[woman problem] カテゴリの記事
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こうしてまた格差が生まれる
20歳の誕生日を迎える人の年金加入のデータ入力をしていると、既に子どもがいる人も ちらほらいて（その子が３歳だったりすると唖然）、非常に残念な気持ちになってしまう。国立社会保障・人口問題研究所の集計によると、20歳以下で子どもを持った人の８割、25歳以下で子どもを持った人の６割がデキ婚によるものであり、低学歴、不安定収入の人が多いのが特徴だという。低収入で非正規雇用者の親は、自分の境遇からして、子どもに希望を持てずにいる。十分な教育環境を与えることができないため、子どもも意欲がないまま育つ。学校の勉強についていけないから高校中退、まともな職にも就けず無職かせいぜいフリーター、精神的に未熟なまま、似たような環境で育った相手と低年齢のうちから性交渉を持った結果デキ婚、なんてパターンか。負の連鎖は確実に、次世代へと受け継がれてゆく。ところで、年が明けたことによって、新加入の若者は平成５年生まれになったわけだが、平成５年の１月といえば、私は大学１年生で、初めての試験に奮闘していた。何しろ年に１回しか試験がないときている。勝手がわからず右往左往した。資料持ち込み可の科目もあれば、何も持ち込んではいけない科目もあって、過去問を集めたりして、必死に対策していたのに、そんな大事な時期に体調を崩し、必須科目である憲法の試験がある最終日は発熱のため 欠席する羽目に。追試を受けても、８がけの採点方法では やはり厳しく、単位を落とすことになったというなんとも苦い経験だった。いやはや、もう20年も昔の話なのか。そして、フリーターという言葉が世の中に広く浸透したのもこの頃だったと思う。フリーターとは、リクルート社の「フロムエー」という雑誌から生まれた言葉で、フリー・アルバイターの略称である。この言葉が生まれたのは昭和の終わり頃、いわゆるバブル全盛期で、学卒者の就職難とは無縁の世の中であった。そんな時代に、会社という枠に縛られたくない、自由でいたい、などの理由から、敢えて正社員にならない一部の若者のことをフリーターと呼んだ。そう、当時は、自ら進んで正規雇用者にならないというニュアンスが強かったのだ。しかし今は違う。定職に就かず（就けず）アルバイトやパートといった非正規で働く若者のことをいう。いや、若者だけではなくなっている。少し前までは10代、20代の若者が中心だったが、最近は30代は勿論、40代や50代も増えている。リストラされたり、早期退職したものの、その後 再就職先が見つからなかった中高年は、アルバイトで生計を立てるしかない。もっとも、無職にならないだけマシかもしれないのだが・・・。こうしたフリーターの増加は少子化につながっていく。安定した収入が得られないということは、それだけ結婚することが難しくなる。最近はブライダル業界を中心に、デキ婚に対する否定的な印象を払拭するため「おめでた婚」「さずかり婚」などと呼称しているが、社会的に見て、デキ婚に対しての否定的な印象はまだまだ根強い。夫婦ともに平成生まれ、２人とも国民年金第１号、というケースはおそらくフリーターなのだろう。収入が不安定なフリーターのデキ婚は、子どもが生まれても、夫が定職に就かないなどの経済的理由から家庭が崩壊するケースが多いのではなかろうか。両親とも親になる自覚が持てず、子ども中心の生活にならざるを得ない状況に耐えきれず、夫は逃げ出してしまう。残された妻は一人で子育てして、働かなければならない。はたして、きちんとした環境で育てることができるのか。実際「母子になったんですけどぉ～。年金払わなくていいって聞いたんでぇ～」と免除の申請にやって来る若い母親の多いこと多いこと。そんなので子育てできるの？と眉をひそめたくなるようなゴテゴテのネイル、金髪の巻き髪、10センチはあろうかというヒールで赤ちゃん抱いてたりして。そういえば未成年のうちから母１人子１人で、生活保護なんて輩もいたなぁ。あぁ、やだやだ。やはり、勉強すべき時にはきちんと勉強して、志を持たなきゃぁ。そのためには、親がある程度の環境を整えてやらなきゃぁ。
2013/01/22
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自分を発揮できる窓を持つ
私は 女性として、人間として、どうありたいか。自分の内にある素質や能力、授かった多くの徳を、一つ一つ振り返り、心の軸を求め、地に足をつけて立つ自分を想像すれば、おのずと答えは見つかった。それは 結婚、出産、育児、仕事、と女性としての人生をフルセットで全部やること。祖母の７回忌があり、何年かぶりに会った叔母と話が弾んだ。今回、外孫は呼ばなかったので、いとこたちは来なかったのだが、叔母によると「うちの娘はずっと専業主婦だし、嫁も短時間のパートよ。私に似たのかしら、子どもが成長しても働きに出ようって気持ちがないみたい。今度 中学に上がるから、これからどんどんお金がいるのにね～」そこで私の妹（下の妹）が「私は、二人目を産んで少し大きくなったら働きたい。ずっと家にいるより気分転換できるし、小遣い欲しいし」と言った。アンタは気分転換のために働きたいのか、と突っ込みたくなったが、動機なんてのは人それぞれだし、短時間のパートなら気分転換とか小遣い稼ぎという色合いが強いのも無理はないかもしれない。妹は以前、私にも話したことがあった。「１日３～４時間で週３日がベストかな。毎日働いていると疲れるし、好きなこと何もできなくなるのは嫌だし。友達とランチとか買い物に行けなくなるのは耐えられない」と。まぁアレだ、余計な心配はするに及ばず。元々バリバリ働くタイプではない。結婚した時、仕事と家事の両立が難しいから早く辞めたいと言ってたからな。毎日定時で帰れる仕事で、しかも子どもがいない状態でそんなこと言ってんだから。（そのうち本当に辞めた）いとこの嫁が１日４時間のパート、学校の給食の配膳係だから子どもが夏休みなら自分も休み、という話を聞いて「いい仕事だね、１日４時間くらいがちょうどいいよね」と妹。他の伯母も「主婦向きの仕事でいいじゃない」と。そして「Ｎちゃん（妹の名前）も いい仕事が見つかるといいわね」。何を甘っちょろいこと言ってるの、と思いつつ 価値観の違いだから黙っていた。いとこも いとこの嫁も、高校を卒業して22歳くらいで結婚している。言っちゃ何だけど、腰かけ的に数年働いただけだ。妹も結婚したのは25歳、女はいずれ結婚して養ってもらったらいいんだからそんなにがむしゃらに働かなくても、みたいなことを言っていた。そうだ、根本から違うのだ。私は進学校で「これからは女性も働く時代」との教育を受け、少しでもレベルの高い大学へ行こうと勉強した。父が「女の子だから短大でいい」と言うのを押し切って大学に行かせてもらった。それはひとえに自分の可能性を広げるため。ある程度の大学に行けると思ったし（残念ながら第一志望は落ちたけど）、将来、母親になったとしても自分の役割を限定し、視野を狭めるのは嫌だった。叔母が「Ｔちゃん（私）はプジョーなんか乗っちゃって、さすが市役所で働いている人は違うわね、稼いでいるんじゃない」と言うので悪意がないのはわかっているけど、ちょっとモヤモヤした。えぇ、確かに私は お宅のお嫁さんみたく短時間のパートではございませんが、単にお金のためだけに長時間働いているんじゃございませんのよ。子どもを学童に行かせ、負担をかけていることは承知の上、社会に出て働くことは身内以外の他者のために働くということ、つまり目に見える社会貢献をしているということ。 その対価として給料をいただく、そこから税金としてまた社会に還元される。そうして世の中は上手く回っている、その中の一員として自分が存在しているのだ。働くことは当たり前だ。健康な成人として ごく当たり前のことだ。何も特別なことじゃない！勤労と納税は国民の義務なのだから。
2012/03/31
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何を支えに生きていくのか
ひどく疲れた様子の女性は１歳くらいの女児を抱いていた。その横で ５歳くらいの男児が、母親の上着の裾を握っていた。その親子を窓口で一目見ただけで、これは只事ではなさそうだと判断できた。彼女らに付き添ってきた自治体職員が差し出した書類には、生活保護受給世帯が多いことで有名な、西日本の とある場所の名前があった。どうやら、夫のＤＶから着の身着のまま逃げて、警察に保護された模様。自宅を飛び出す直前に どういうやりとりがあったのかが生々しく書かれていた。私たちの市にある母子寮に入ることが決定し、諸々の手続きをしているのだという。こういった人たちは、年金番号を新たに取得するケースが多いため、その相談に来たのだ。ちなみに、この一家も保護世帯だったようだ。理由はどうあれ、安定した生活を営むことが難しい。そういう人たちが家庭を築くことで背負う格差、社会的な階層の固定化を打破するには何が必要なのだろうか。一番の被害者は そんな環境で育てられる子どもだと思うと窓口対応が終わり 彼女らを見送ってからも、暗澹たる気持ちで ため息が漏れた。
2012/03/21
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大いなる矛盾
