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2009年07月25日
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に昨日行ってきました。で、せっかくなのでその概略を書きたいと思います。
とはいえ、mixiに書いたやつの文章おかしい所を直した程度のものですが・・・。
ちなみにこの講演は大阪で「ジブリレイアウト展」をやるのを記念して行われたものです。


まず最初に「ジブリレイアウト展」ということで、レイアウトの説明とその意義について少しお話がありました。
詳しい方はもう良く分かっていると思いますが、アニメーションにおけるレイアウトというのは画面の設計図のことです。
「絵コンテと何が違うの?」と思われる方も多いでしょうが、絵コンテは演出プランを示すもので、人物がこう動くのだとか、こういう背景がいいだとか、アングルはこうだとかおおまかな見せ方を決めるものだそうです。
一方、レイアウトは画面自体の構成、例えばキャラクターと背景とのマッチングだとかいったものをするわけですね。



と、基礎知識を頭に入れたところで肝心の空間表現のほうに話題を移したいと思います。



実写だと広角レンズだとか望遠レンズを使ったりして奥行(空間)を表現するのですが、いわゆるセルアニメーションというのは全て絵で表現します。

これはもちろん大変なことですが、逆にせっかく絵(=自らの意思でコントロールできるもの)で空間を描いているのだから、実際の印象に近いような感覚が味わえるような表現に変えることができるんですね。
たとえば高畑監督は五重塔を見上げる時の話を例に出されました。
普通、理論的には下から塔を見上げると、パースが付くので塔の先は小さくなって見えるのですが、実際に見上げてみると印象として重くのしかかってきているような迫力があります。
しかし、アニメーションでそのように描いてしまうと、画面の臨場感が何だか欠けてしまっているように見えてしまうのです。
そこで、実際に見えるものではなく、印象と同じものを引き出すために先の部分も大きく描く、ということをしたりするのだそうです。



次に高畑監督が話されたのはディズニーのアニメーションと日本のアニメーションの違いです。
ディズニーのアニメというのは奥行をあまり描いていない、つまり縦の構図が少ないというのです。
具体的にどういうことかというと、ディズニーのキャラクターというのは左右の横移動や斜め移動が多く、前後(つまり画面では縦)の動きが少ないというんですね。
一方、日本のアニメは縦の入れ込みの構図が多いのです。

どうしてこういった違いが生まれたのか。

その問いに対して、高畑監督は次のように考えています。

確かに、日本の漫画などを見ていると、鼻を点だけでほとんど表現していないものも多いですよね。
一方、西洋の人は鼻をきちんと描かなければ気がすみません。きちんと鼻というものには高さがある、ということを分かるようにしないと気持ちが悪いのです。
そのため、鼻を描く際には西洋人は正面の絵でもいわゆる鉤鼻を描いたり、陰影を付けたりします。つまり正面の絵なのに、鼻だけは斜めを向いた絵としてしか描けないのです。

こういったことから縦(つまり正面)の構図をディズニーアニメは避けるようになったと高畑監督は主張するのです。

とはいえ、ディズニーアニメも全く縦の構図を使っていないわけではありません。

これは最終的には日本のアニメーションによって否定されてしまうことになるのですが、その先駆けとなった映画が高畑監督の「太陽の王子ホルスの大冒険」なのです。

ホルスでは積極的に縦の構図が用いられています。最初の冒頭の1カット目もそうです。
カメラ手前をオオカミやホルスが駆け抜けた後、画面奥の崖のようなところで乱闘し、そして再びカメラ手前に駆けてくるといった画面構成になっているのですが、こういったものにしたのはそれまでのディズニーなどをはじめとしたアニメーションの表現では何か物足りないと高畑監督は感じていたからだそうです。

この物足りない感じはどこからきているのでしょうか?
それは横の構図と縦の構図が視聴者に与える効果の違いから来ています。

そもそも横の構図は画面を客観的に見せる効果があります。どこか舞台的に思わせ、視聴者は物語の外にいる感覚を覚えるのだそうです。
一方、縦の構図は臨場感を与えます。ナメなどを例にとればよく分かると思うのですが、登場人物に感情移入しやすい作りになっているのだそうです。

つまり横の構図が多いディズニーアニメはどこか客観的な部分が多く、いまいち臨場感に欠けるため物足りなかったのです。

この後、高畑監督は他に密着マルチなどを用いたりした奥行表現などを行っていくことになるのですが、転機が訪れます。
それが「キリクと魔女」との出会いです。
この作品を見て、それまで縦の表現(奥行)にこだわりすぎて見失っていた客観性もとても大事なことなのだ、とはっとさせられたそうです。

高畑監督は「ハラハラ」と「ドキドキ」は違うといいます。
「ハラハラ」は先の危険が見えており、キャラクターがそれに向かって進んでいくのを手に汗握る気分で見ていることで、「ドキドキ」はキャラクターと同一化し、先に何が起こるか分からないけれど、危険な状態にある、といったものを指すのだそうです。
つまり「ハラハラ」は客観的であり、「ドキドキ」は主観的なのですね。
そして最近は「ドキドキ」を重視していたが、実は「ハラハラ」も大事なのではないか、と監督は思い至ったのだそうです。

話は変わりますが、高畑監督の作品に「ホーホケキョとなりの山田くん」というのがあります。
この作品はそれまでの高畑作品とは空間の捉え方が違っています。というのも、漫画的な空間の捉え方をしているのだそうです。
漫画というのは、描いていなくてもそこに実は存在しているものがあったりしますよね。つまり、必要最小限のものしか描いていない。
アニメでも同様の空間表現ができないだろうか。
そういう試みで作られたのがこの映画だそうです。
私はまだ未見なので近々見たいものです。



最後にまとめると、日本のアニメは空間をとらえる方に発展してきた、ということです。
これは日本にはその土台があり、またそれを実践しようという意欲旺盛なクリエーターたちがいたからです。
しかし、最近はそれが行き過ぎている気もするので、少し客観的な画面も入れることも高畑監督は必要だとおっしゃられていました。
どちらが優れている、ということはないのだから、きちんと特性を見極めて使え、ということですね。





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最終更新日  2009年07月25日 19時29分42秒
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