろは知りません。



主な登場人物は、
・80分しか記憶の持たない数学者と、
・そのお世話をする家政婦
・家政婦の息子10歳です。

とにかく、数学に関する表現が秀逸なのです。


家政婦の息子は、
頭のてっぺんが平らな形をしていて、
√記号を連想させるため、



博士と、家政婦の息子が初めてであった時の言葉です。

「 君はルートだよ。

  どんな数字でも嫌がらず自分の中にかくまってやる、
  実に寛大な記号、ルートだ。

  これを使えば、無限の数字にも、目に見えない数字にも、


  おお、なかなかこれは、
  賢い心が詰まっていそうだ 」


くろにとって、今までルートなんて、よく分からない存在で、
見た目もなんだかカクカクととげとげしく、
数学が苦手なくろをいじめているような
記号にしか見えませんでした。

(2の平方根は「ヒトヨヒトヨニヒトミゴロ」とか
 意味もなく覚えさせられたこともあります)

でも、博士の言葉によって、急に魅力的な存在になりました。



他にも、
「素数」、「友愛数」、「完全数」など、
さまざまな数学用語が
とても詩的に、魅力的に表現してあります。


博士が一番大切にしているのが、
「オイラーの公式」

 eπi+1=0

というシンプルな公式なのですが、
さすがにこれは解説を読んでもよく分かりませんでした。
誰か意味が分かる方がいらっしゃれば教えてください。



作品に出てくるさまざまな数字の中でも
特に重要なのが、「28」
完全数です。

完全数とは、自分以外の約数を全部足すと
その数字自身になるという数字です。

28の約数は、
1,2,4,7,14、全部足すと28になります。

そして、28は、博士の心の中のヒーロー、
球界を代表する左腕、江夏豊の背番号でもあります。

そして、野球好きの家政婦の息子と、
博士の心が近づいていくための鍵となる数字でもあります。



一見無機質な数学の世界を
これだけ温かく感じさせる表現力、

あらゆる表現をきちんと裏づけ、支えている
数学に対するきちんとした取材力、

数字と人のこころの動きをシンクロさせていく
見事な構成力、


中学生くらいの時にこの本に出会っていたら、
くろの数学嫌いも
変わっていたのではないかと思います。

作者の小川洋子さんには
最大限の敬意を表したいと思います。

皆様も機会があれば、是非読んでみてください。


いい作品でした。





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最終更新日  2006年04月02日 16時03分12秒
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