まだかまだかと待っていた ねんきん定期便が届いた。学生時代、毎月 バイト代から１万いくらか母に渡していたのは１ヶ月の漏れもなく きちんと納付されていたようだ。よかった～。学生時代の１号、会社員時代と今現在の２号、そして専業主婦時代の３号。このうち、３号期間が一番長い（もうすぐ２号期間が追いつき追い越すけど）。システムにならっただけとはいえ、非常に申し訳ない気持ちになる。会社員（または公務員）の夫に扶養される妻は、年金を納付する義務がない。そのしくみについて、私は勘違いしていた。夫が妻の分も払っているものだと思い込んでいたのだ。いや、私だけでなく 多くの妻がそう思っているのではなかろうか。実は違うんだな！夫が２人分払っていると思ったら大間違い。３号の分は、２号全体で負担している。つまり、夫だけでなく独身者まで含めて、どこの誰かもわからない奥さんの分を負担しているということ。自分では１円も払わないのに、老齢基礎年金と同額が保証される。つまり、１号として毎月 年金保険料を納付してきた人と同じということ。専業主婦（年収130万以下のパート主婦も含む）は優遇されすぎだ、という批判の声があるが、厳密に言えば、３号である主婦が優遇されているにすぎない。同じ主婦であっても、夫が自営業や非正規雇用などで１号の場合、妻も１号になり、毎月 年金保険料を納付しなければならない。極端な話、専業主婦として20歳から60歳までずっと３号で１円も払ったことがない人と、専業主婦ではあるものの 夫の職業により妻も１号であるため20歳から60歳まで40年間ずっと払い続けた人がいるとしよう。この２人が65歳になった時に受給する年金額は同じなのである。何だ、この不公平さは。元々、主婦には年金に加入する義務はなかった。しかしそれでは 夫の退職や離婚で無年金になるケースが多いため、1986年に「女性の年金権を確立する」という理由で第３号被保険者が創設された。当時、厚生年金と共済年金の原資には余裕があったため、政治的配慮により保険料を払わなくても受給資格を与えることにしたのが混乱の始まりである。「弱者」である主婦を救済するためとはいえ、これは明らかに不公平なシステムであることはまちがいないのだ。国が行うべき社会保障の負担を企業（官庁）に押しつけるシステムは、高度成長期のように原資がどんどん拡大している時期には見かけ上の高福祉＆低負担を実現したのだろう。しかし今は状況がまったく違う。財政危機で 民間企業の経営も苦しくなると、そのツケは将来の世代の負担増となってはね返るのだ。日本の労働人口は減っている。女性を労働者として活用することは急務の課題である。国会では、厚生年金の適用範囲を週20時間以上の労働者にまで拡大しようかと検討されているようだが、実際、パート主婦はそんなことは望んでいないらしい。130万円以内なら夫の扶養で健康保険も年金もタダ（！）なのに、厚生年金に入ったら保険も年金も払わなきゃいけないから損だ、という言い分らしい。３号というシステムは、女性の就労意欲を低下させていると思う。せっかく 男女の雇用機会均等を制度化したのに、年金制度によって女性の労働を阻害するのでは筋が通らないじゃないか～！
2012/02/29
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ビフォー＆アフター
嘱託という身分の私は１年ごとの契約更新で、毎年 履歴書を出さなければならない。昨年、試験を受ける時の履歴書に貼った写真がまだ残っていたが、今より髪が短い。とはいえ、わざわざ証明写真を撮りに行くほどでもないから夫に頼んで 白い壁の前で撮ってもらい、インクジェット写真用というはがきに印刷し、履歴書のサイズに合うように切った。人事課に出すだけだし、これで十分だ！残っていた写真と、今回新たに用意した写真を見比べたら、自分で言うのも何だけど 今年のほうがいい感じだぞ。小姐はダイレクトに「こっちのお母さんのほうが若く見える！」だそうな。うむ、この違いは何ぞや。どちらもパーマヘアだけど、昨年のほうが短くて 耳の横からウェーブになっていて全体的にフワフワしたイメージ。今年は、顎ラインまでストレートで、そこから下はアイロンで巻いており、フワフワというよりはゴージャスで派手だ。こっちの髪型のほうが若々しいということだろうか。いや、髪型だけで左右されるわけではない。今年は穏やかな顔をしている。昨年のほうは、顔つきが なんとなく疲れた印象なのだ。あ、そうだ。昨年使った写真といっても、撮ったのは２年近く前のはずだ。そうそう。アルバイトで行政書士事務所に入る前だから。思いっきり専業主婦だった頃の顔だ！あの頃は、自分に誇りを持てずに苦悩していた。仕事が見つからず、主婦という立場に専念すればするほど、虚しさに襲われていた。家庭という共同生活の仕事を一手に引き受け、その孤独感から解放されることもなく、いつまでも果てることがないという虚しさだった。社会でいう良妻賢母になろうと自分を追い込み、勝手に窮屈になっていた。子どもたちが不在の間、趣味に時間を使った。気が紛れても、晴れることはない。こんなものが自分さがしなのか？アイデンティティなのか？悶々とした日々、自由時間の中で精神的に疲弊した。自由時間は両刃の剣であって、凶器ともなるのだと思った。だからこんな疲れた顔をしているのだ！今のほうが確実に忙しくて疲れているはずなのに、疲れたような顔をしていない。いや～、ビックリだね。２歳も若いのに、精神状態では老けて見えるものなんだね！
2012/02/26
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無頓着にも程がある
窓口に来た母娘。金髪プリン頭（！）に真っ赤なマニキュアの娘は不貞腐れた様子で、代わりに母親（この娘の母にしては見た目は地味）が話し始めた。「この子、今度 結婚することになったんだけど、旦那さんの扶養に入る前に年金のことをちゃんときれいにしておきたくて」「きれいにしておきたくて」とはどういう意味でっしゃろ。未納になっている月がないか確認したい、という意味だろうか。でも、こちらとしても やたらに未納という言葉を使いたくないので「どれだけ納付してこられたかの確認でよろしいでしょうか」うむ、とはいえ市役所では端末たたいても納付月数まではわからないのだ。こういう内容は年金事務所に聞かねばならんのだ。えー、現在20代半ば。ハタチで加入して、な、な、なんとオール未納！おいおい。督促状とか来なかったのかよ。気づかなかった？それとも無視した？働いていないから どのみち払えないって開き直っていた？それとも、払う義務があるということさえ認識がなかった？まさかね。このご時世、仕事にありつけない若者は ゴマンといる。ただ、女性には逃げ道（と言うと語弊があるかもしれないけど）がある。 女性が就職できなくても、男性ほど悲壮感や焦燥感がないのは、社会が、女性には正社員であることを求めないから。 派遣でもアルバイトでも何でも認められる。ほぼどんなレベルの生き方も許される。女性でありさえすれば。厳しいレールから外れたからって、社会的に迫害的な目線を受けない。 「結婚して養ってもらったらいいんだからそんな頑張って一家の主みたいな職に就かなくてもいい」という意識があるから。 だから正社員経験がなくても、将来的にも傷にならないのだ。 この人も、結婚して被扶養者になるわけだ。３号だと納付しなくていいからね、また甘々（！）が続くんだね。「未納だとどうなるんですか？」と、母親が質問した。えっ！お母さん、知らないの！？あ、この母親も３号で、若い頃も自分で払ったことなかったとか そういうクチかな。かくかくしかじか、と説明すると「えぇーそうなんですか！？」そらそうよ（岡田監督風に）。払うもんも払わんといて、もらう時だけもらおうなんて虫のいい話があるかいな。若い人の中には、年金なんて将来どうなるかわからないものだから払わない、と決めつけている人が多いけど、たぶんそういう人に限って しくみをよく知らないんだな。もし、不慮の事故などで障害を負った場合にどうなるか。障害年金の申請をしたくても、納付要件がアウトで門前払いを食うことになりますよ！事故になんか遭わない、という保証はどこにもありませんよ！大人になったらきちんと働け！そして、納めるべきものは納めなさい！
2011/08/17
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既得権益
健康保険がないのは怖いから、ちゃんと払う。でも年金は、最悪 将来もらえるお金が減るだけだから、無理して払わない。――― そんなことを、窓口で言った人がいた。経済的に支払いが困難なら、年金より健康保険を優先することだろう。昨日会った、現在無職の友人も同じことを言っていた。そんな彼女もまた、離職特例で年金を全額免除されている。この先、再就職して懐が潤っても 免除になった分を追納する気はないらしい。「だって将来、年金制度そのものが どうなるかわからないじゃない。年金にしても税金にしても、集めたお金の使い道って平等じゃないわ」 うむ。彼女のような独身者からしたら幼稚園（保育園）から大学まで 子どもにかかわるお金は子どもを持つ人だけで負担すればいいじゃん、と思うだろうし、 健康な人からしたら、自分は医療費なんてまったく使ってないのに慢性病や老人が湯水のように使うのはけしからんって話にもなりかねない。年金に関しては不公平と割り切って考えるしかない。 100歳まで生きてもらえる人もいれば50歳で亡くなってしまう人もいる。 勤め人というのは俎板の上の鯉みたいなもので、給料天引きされるお金を払うの払わないのって決定権はない。そこは相互扶助の考え方なんだろうけど、主婦（３号）は優遇されすぎている。働かない人間が誰にも迷惑をかけずに資本主義経済を生きられるなんて、そんなムシのいい話があるわけないのに。 まぁ私も主婦で８年もタダ乗りしてしまったわけですが…ごめんなさい。今後は、勤労と納税という国民の義務をしっかり果たします。
2011/06/20
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干からびる前に
忘れもしない、昨年の今日は ５年半ぶりに社会復帰した日であった。坊が入園して約半年、なかなか仕事に就けず（面接にすら進めないことが多く）、ようやく決まった職場だった。人間関係についていけなくて１ヶ月も経たないうちに辞めてしまったが、専業主婦という、いわば生ぬるい暮らしに５年半も どっぷり浸かってしまった私が、社会的に通用するのだろうかと不安になったことや、それでも いざ店先に立てば、働いていることの昂揚感でいっぱいになったこと等、私にとって決して無駄な１ヶ月弱ではなかったように思う。その後、クリスマス時期限定の某大手おもちゃ屋での仕事を経て、１、２月は無職で、３月の終わりから例のバイキングの店に行った。その仕事も、４ヶ月程度で辞める（辞めさせられる）ことになったが、好きな仕事ではなかったせいか、たいして悲しいとも思わなかった。沖縄にいる上の妹は看護師である。小学生の頃からの看護師を目指しており、高校から看護科に進んだ。その後、東京の看護学校に進み、大学病院に勤務していたが、彼氏の後を追って沖縄に移住した。看護師はどこに行っても職があるからいいね～。最初は町役場で健康診断に関する仕事をしていたが、「つまらなくてやっていられない。やっぱり私は病棟が向いている！」と、重度の肢体不自由児ばかりが集まる病院に移った。座っているのは患者の食事の世話をしている時だけ、というくらい忙しいとのこと。（ヘルニア持ちなので相当つらいはずなのだが）それでも、毎日充実しているらしい。妹は本当に看護師の仕事が好きなのだ。この先生は嫌だとか、この病院の方針が気に入らないなどと思ったことはあっても、看護師を辞めたいと思ったことは一度もないという。まさに天職といえるだろう。そして、もっとすごいのが、その大好きな看護師の仕事だけではなく、福祉方面の資格も取りたくて、東京にいる頃からコツコツ勉強していることだ。医師の論文グループに参加して、共著として出すことになり、近々、専門誌に載るのだとか。もっと本格的に勉強するために、来年度からは大学の通信教育部に入るという。看護師の仕事だけでも不規則で大変なのに、どこにそんなエネルギーがあるのか。さらに、休みの日にはプールに行ったり（幼稚園から高校まで水泳をやっていた）、不定期で雑誌のモデルまでこなしている。母は「あの子の集中力はすごい」と舌を巻く。父は「頑張りすぎて体を壊すのでは」と心配している。しかし２人とも「好きな仕事に熱中できるのは幸せなことだ」と口を揃えている。確かにそうだな。私はこれといったとりえのない人間だから、妹がうらやましい。対極にいるのが下の妹。こちらは小さい頃から泣き虫の甘えん坊で、誰かにレールを敷いてもらわなければ動けない子だった。無気力でボーッとしているので、エネルギッシュな上の妹に言わせれば「アンタを見ているとイライラする！時間がもったいないと思わないの？」そう言われると決まって不貞腐れて「どうせ私はバカだもん」。結婚して１年半くらいだが、しばらくは夫婦２人で楽しみたいらしい。ちなみに、紆余曲折があって働いてはいない。なんともったいない！男性なら、働かないという選択だとニートになってしまうけど、女性の場合は大手をふって家にいられる。 家事が大好きでなくても「家の中で守られたい」などと言いやがる。いつまでも子どものままでいたい願望か？相変わらず甘いな～。 専業主婦を、社会に出て働かなくていい手段と思っているとしか思えない。まぁ、妹と配偶者が納得しているなら私がブツブツ言うことじゃないけどね。（そのわりにはお金がないとか言うんだよな。アホか） 妹たちがこんなふうなので、母は「虎猛子が一番まともかも」と言う。何？可もなし不可もなしってか？主婦、それは私がなりたかったものだろうか？子どもの頃の夢は、結婚して子どもを産み、主婦になることだったか？ 女の犠牲の上に日本の社会は成り立っている？本来福祉で賄われるべきものを、女が肩代わりしている？ 自己実現を望むことはあまり推奨されない？「名無し」の、妻であり母であることが女の美徳とされている？子どもを産んで家事をしてパートに出て介護をして、それが女ですか そうですか？ そんなことを言い出すとフェミのレッテルを貼られそうだけど、 素直に「主婦」であり続けるのも何だかな～と思うのだ。夢と現実、これでいいのか。 私だって上の妹みたいに好きな仕事で社会の役に立ちたい。ボランティアとしてではなく、ちゃんとお金をもらって。だから認定試験の勉強をしているが、生易しいものではない。正直、くじけそうになる。我ながら途方もない目標を立てたものだと思う。でも一度きりの人生、チャレンジしないとね。子どもを育てていると、つい自分自身は隠居みたいな気分になってしまいがちだが、冗談じゃない、母親だってまだまだ現役の女性じゃないか！勿論、子育ては大変だし家事だってしなければならないが、自分にもまだ将来があることを忘れてはならない。結局、人より勉強して大学なんか入ったって、専業主婦になってしまえば、あの頃 勉強していなかった人たちと同じなのだ。その精神性に見合った将来が待っているわよ、と半ばバカにしていた人たちと。悔しいじゃないか！頭を使え！このままで終わるもんか！
2009/11/04
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それぞれの希望
今日は義父の誕生日。息子と嫁と孫が全員集合した。「古希だから、皆でちょっといいところに行ってはどうでしょう。ちなみに私の祖父母の喜寿や米寿の時は○○温泉で…」と義母に提案したのは長男の嫁である私。夫も義母もその意見に賛成だったが、義父は「俺は豪華な食事よりも、孫が楽しそうにしている姿を見るほうが嬉しいから、堅苦しくなく、子どもが遊べるようなところがいい」という。ちょうど、三男が行こうかと検討していた浜名湖畔のリゾートホテルで、ランチバイキングをやっているらしいし、食べ終わったらプールに入れるので子どもが喜ぶだろうということで、決定した。義父母は三男の車に乗って来た。私たち家族と合流し、最後に次男が登場。もしかして…とは思っていたが、予想どおり、次男の彼女も一緒だった。当時 婚約すらしていなかった三男の彼女（現在の三男嫁）を「旅行が好きな子だから」と私たちのグアム挙式に誘った義母だから、今回も次男の彼女に声をかけただろうと思っていた。うーん、まぁアレだね、価値観の違いというやつだよ。仮に私が 彼女らの立場であれば、声がかかっても断っているに違いない。義母は、次男に早く結婚してほしいと思っている。長いこと彼女がいなくて、数件お見合いしてもうまくいかなかったので、「もうこのままずっと独身かしら…」などと嘆いていたところ、会社の人の紹介で現在の彼女と知り合い、つきあってもうすぐ１年になる。「まだかしら？２人とも30代後半なのに」と義母は言うが、「いや～こればっかりはねぇ…」と笑ってごまかすしかない私（汗）。その彼女は税理士事務所で働いており、仕事が大好きなのだそうだ。義母曰く「家事は苦手だし、子どもも苦手らしいのよ。結婚願望ないのかしら」そのあたりを次男がどう思っているかは定かでないが、結婚して、DINKSでいくというのも一つの手だろう。だって今時、結婚したら仕事を辞めて子どもを産んで…が当たり前ではない。毎週デートしているし、今のところうまくいっているのだから見守るしかないね。さて、対称的なのが三男嫁である。働くよりも、子どもとのんびり過ごすほうが好きとのこと。おそらく義母から見たら「家庭的な かわいいお嫁さん」ではないかと。基本的におとなしくて自分の意見をあまり言わないので（え～私は言いすぎ！？笑）、真意がわかりかねる部分もあるのだが、専業主婦になりたかったようで、結婚のために仕事を辞めたことを「嬉しい」と発言したのが忘れられない。そして、この先もよほどのことがない限りは働くつもりはないらしい。そうなんだ…同じ立場でも、私は家事と育児だけでイキイキできる自信なんてないからプラスアルファが欲しくてたまらないのだけど、三男嫁は違うんだな。専業主婦であることを無理矢理納得しようとする私みたいな人間もいれば、心から満足している、もっと言えば誇りに思っている人もいるだろう。専業主婦という「職業」を、戦後社会はつくってきた。（私は、職業とは思っていない。立場か、役割か、まぁそんなところだ）あまりに堅固につくったものだから、足をからめとられ、そこから抜け出しにくくなっている。それどころか、多くの女性が専業主婦になったのは たかだか50年ほどの歴史しかないのに、女性はずっと専業主婦だったという錯覚さえ撒き散らされている。一体いつの時代、女性が一人か二人の子どもを育てるだけのために他の労働を免れて生きていただろうか。いつだって女性は、子育てしながら機を織り、編み、植えて耕して、生産に携わってきた。（尤も今、専業主婦がそんなに幸せでもないことはなんとなくわかってきたようだが）私は家族をはじめとして、周りの人たちからの支えや励ましを受けている。当然、心から感謝しているし、私なりにできる範囲で、かかわりのある人たちを励ましたり、協力したい。しかし自分と自分の周りだけが幸せならそれでいい、というのはちょっと違うと思う。知らない誰かや、遠い何かのために、僅かでも役に立てる人間でありたい。もっと大きく考えたら、社会のために何ができるのか。そうはいっても長い間、自分のことで精一杯の毎日だった。とりわけ子どもたちが幼く手がかかる頃は、今夜のおかずは何にしよう、明日は子どもの健診、明後日は…と自分と家族のことだけで頭がいっぱいで、政治も経済も、新聞を賑わす事件も、へぇ～そんなことがあったのか程度の気持ちしか持てなかった。そもそも 社会とかかわっているというより、社会から隔絶されているようだった。社会問題、社会貢献なんて宇宙語みたい。主婦語ばかりで、あぁ社会はどんどん遠くなっていく…と憂いていた。誰かのためにできることがある、という事実は、まわりまわって結局自分を勇気づけるし、幸せにしてくれる。そのための大前提は「自分は社会の一員である」という自覚だろう。社会問題なんて関係ない、うちはうちで今夜のおかずをどうしよう、という毎日では、いつまでたっても 真に社会とのかかわりを持ちながら生きることは難しい。社会に対して何ができるのか。どうしたら自分の力を還元できるか。誰かのために、自分はどんなことで役に立てるだろうか。30数年生きてきて、それなりの知識や教養、さまざまな能力を身につけたはずだ。結婚し、子どもを産み、育て、家庭を切り盛りしていくうちに、自分は「それなりにやってきた」と思う。あるいは「それだけでいい」と思う人もいるだろう。そして実際に、生活はそれなりに回っていく。誰かから「自分の人生」について何かを突きつけられることなど、平凡な日常生活の中ではほとんどない。しかし、だからこそ、自分で自分に、突きつけなくていいのだろうか。自分は何ができて、何をしたいと、しようと思っているのか。それを考えるのは社会の中で生かされている一人の人間としての責任だと思う。
2009/08/23
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まだまだ捨てたもんじゃない（笑）
先週末、夫の会社のレク（バーベキュー）に参加した。私にとっても、小姐を産む４ヶ月前まで働いていた会社なので、懐かしい人々と再会したわけだが、さすがに辞めて５年も経つと、半分くらいは知らない顔だった。夫の課に配属になった新入社員の男の子（この言い方っていかにもオバサン…笑）がテニス部にも入っていて、先日、夫が出場した試合に出たらしく、年配者のテニスは速い球こそないがコースのコントロールが絶妙だとか相手の嫌がるところをよくわかっている、などと話していた。その彼が、後日「○○さん（夫）の奥さんって綺麗っスね～！同期の奴らとその話で盛り上がっちゃいました」と褒めちぎっていたらしく夫は「え？もう34だけど？まぁそれなりに化粧はしてるけど…。新人君の年齢から見たら一回り違うのに そんなふうに見えるのか？」と笑い飛ばしたらしいが、最後には「言っておくよ、喜ぶから」。「自分が大学出たての頃なんて、30以上の女の人に対してそんなふうに思ったことなかったなぁ」という前置きをした上で、「新人君たちがそんなふうに言ってたらしいぞ。よかったね」という報告だった。うーん、夫が新入社員の頃なんて20年近く前の話になるから、その頃の30代女性、特に子持ちは、自分の身なりには構わず子ども最優先というか母親なのにおしゃれなんかして…という批判が強かった時代かもしれないし、一概に比較はできないような気もするのだが、とにかく、一回りも違う若者から賞賛されたことは素直に嬉しい。これからもＴＰＯをわきまえ清潔感のある身だしなみを心がけよう。「あのオバサン」と、言われた本人の気持ちに関係なく他者が勝手に女性の立ち位置を決めてしまう、それが日本の社会の現実である。オバサン呼ばわりは勘弁だけど、頑張りが透けて見えるような痛い人にもなりたくない。確かに、見た目は若いほうが素敵だ。そのための努力は惜しまないほうがいい。ただ、年齢で判断する社会とは別のものさしを持たないと、失ったものを数え続けることになるから、仕事なり趣味なり、自分の背骨を持とう。そうすれば、俗世間の尺度から自由になり、魅力的な人間になれる気がする。女性が歳をとることが罪であるかのように蔑視される風潮はおかしい。 勿論、オバサンは若くも可愛くもない。 しかし、若者より知恵も経験も豊かである。誰もが歳をとるのに若さばかりが偏重される社会は、未来に希望が持てない社会だと思う。
2008/10/03
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現実に負けるな！
図書館に行って何冊かの主婦系雑誌を読んだ。以前は、読みたい記事があると躊躇なく購入していたが、どうせ１回読んだら終わりじゃないか…と無駄に思えてきたので買わなくなった。そう、この手の雑誌を買わないことこそ節約なのだ（笑）。節約雑誌は、底値がいくらで云々とか 食費をいかに抑えるかの競争になっている。しかし、最近は食の安全が問われる事件が続いている。 安ければいいとは思わない。激安のものなんて、それこそ怖くて食べられない。体を壊したら何にもならないのだから、食費削減なんて安易に言ってはいられない。 そう考えると、節約雑誌は世の中と矛盾してきているのではなかろうか。 節約雑誌はもう古い！あのような節約は品がない！ ESSE は まだ まともだけど、サンキュ、すて奥となると酷いな。全国に顔と年収と生活ぶりを嬉々として（？）晒して、ご主人もかわいそうに、会社で笑われていないといいけどねぇ…。 ところで、図書館へ向かったそもそもの目的は雑誌ではない。女性学系の堅い本が読みたくなったのだ。現代社会は、子どもたちも、若者も、サラリーマンもそうであるように、主婦にとっても生きるのが難しい時代ではないかと つくづく思う。むしろ「学級崩壊」「就職難」「過労死」などと、わかりやすい言葉でその問題が広く伝えられる人たちに比べて、主婦が抱える問題にはなかなかスポットが当たらず、より難しくなっているかもしれない。いまだ無職の私。先日、会社員時代の同僚（現在は幼稚園児を持つパート主婦）に「２時まで居られないのに ランチの仕事は無理でしょ。あとはスーパーくらいしかなさそうね。オバサンばっかりだけど、割り切って働けるならいいと思う」と言われた。実際、よく行くスーパーで求人を見かけたことがある。午前中の勤務で、商品の加工や陳列をする。ざっと見渡した限り、私の母親世代とおぼしき方がほとんどだった。とにかく働きたいなら、いちいち文句をつけている場合ではないのだが、正直、ゲンナリしてしまったのである。自分らしさを生かそうなんて次元とはかけ離れている。（では アナタらしさとは何ぞやと問われるとシドロモドロになってしまうのだが）どうせ働くなら、少しでも好きな仕事をしたい。イヤイヤ働いて、大切な時間を切り売りするのはもったいないではないか。かといって、専業主婦である自分のことは どうしても好きになれない。自信もない。極言してしまえば「ただの主婦なんか」で終わりたくない、とおこがましい気持ちでいる。何の才能もなければ、努力もしていないくせに。努力らしい努力といえば、丁寧な暮らしを心がけることくらいか…。主婦が再就職する時には、独身の頃に就職した時の何倍もの強い心が必要だと思う。まず仕事が見つかりにくい。やっと見つかったと思っても、収入が低かったり、有休がなかったりと条件は厳しい。それでも、と働き始めても、仕事を持ったからといって家事が軽減されるわけではない。つまり、相当忙しくなるということ。さらに、社会から（あるいは夫からも？）、どうせパートだからと低く見られる。いわば苦労が多いわりに実りは少ない、というのが現状だと思う。仕事に限らず、主婦が 主婦以外の何かを始めることは決して甘くはない。それでも何かを始めることによって、なんとか前向きでありたい。
2008/07/11
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待ち望んだ日
今日から小姐も新学期である。坊の手をひき、仲良くバスに乗り込んで行った。その30分後くらいに夫も出勤し、いよいよ家の中に自分一人となった。いつも聞こえていたＮＨＫ教育テレビの音が聞こえない。静かで不気味なくらい！小姐が「小姐たちが幼稚園に行って、お父さんが会社に行ったらお母さん、家に一人だね。そしたら…」と言うので、何だ、「寂しいんじゃないの？」とか続くのかと思いきや、「思いっきり掃除ができるね！」だって。あらら、と拍子抜けしながらも「そうだね」。おお、そうともよ！誰にも邪魔されないし、ガンガン掃除してやらあ。掃除したそばから散らかす奴も もういないのさ！ガーッと勢いよく一通り掃除機をかけ終わった後、まったりティータイム。なんて優雅なひととき！今までだって、昼食の後に坊が昼寝をすれば、小姐が帰宅するまでの１～２時間、自分の時間が持てていたわけだが、あくまでも一人きりではなかった。寝ている坊が、いつ起きてくるかという落ち着かない気持ちがあった。それが！もう完全に一人なのだ！この世の春だ！（言いすぎ？）今日はどこへも出かけなかったが、これからは外出も１人で、実に身軽だ！この日の到来を、どれだけ待ったことだろう。年子を抱えて、がむしゃらにやってきた。ようやく、少し解放された…。この解放感は、出産を控え会社を辞めた時（妊娠６ヶ月）に似ている。しかし、呑気な生活はきっと１ヶ月で飽きるだろう。そしてまた、あの時のような悶々とした気持ちに苛まれるに違いない。子どもたちが、幼稚園から「家庭調査票」という書類を持ち帰った。家族構成を書く欄がある。そこには職業を記入しなければならない。夫は会社員。私は…主婦？いや、それは違う。「あなたは何をしていますか」と問われたら職業についてだが、 「あなたは何ですか」問われたら身分のことである。 「主婦」は仕事ではなく身分だと思う。だから「無職」と書いた。（今回に限らず、アンケート等でも私はそう書いている） 専業主婦は、私が目指していたものではない。 「旦那の収入が多いから」「働きたくないから」「気楽だから」なんて言葉を、 20代、30代の女性が平気で言っているとしたら、情けなくなる。 小さい子どもがいる人は育児を頑張ればいいけど、 夫に稼がせて妻は家でのんびりなんて、やっぱり間違っていると思う。 日本ほど専業主婦が多い国はないらしいし、過労死するほど夫が働いているのに、 かたや妻は働かずに養ってもらっているなんて、変じゃないのか。 少なくとも向上心を忘れずに努力しようよ、と思うわけだよ。我が家にはもう未就園児はいない。私が家にいる大義名分もなくなった。近々、アルバイトに行きます！ずっと家にいるなんて、アイデンティティクライシスに陥るのが目に見えている。とりあえず背中の痛みを取り除くことが先決だが…。今まで必死にやってきたのだから、プチ解放されて しばらくのんびりするとしても、遅くともＧＷ明けには働き始められたらと思う。
2008/04/07
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揺らぐな、私！
木曜日はスイミングの日だが、今日は幼稚園でもプールの時間がある。「１日に２回も入るなんて疲れそうだね」と言うと「そんなの関係ねぇ！」だそうで…。あっそ。プールは大好きだから疲れるなんて思ったこともないそうな。それは結構なことで。しかし何だね、この手のことを小姐が言うとなんだか腹立たしいわ。坊だったら、これだから男は下品で嫌だよ…で済むのに。男だから、女だから、とはあまり言わないで育てようと思っているのに、私の潜在的な意識では違うということか。幼稚園のプールの時間は、保護者が見学に行ってもいいことになっている。一度行ったら、小姐は 私が毎回来るものだと思ったらしく、ある時 行かなかったら「どうして今日は来なかった？」と不服そうだった。それ以来、特に用事がなければ見学に行くことにしている。スイミングスクールに比べたら全然レベルが違うから、正直 退屈だが…。毎回、10人前後の保護者が見学に来ている。今日は、同じクラスの女の子のお母さんと一緒になった。会えば話をする程度の間柄である。２学期の参観日には、仕事中ちょっと抜け出してきたらしく制服姿だった。どんな仕事かまでは知らないが、ＯＬさんのようなベストとスカートだった。そのことを思い出し「お仕事されてなかったっけ…」と尋ねると彼女は少し口ごもり「また専業主婦に戻っちゃった」。「子どものことが疎かになっちゃってね…。仕事も育児も家事も全部やろうなんて、私には無理だった」きっと、責任感の強い人なのだろう。「器用じゃないのに、何もかも全力でやろうとして…」と言っていた。「親と同居しているとか、近くに住んでいてすぐに来てもらえるとか、恵まれた環境の人はいいけど、そうじゃないとなかなか難しい」とも言っていた。坊が入園したら働きたいと考えている私だが、やはり、小さな子どもがいるのに働こうとすることは生易しくはないな、と思った。それでもやるけどね、坊が入園したら働きたいってずっと望んできたんだもの。ずっと専業主婦でいるつもりはさらさらない。これ以上、アイデンティティクライシスに陥るのは懲り懲りである。外に出て仕事をしているほうが、心身ともに状態が良いだろう。とにかく一歩を踏み出すのだ！やって後悔するより、やらずに後悔するほうが嫌だから。
2008/01/10
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自分の選択には自信を持ちたい
休んだ分の振替でテニススクールに行ったら、懐かしい顔に会った。同じ会社にいた女性である。彼女は育児休暇中で、来年４月に職場復帰予定だという。私は妊娠６ヶ月で出産退職した。妊娠が発覚してまもなく上司に辞意を表明したが、その後すぐに育児休業制度が見直され、それまで最大で「子どもが１歳になる日の前日まで」だった育児休暇が「子どもが１歳になる年度末まで」に延長されることになった。もし私がこの制度を利用して退職しないでいたとしたら、７月生まれの小姐の場合、１歳８ヶ月までは休暇がとれた計算になる。一瞬 心が揺らいだが、当時の私は 男性の補佐でしかない仕事に懲りており、辞意を撤回することはなかった。皆に祝福され、実に円満に退職できたわけだが、やはり私に専業主婦は向いていなかった。家にいるようになって１ヶ月もしないうちに、はっきりと見えたのだ。これは私が望んでいる生活ではない、と。それでも、辞めてしまった会社に戻ることはできないし、自分で決断したことだから、今はとにかく元気な子を産むことだけを考えよう、と必死にかき消そうとしていた。子育てが一段落したら また働きたい…。小姐が生まれる前からそう思っていた。生まれてしばらく経つと、その思いは一層強くなった。社会から取り残されるような孤独感と焦燥感は、今までの人生で味わったことのない切ない思いであった。小姐だけの頃はまだ余裕があったが、年子で坊が生まれたら さぁ大変！今まで小姐にあまり手がかからず楽をしてきた分、嵐のような毎日でてんてこ舞い。自分を取り戻す暇もなく、ただひたすら目の前のものを順番に片付けていく毎日だった。そんな怒涛の日々は、子どもの成長とともに次第におさまっていく。いよいよ坊も来年からは幼稚園に入園する。テニスで会った彼女に「また働くの？」と問われたので「そうだね。でも幼稚園だから帰りが２時だし夏休みもあるし、条件は厳しいよね。それでも雇ってくれるようなところを地道に探すわ」と答えた。彼女は「私、まだ○○（会社名）にいるんだ～」と言った。夫経由の情報で知ってるわよ…と思いつつ「頑張ってるね」と答えると、「うん、時短勤務もできるからね」あぁ、そうだった。その後、さらに改正が加わって、時短勤務が認められたり、男性でも育児休暇をとれるようになったのだ。（実際、男性で育児休暇をとっている人はいないと思うが、制度があるのとないのでは雲泥の差だし、社員の意識レベルにおいても大きな一歩だ）もしかして、私、辞めたの早まった行動だったかしら？いや、そんなことはない。実際、子どもを抱えて正社員で働くのは並大抵のことではない。彼女は二世帯住宅の同居だから、保育園の送り迎えも頼めるだろうし、働き続けるにあたって恵まれた要素を持っているのよ。自分の選択には自信を持ちたいものである。退職しなければよかった…と思うことは、自分を否定することにならないだろうか。あのまま働き続けていたら、坊は生まれていなかったかもしれない。私は坊が生まれてきてくれて本当によかったと思っているし、自分だってまだ小さいのに姉として立派に振舞ってきた小姐は誇りである。それに、私が働いていれば小姐は保育園に行くことになっていた。保育園は保育園で気に入ったかもしれないけど、今の幼稚園は親子ともに大満足で、家から遠くても、帰りが２時でも、月謝が高くても、この園に決めて正解だったと思う。大好きな先生や友達の顔を思い浮かべれば、尚更そう思う。ほら、やっぱり退職してよかったのよ。一度仕事を完全に辞めてしまったら、社会人としての自分が終わってしまうのだろうか。確かに、一度社会からリタイアしたら、再びその中へ飛び込んでいくには相当の勇気と労力が必要だろう。新しい環境に飛び込み、努力した結果、これなら専業主婦のほうがマシとか思うのであれば、それはそれでよい。しかし、何もやらずに愚痴ばかり言っていては老いるだけである。とにかく、坊が入園したら できる範囲で仕事をしてみたい。私のような30代半ばの主婦が、社会的に通用するかどうか心配だが、朝から晩まで子どもにつきまとわれるしんどさを思ったら、少々のことではへこたれない気もする（楽天的すぎるかしら？）
2007/12/20
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時代錯誤
いとこが、夫ともめて家を飛び出してしまった。「子どもも産めないような嫁ならいらない」と義母に言われたのが直接の原因らしい。只今別居中で、離婚には至っていないが、元に戻るとは到底考えられない。この平成の世に、そんな時代錯誤な台詞を吐く親がいるとはね！あぁ、そういえばどこぞの政治家も女は出産する機械だみたいなこと言ったっけ？それにしても…いくら長男の嫁とはいえ、御世継ぎ？まるで皇族じゃないの。彼女は結婚してもう７年経つが（もうすぐ33歳）、子どもはいなかった。でもそんなの外野がヤイヤイ言うことじゃない！欲しくても授からなかったのかもしれないし、すぐには欲しくなかったのかもしれない。それに、子どもを持たないという選択をする夫婦だってたくさんいるのだから。夫の実家の隣に家を建てて住んでいたから、義母とは毎日のように顔を合わせていたのだろう。その人からそんな言葉を浴びせられては、もうやっていけないね。夫も情けないなぁ。嫁を守ってやらなかったのかなぁ。
2007/11/17
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何のために働くのか
数年前から、某有名通信教育講座の添削の仕事に目をつけていた。毎年秋に募集があるのだ。地区ごとの募集になるのだが、昨年も一昨年も私の県には募集がなかった。ところが、今年はあったのだ。県内といっても私は東端在住だし、書類選考で落とされるかも…とも思ったのだが、とりあえず出すだけ出してみようと応募したのが先月中旬のこと。その結果が届いた。２次選考（筆記試験）に進んでいただきたい、とのこと。わお！まずは第一関門を突破したぞ。実はまだ夫に打ち明けていなかったので（門前払いを食わなかったら報告しようと思った）一通り説明し、筆記試験を受けてもいいかと尋ねた。そこで夫が一言「出来高制だろ？報酬ってどのくらいなんだろう」最初に調べようともしなかった私はつくづく浅はかな人間だと思った。応募者が殺到するという噂だから、それなりの金額だろうと思い込んでいたのだ。募集要項に明記されていないから調べようがない？そんなことはない。ＰＣで何でも調べられるではないか。経験者談くらい載っているに違いない。あった、あった。大変なわりには雀の涙みたいなものだからかなりのボランティア精神がないとできないとか、家から出られる状況ならスーパーのパートにでも行ったほうが稼げるとか、究極は、悪いことは言わないからやめたほうがいい…と。時給に換算するといくらという数字も出ていた。正直、腰が抜けそうになった。いや、驚くべきことでも何でもない、在宅の仕事なんてそんなものだろうな。１個１円にもならない内職をするよりは割がいいというくらいだろう。幼稚園は時間が短いし、夏休みもあるから 母親が働くのは難しい、添削の仕事なら自宅でできるし、教育関係は一番興味がある仕事だからまさに私にぴったりじゃないかと喜んだのだが、世の中そんなに甘くないのだ。在宅の仕事というのは、時間に拘束されることがないという利点こそあるもののオンとオフの切り替えが難しいだろう。場合によっては睡眠時間を削って仕事に勤しむことにもなりかねない。そこまで頑張っても答案１枚あたりの単価は安く、たいしたお金にはならないと思うと、モチベーションにも影響する。外に働きに行けば、忙しくても忙しくなくても時間になれば終わりだし時給も一定だ。仕事内容そのものは、やってみたいと思う。しかし、いくら何でも ここまで安くないだろうと思ったのよ…。これなら 最も不向きであろうと思われるスーパーやファミレスに行ったほうが賢いわよ。どうせ働くなら幼稚園の月謝１人分くらいは稼ぎたいし！何のために働くのか。「坊も入園して昼間自分一人になったら働きたい、とずっと思ってきたから」これだと、職種にはこだわらないということになる。「○○がしたい」という明確な意志はどこにもない。子どもたちの幼稚園生活に支障をきたさない範囲内で働くといったら選択の余地なんてほとんどないんだから意志もクソもないって？何をしたいかっていったら塾講師だけど、夜の仕事だからね…。夫が早く帰って来れるなら子どもの世話を交代して自分が仕事に行くこともできようが早くて９時だし遅ければ日付変更線を過ぎるんだから無理に決まっている。じゃぁ自宅で寺子屋でも開くかい？その間、子どもたちはどうするのさ。やっぱり無理だ。もう！無理なことをいつまでも未練がましく考えていても仕方ないじゃないの。主婦にこなせる仕事なんて限られている。それでも、ずっと家にいると「一銭も稼ぎがない私」と落ち込むのは明白だ。専業主婦は向いていない、ということは自分が一番よくわかっている。だから働きたい。でも、たいした仕事はない、と文句をたれる。何様のつもりだか！いろいろ考えていたら自分がほとほと嫌になってきた…。
2007/10/01
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漣のような変化
出産した時、世の中のお母さんってすごいんだなと心から思った。それまで、ただのオバサンなんて平気で言っていた自分が恥ずかしくなった。自分一人で生まれてきて、自分一人で頑張ってきたかのように思い上がっていた自分が、どんなに弱くて非力かということを思い知らされた。しかし、育児とは、毎日毎日洗濯して食事を用意して子どもが汚した部屋を掃除して時には泣き続ける子どもをあやして…といった、地味で終わりのない日々の連続である。あの人は育児をしていて偉いなどと評価されることもない。育児も家事も「やって当たり前」で、うまくできなければ母親失格と批難されるのだ。現代女性のほとんどは、学校を卒業してから結婚までの間に必ず仕事を経験している。どのような形であれ、社会の中でお金を稼ぎ、自分の裁量で使う生活をしていた。それが結婚または出産により、仕事を辞めることになると、社会とのつながりや自分の収入をなくし、生活も夫や子どもを中心としたペースになる。社会に出ていた人間が子育てをするとき、孤立感や疎外感を抱いてしまうのは、自分の行動を自分だけで決められた時代を知っているからに違いない。子育ては ある一定の期間にできる貴重な体験である、大変な拘束時間を必要とする重労働でもあるが 何にも代えられない宝物だ、子どもと一緒に親も人間として成長するのだ、と自分に言い聞かせて今までやってきた。極端に言えば、ずっとこんな大変な状態が続くわけじゃないんだからつらくても我慢しなければ…と（子どもには到底聞かせられない台詞だな）。さて、専業主婦は 子どもに手がかからなくなったら再就職することも選択肢の一つである。ただし、再就職の道は非常に険しいのも事実である。既婚で労働時間の制約がある女性は、たとえ高学歴であっても、仕事に関しては、特に以前に経験していたものと同じ職種で働くことは厳しい。（まぁ私の場合、かつての仕事に戻りたいとは思わないし、子どもが保育園ではなく幼稚園に通っているのだから正社員なんて絶対無理だが）これは日本社会の問題点である。子育てを終えた女性の再就職を活性化する対策を、国や地方自治体が検討しているが、まだまだ、抜本的な解決は先の話である。以前は就職しようとも思わなかった職種でも構わない、といういわば開き直りのようなものが必要なのが現実である。ただ、女性が社会参加していくことは、自立した人間としてしっかりと生きていく能力を持つことにもつながる。母親である限り、それは簡単なことではないが、仕事をすること自体が人間として意味のあることだと思う。仕事による社会とのつながりは、経済的な自立や生きるための知恵をもたらしてくれる。子どもはいつか自立して、自分のもとから離れていくのだから。私は、社会復帰への展望がない…と嘆いてばかりいた。何の資格もなく、あるのは子育てによるブランクだけという30代半ばの主婦なんて職場が真っ先に弾き飛ばす 雇いたくない人間の典型だわ、ファミレスかファーストフードくらいしかないんじゃないの、と思っていた。しかし、少しずつではあるが 最近は変わってきた。いずれ坊も入園して、昼間 自分一人だけになっても、まだ家に居続ける必要があるのか？私にとって、その答えはノーである。経済力のない妻と、教育費のかかる子どもを抱えて 夫は自分の楽しみも制限して夜遅くまで働いていることを思ったら、どうして家で呑気になんかしていられるだろうか。職種に文句をつけている場合じゃないわ。元々、働きたいという気持ちは強いのだから。ずっと専業主婦でいようなんて思ったことは一度もないのだから。決めつけてしまわずに根気よく探せば、思わぬところに仕事があるかもしれないし。だいたい、私が外で働くことを自己実現などと考えるから教育を生かしていないとか展望がないとか いちいちややこしくなってくるのだ。仕事にしろ、育児にしろ、介護にしろ、その時その時で、やるべきこと、やれることを一生懸命やればいいのだ。「主婦」と一くくりにカテゴライズする問題ではないのだ。
2007/06/19
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できること できるとき できるだけ
社会復帰への展望がないと嘆くあまり、過去に こんな記事 を書いたことがある。「（前略）… 結局、目標をもって受験勉強して大学なんか入ったって、子どもを産んで専業主婦になってしまえば、あの頃 遊んでいた人たちと一緒なんだ。その精神性に見合った将来が待っているわよ…と半ばバカにしていた人たちと」。思いの丈を綴ったはいいが、あまりに正直すぎて、後で冷静になって読み返したらゲンナリしてしまった（我ながらアホだ）。オヌシ、偉そうなことを言いやがって。大学で専攻していた内容なんて、ほとんど忘れてしまったくせに。当たり前といえば当たり前だ。生かす場がなければ忘れるに決まっているではないか。 あと、これは学部にもよると思うのだが、 卒業後もアンテナを張って知識をバージョンアップし続けないと 学生時代の知識は「え、まだそんなこと言ってるの？」というような古いものとなってしまうケースも少なくない。 従って、必ずしも 学生時代の勉強が今現在に生かされている人ばかりではないのである。 ただ、日本はまだまだ学歴社会であり、学歴はあったほうがつまらない劣等感や煩わしさを感じることなく生きていきやすいだろう。 子どもへの教育と知識水準のスパイラルも視野に入れれば尚更である。競馬にたとえるなら…。 大レースで勝ったような馬は繁殖でも期待される牝馬になることが多いだろう。「父に似ればいい」より「父に似ても母に似てもいい」というほうが牧場主としては安心でありがたいに決まっている。 だから血統がよくて将来は繁殖と思ってる馬でも、若い頃はレースに出したりする。 人間だって「俺に似れば優秀」より「俺に似ても嫁さんに似ても優秀」のほうがいい。 勿論、学歴だけが優秀さを示す指針ではないが、 高学歴というのも一つの優秀さには違いない。どうせ専業主婦になるなら、学歴なんてつける意味あったのか？と何度も思ったけど、ある人にはある、ない人にはない。 でもこれは実際に卒業した人間にしかわからない。 「女の子が４大に行く意味があるかどうかなんて、行った者にしかわからんだろう」と快く送り出してくれた父に感謝しなくてはならない。同じようなシチュエーションでも「無駄だ！」と言われて泣く泣く諦める人だっているのだろうから…。勉学というのは、その内容自体が役に立つというよりはむしろ何か未知な事柄と遭遇した時に解決法があるかもしれない、と考えたり調べたりする能力を身につけるためにするものである、ともいえるだろう。学歴というか、知識・教養は人生を豊かにしてくれる。 人生に無駄なことなんてない！悲観的になるのはやめよう。必ずしも思うようにはいかないし、うまくいかないことも多いけど、目の前のことを少しずつコツコツやっていけば必ず何かしら手ごたえはあるはずだ。失望からは何も生まれてこない。不貞腐れず、向上心を忘れず努力しよう。
2007/05/15
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産む気にさせる世の中に
急速な少子化に対応するため、政府は「本格的戦略を打ち立てる」として、今年度から育児休暇中の所得補償の給付率が拡充されたり、不妊治療の助成率が今年度よりアップするとのことだが、果たして実態は―――。1.26という出生率を突きつけられて日本もやっと少子化対策に本腰を入れ始めたというが、今回の国の対策は、労働力の先細りと将来の年金破綻への危機感を前面に打ち出したあからさまな出生率回復政策の色彩が強い。「家族の絆再生」を国民運動で勧める方針を打ち出す等、型にはめた生き方を政府が指導する姿勢には違和感を拭えないのだ。ＥＵ諸国では、男女の機会均等の促進を軸に、ひとり親にも配慮した女性の雇用を確保しているという。個人の生き方を尊重し生活の基盤を保障してこそ、少子化対策も成功するだろう。児童手当が第一子と第二子は現行の月5000円から１万円に上がることになったが、出生率を大幅に回復したフランスは所得制限なしで子どもが20歳になるまで第二子は約１万5000円、第三子以降は約２万円で、子どもがいれば、家族手当を含めて月に10万ほどの給付があるらしい。また、出産・育児で退職という発想もフランスでは少ないそうだ。企業は、従業員が育児休暇前のポストに戻れるようにすることを義務づけられているのだ。少子高齢化は先進国なら必ず辿る道だが、それにしてもフランスと日本とは大違いだ！男女が平等に社会に参画し、ともに働いて経済社会を活性化しなければいけない時代なのにいまだに男性単独稼動型の家族モデルが根強い日本。少子化対策の成功の鍵は、単に「産めよ増やせよ」ではなく（戦後じゃないんだから）、硬直した結婚観や家族観を脱し、個人が尊重され、女性が産む気になるような社会へシステム転換できるかどうかにかかっている。さて、ここまで鼻息荒く書いてきたものの、今日私は「本当に少子化なんだろうか？」と思った。幼稚園ママが第二子を出産したので、病院に顔を見に行ったのだが、ちょうど夕方の診察時間だったため１階の待合室は大賑わい、当然、駐車場も満車で、誰か出る人はいないかと待たなければならなかった。入院する部屋も満床だそうで…。このところ産婦人科が減っているというから、そのせいもあるかもしれないけど、それにしてもこの混雑ぶりは一体！？
2007/05/02
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宇宙無双日乾坤只一人
モスバーガーで働いている夢を見た。どうやらクリスマスシーズンだったらしく、サンタの衣装を身にまとってモスチキンを注文された家庭に届けて店に帰ってきたところだった。（モスが出前なんてするはずないのにね。さすが夢だ）「宅配は期間限定ですが、これからも続けませんか？」と店長らしき男性に言われて「はぁ、そうですねぇ…」と曖昧な返事をする私。そこで目が覚めた。なんだか現実味のある夢だったなぁ…。というのは、坊が来春 幼稚園に入ったら働けないだろうかと考えている私だが、実際問題、２時降園で夏休みも冬休みも春休みもある幼稚園ではファミレスかファーストフードくらいしかないのでは？と覚悟しているのである。子どもたちがいない時間に働くといったら、飲食店のランチタイムということになるだろう。しかも、１日の勤務時間は短くて、子どもの長期休みは学生のバイトさんに交代なんていったら本当に本当に限られてしまう。そして坊が入園する頃には34歳になっている。その年齢で、出産・育児で社会から離れていて、何の資格もないけど雇ってくださいなんていったら…。考え出すと、暗くなっていく。私は高校～大学時代に両手両足で足りないくらいの種類のバイトを経験したが、その中で これは絶対に自分には向いていないと思ったのが接客業だった。ファミレスもファーストフードも、まさに一番不向きな職種といえよう。都会のほうだったら、働くにあたって条件がいろいろあってもそれをクリアできるような仕事があるのだろうけど、残念ながらここは田舎である。「パート・アルバイト募集」と しょちゅう掲げているファミレスならあります！モスもマックも、歩いてでも行ける距離にあります！子どもの教育費の足しになれば…と思って働こうとするのであれば、何のとりえもない分際で職種に文句をつけるなんておこがましい。限られた時間でできる仕事であるならば、せっせと働け！いや、しかし。そんな気持ちで長続きするのだろうか。夫の給料だけで十分やっていけるし、気が進まない職種で我慢してまで働くことはない。…とはいうものの、ある程度 子どもたちの手が離れたら、今後、無限ループのような家事に生き甲斐を感じることができるのか、と自分自身に問いかければ、私の場合、答えはノーである。では、暇を持て余してネットサーフィン？テニスをやりまくるつもりか？そういう「遊び」も「仕事」があってこそ楽しめるのではないか。 今現在は「未就園児がいるから」が大義名分になって大きな顔して（？）家にいられるが、そうでなくなった時、またぞろ あの気持ちが顔を出して悩むに違いない。「専業主婦の私は、夫の労働に幾重にも依拠しながら生きている。五体満足な大人でありながら、妻であるというだけで、働かないことを当然とされている。自分は働かず、他に依ることを生きる基本においている生活とは何なのか。働かないことを生活の基底におく生き方とは人間にとって何なのか」考えはさらに自虐的になっていく。結局、目標をもって必死に受験勉強して大学なんか入ったって、子どもを産んで専業主婦になってしまえば あの頃 遊んでいた人たちと一緒なんだ。その精神性に見合った将来が待っているわよ…と半ばバカにしていた人たちと。悔しいよ！このままでは終われない。終わってなるものか！自分の人生の責任を、何かに転嫁するためでなく、自分自身のあしたを切り開いてゆくための武器を手に入れなければなるまい。しかし、そうやって考えすぎることが、かえって自分を追いつめるのかもしれない。物事はすべてジャンケンみたいに、すぐに結果が出るものではないのに、何でもすぐに白黒つけようとするからおかしくなる。世の中白と黒だけではないのだ。自分を見つめすぎることをやめて、無我無心で万物を慈しんでみようか。
2007/01/10
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憤懣やるかたない
朝から腹が立った。新聞の一面に「児童手当０～２歳倍増 第一、二子 月一万円に」だって！新たな少子化対策の目玉として打ち出した乳幼児加算だそうな。「現行の児童手当は第一子と第二個に対し月額5000円だが、それを倍額にすることで 子育て世帯の経済的負担の軽減を図る。第三子以降は既に月額１万円が支給されており、加算の対象外とした。」な～んか、気前よさげなこと書いてあるけど…。バカじゃないの！？児童手当を倍額にしたくらいで、少子化に歯止めがかかるとでも思っているのですか？そりゃ、何もしないよりはずっとマシですよ、ええ。でもねぇ、そんな表面をちょっといじったくらいで改善される問題ようなじゃないのよ。それに、児童手当が倍額になるから子どもを産もうなんて思う人がどれだけいるかしら？っていうか、ウチは手当なんてもらっていませんよ。私にはどう説明してくださるんですか？だいたい、児童手当を倍額にしようなんて言うのは お偉いオジサン連中でしょ。あなた方、育児に携わったことありますか？母親の孤独感や焦燥感なんてわかりっこないでしょ？（わかろうともしないでしょ？）女性は適齢期を迎えたら仕事を辞め家庭に入り子どもを産むべきだ、なんてまったく時代逆行も甚だしい。確かに、それが常識だと言われる時代はあった。しかし社会は変わり、システムも変わるものである。たとえばインターネットだって普及されたのはここ１０年ほどである。仮に政府が「目によくないからやめましょう」などと言ったところでやめる人はいないだろう。ここまで生活の一部になっているのだから。それと同じで、女性の高学歴化が進み、女性も社会進出するものという考え方が生まれ、だんだん当たり前になってきているのに、少子化だからといって仕事を辞めろ、家庭に入れと急に言われても、女性は納得しないのだ。学校では同じ教育を受けられたのに（入社の時点で女性はお断りとかいう話はここでは除く）、適齢期になったからといって、しかも「国のために」子どもを産めと言われてもねぇ…。このままでは国が滅びるという言い方をする人もいるようだが、そんな国ならさっさと滅んでしまえ！世界では、男性も女性も家庭を中心に人間らしい暮らしができる国がたくさんあるのに、どうして日本はそうならないのだろうか。もっと女性にやさしい国家をめざしてほしい。子どもってかわいいでしょう、でもその子どもたちを産んで育てているのは女性なんですよ。国が少子化少子化と騒ぐのであれば、社会全体で子育てするくらいの覚悟が必要である。
2006/12/12
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やりきれなさをどう埋めるか
専業主婦という生き方に心から満足しているだろうか。そんなこと自問自答するまでもない、家事・育児という賽の河原の石積みにも似た毎日のくり返しに嫌気がさしているのに。誰だって自分のために自分の人生を生きる権利があるのに、働きたいという自分の本当の気持ちを「子どものため」「夫が反対するから」という理由で押さえつけ続けている。「子どものため」に自分を無理矢理納得させ 母子密着した結果子どもが不幸になってしまったらこれほど悲しいことはない。自分の気持ちに正直に向き合い、私がイキイキしていることこそが本当の意味での「子どものため」ではないだろうか。しかし、坊が３歳になったら働きたいといっても、何の資格もなく、おまけに育児でブランクのある30代半ばを雇ってくれる職場があるのだろうか。一度 社会との接点を断てば、特別な技能がない限りはゼロ以下からの出発である。何もできないけど雇ってくださいなんて通用しないのだ。いや、それ以前の問題で、あの幼稚園では母親が働くのは事実上不可能ではないか…。（どうしても！というのなら、とりあえず小姐は年少の３月までは今の幼稚園に通わせて、坊は最初から保育園に願書を出し、小姐も年中から保育園に入るという手もあるが）もし仮に私が働けることになったとしても、夫の帰宅が極端に遅いこともあり、家事と育児の負担は私にかかる。最近の子どもの悲惨な事件をみると、余裕をもって子どもと接する時間を持ちたいとも思う。今は子どもに多くのしわ寄せがきていてあのような悲惨な事件が多発しているが、10年後には母親が自分の人生を返せと言わんばかりの事件を起こしているかもしれない。育児によってそんなに母親が自分の人生を捨て（！）なくてはならないのは先進国では日本くらいだろうな…。他の国ではできることが日本では何故できないのか、政治家や行政にかかわる人たちは是非とも考えてほしい。女こどもを大切にできない日本なんぞ、どうぞ衰退していってくださいな。――― そんなことをボーッと考えていたら。小姐に「明日は幼稚園に行くの？」と尋ねられた（昨日が発表会だったので今日は代休）。「明日は土曜日、明後日は日曜日だから休みだよ。その次の月曜日になったら行くよ」「早く月曜日にならないかなあ。Ｍちゃんと遊びたいなあ」ハッとした。私は何をそんなに自分の都合ばかり考えていたのだろう、と。幼稚園の話といえば、Ｍちゃんと 担任のＴ先生の名前が出ない日はない。年少になったらＭちゃんとクラスが分かれてしまうかもしれないけど、もし分かれても年中、年長とクラス替えでチャンスはあるし、また別の仲良しの友達ができるかもしれないし、とにかく幼稚園が大好きだという小姐を母親の勝手で転園させようだなんて一瞬でも考えた私は まったくもって自己中きわまりない！人間は、目標があると毎日の生活にハリが出て、目的に向かって颯爽と歩いていける。私の毎日が漠然と過ぎていってしまうのは、漠然と生きているからに他ならないのだろう。
2006/11/24
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主婦でしかないのに、主婦であることに自信がない
主婦には「選択肢」がある。だから迷いが多くなる。 働きながら母でいることも可能だし、退職して育児に専念することも可能である。どちらに転がっても家庭はどうにか回るから、家でじっとしていることに罪悪感を覚えたり、社会から置いてけぼりになったように感じたり、どうにもこうにも落ち着かない。ましてや社会復帰に某かの夢をもっていると、専業主婦である自分が偽りの自分であるような、なんとも複雑な思いに苛まれる。専業主婦を選んでおきながら、その立場を軽んじてしまう。専業主婦は幸せを掴めるか、これは なかなか深い問題である。専業主婦がいいか、仕事をしながら家庭も両立するほうがいいか。勿論、専業主婦にもいろいろあるが、若い時に「仕事から解放される」ことを夢見て主婦になった いわば「依存的」専業主婦の場合、その精神性に見合った将来がちゃんと待っている（ちょっと皮肉）。すなわち夫が少しぐらい勝手なことを言っても、一家の大黒柱であるから立てなければならない。これを生涯続けるなら、仕事から解放されて楽などと言っている場合ではない。逆に、自分の人生を預ける夫を徹底的に応援する覚悟を決めて専業主婦になった場合、収入面では扶養されているが、精神的には「自立」することも可能である。自分がいるからこそ、夫は十二分に活躍できる。そう言ったら理想的すぎるだろうか。「女性の社会進出（この表現そのものが若干うさんくさいのだが）が盛んな今、専業主婦は悪である」と言わんばかりに槍玉にあげるのは、はっきり言って、論理のすり替え・ごまかしである。実際には、自民党幹部などの多くは「女は男に仕えるもの。家にいて家事をして、夫の言うことをよく聞くべきだ」などと考えているはずなのに、また、女性が働きやすい環境・法制度などもまじめに整備してきたとも思えないのに、こういう時だけ 建前として女性団体が喜びそうな味付けをして、自分たちの都合のよいように制度改革を目論むというのはまったくもって卑怯である。確かに、現行の貨幣経済の中で生活し、消費社会の恩恵に浴するには、現金収入が欠かせない。だからそのための仕事をすることを軽視するわけには、どうしてもいかない。しかしそれを過度に偏重し、あたかもそれをしてこそ人間として一人前であるかのように扱う風潮はいかがなものだろうか。これはつまるところ、主婦業を従来主に担ってきた女性への差別意識が、まだまだ社会の隅々に残っていることに他ならない。ある意味その風潮は、男性労働者を「自分は偉い仕事をしている」と錯覚させ、経営者の口車に乗せて、残業などまで進んでやるよう仕向ける、一種の罠でさえあるかもしれない。したがって、女性は専業主婦になるよりももっと社会進出すべきであるという意見は、決して間違いではないが、慎重に言わないと、家庭の仕事をいたずらに低く評価し、結果として男がする仕事のほうが偉いのだという女性蔑視を逆に助長することにもなりかねないし、男性をますます会社に縛りつける危険性もまたありえるといえよう。だいたい、会社の仕事のすべてがそうだとは言わないが、中にはたいして社会の役に立っていそうもない会社も多い。どうでもいいような開発をして多額の代金をころがす不動産、ないしは建設業。鉄道を使えばすむところを、わざわざ大気汚染と交通事故の原因を猛スピードで走らせるトラック・ダンプ業界。それにサラ金なんかも、なければないで、人々は借金せずにすむように身の丈に合った生活をするものではないだろうか。―――なんて長々と書いておきながら、やっぱり私は「主婦がやっていることは人間の生活の根幹にかかわる、非常に重要な仕事のはずだ！これらに従事することは大変尊いことであり、敬われてしかるべきなのだ！」とは言えず、「主婦業ほど つまらなく報われない仕事はない。社会的に評価もされない。しかし主婦業だって才覚次第、これほど無限の可能性を与えてくれる職場は他にあるまい」と自分に言い聞かせて毎日を過ごしている。そうやって自分を弁護し、正当化しなければやっていけないのである。
2006/11/18
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育児と生涯所得
２億円。この数字を聞いて、何を想像するだろうか。実はこれ、生涯所得の差だという。子育てをしながら働く人というのは、育児休業を利用して同じ職場で働き続けた場合と、出産時に退職し のちにパート・アルバイトで再就職した場合を比較すると、所得において約２億円もの差が出るということが厚生労働省の調査でわかったらしい。標準的な賃金体系前提とした場合、正社員として働く期間が長いほど、また、就業が中断されずにキャリアを積むほど、賃金・年金等の生涯所得は大きくなる。育児休業を利用して同じ職場で働き続ける場合、当然ながら休業中は所得が減少するが、復職後定年まで着実に賃金が上昇するため、休業なしで同じ職場に定年まで働き続ける場合と比べて 生涯所得の差は僅かである。これに対し、出産を機に一旦退職した後、パート・アルバイトとして再就職する場合、再就職後の賃金は年齢が上がってもほとんど上昇しないため、継続勤務の場合と比べて生涯所得は半分以下になってしまうという計算である。大学を卒業して22歳で就職、途中で休業することなく定年まで勤めたＡさんは生涯所得２億7645万円。同じく22歳で就職し、28歳で第一子を出産して育児休業を取り、31歳で第二子を出産してまた育児休業を取り、その後復職して定年まで勤めたＢさんは生涯所得２億5737万円。ＡさんとＢさんにはほとんど差はないといってよい。同じく22歳で就職し、第一子出産のため28歳で退職し、第二子の小学校入学を待って37歳で正社員として再就職したＣさんの生涯所得は１億7709万円。Ｃさんと同じ28歳で出産退職、再就職は37歳というＤさん、こちらはパートとしての再就職だったため生涯賃金は4913万円。お金がすべてだとは思わないけどさ…。それでもなんだか、溜息が出てしまいますねぇ。この不況下の日本、ごく普通の主婦が育児のために何年か仕事から離れた後に再就職するのはかなり困難であるということが、女性にプレッシャーを与えている。特に 子どもを持ってから正社員として再就職を果たすのは至難の業である。実際、育児が一段落して社会復帰する多くの女性は、パートやアルバイト、派遣社員としてしか採用されないことが多く、間接的な性差別が起こっているとして問題になっている。その結果、一部の正社員とほぼ同質の労働をしながらも、賃金・待遇の差が明らかに大きすぎる状況に追いやられるのである。最近でこそ、こうした間接差別への対応策を求める声があがっているが、改善されるにはまだまだ時間がかかりそうな気配である。こういう事実があるために、「子どもに手がかかるのは数年のことだし正社員という立場だけはなんとしても死守したい」と思う女性が増えているのだろう。だからこそ仕事を持つ母親は、必死になって保育園を探し、忙しいスケジュールや 人によっては夫の無理解と格闘してでも、なんとかして仕事のブランクを作らないよう奮闘しているのである。単に仕事がしたいとか、働くのが好きという理由ばかりではないと思う。実際には、子どものためにも休めるものならしばらく休みたかったという声も少なくない。そんな中、日本の出生率は1.25と 最低記録を更新したそうだが、「女は産む性だから産まない人は女失格」というのはまったくもって勝手な意見である。男性は 自分が産むわけではないし、24時間つきっきりで面倒をみて育てるわけではない。では、女性が外で働いて 男性が家で赤ちゃんの面倒を見ることにしたらどうだろう。きっと男性は「そんなことは女のすることだ」と言うだろう。つまり、育児や家事は収入もないし、外で働くより低レベルという認識があるのだ。低レベルな仕事を押しつけられる有能な女性としては実に不愉快だろうね（皮肉）。思うに、偉そうにいろいろな屁理屈をつけているが、要するに女性が社会進出するのが生意気だ、気にくわないと言いたいだけのような気がする。女性は結婚して子どもを産んでくれればいいのだというような男性側の発想がますます女性の反発を買い、それが少子化につながっていることに早く気づくべきである。結局のところ、何故女性が子どもを産みたくなくなったのかということをまじめに考えていないからこのような安易な押しつけしかできないのだと思う。女性が子育てをしながら働ける環境をつくればいいだけのことなのに、それをしないであれこれ理屈を並べて女性を家庭に閉じ込めようとしているように思えて仕方がない。このような差別意識が相変わらず男性側にあるからこそ、余計に子どもを産みたくなくなるのだ。女性だって男性と同じ一人の人間として社会で思う存分力を発揮したいだろう。安心して子どもを預けられる場所を確保しておいて、子どもも産みつつ、社会でも活躍してくださいと言われたら、もっと子どもを産もうとする女性も増えるのではないだろうか。
2006/10/20
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お上は固い
私は、男女共同参画の一事業として市が発行する男女共生だよりの編集委員になっている。年に２回の発行で、前期の分が10月中旬に発行される。前回の編集会議（９月末）に出席した時、最終原稿が配布されチェックしたのだが、事務局（市の職員）が申し訳なさそうに言った。上の人からクレームがきたのだという。私たちが書いた原稿は過激だという理由らしい。行政が発行する冊子としては このままではいけない、と。とはいっても、印刷までに残された時間はもう僅かで、皆で検討している暇はなく、不本意ではあるが事務局のほうで再度 原稿を作成すると言われた。その原稿が郵送されてきて、中を呼んで愕然とした。テーマこそ変わっていないものの、文章の構成や言い回しは随分と変わっていた。あれほど書いたものは、ほとんど無駄だったのだろうか。本文の大部分は事務局が書いたものということは結局は市の職員によるもの。編集委員の私たちは、問題提起をしただけで終わっているかのようだ…。それならわざわざ編集委員を市民から募る意味があるのだろうか？所詮、行政が発行する冊子では言いたいことの半分も言えないということか。ここまで固いとは思わなかった。ガッカリだなぁ。後期はどんなテーマを選ぶかわからないけど、やる気をそがれたことは確かである。
2006/10/06
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サロネーゼは逞しい
今時の主婦は、結婚しても子どもが成長しても 現状に満足することがないようで、使い古された言葉になるが「自己実現」が人生の最大のテーマだったりする。しかし、一旦主婦におさまってしまうと人に認められるような何かを得ることは難しい。故に日々の主婦業の中で得意分野を作ってアピールした人がカリスマ（！？）になるのである。収納の近藤典子、節約の丸山晴美（あ、彼女は独身だから主婦と呼ぶのは相応しくないか）、貯蓄だ料理だ、それぞれの家事分野に最低一人はカリスマ主婦と呼ばれる人がいて、その予備軍といったら山ほどいるようである。こういう家事系カリスマは、三浦りさ子や黒田知永子のようなモデル系のカリスマ主婦とは正反対に位置する。しかし現実問題として、後者にはそう簡単にはなれないのである！最近、この家事系とモデル系の中間ともいえる「サロネーゼ」なるものがセレブな母親たちの間で流行っているらしい。（何だそのネーミングは。シロガネーゼのパクリか？）その意味はというと、自宅を開放して教室を開いている主婦のことである。主婦雑誌の『ＶＥＲＹ』から始まったという。キッチン（台所じゃなくてキッチンですか…笑）を開放して料理教室やお菓子教室、広い部屋を使ってオイルマッサージやフラワーアレンジメントなどを教えるらしい。お金を稼ぎたくてやっているわけではないので、教室といえども無料だったり材料費程度しか徴収しないらしい。家事系でありながら、ハイソなイメージを崩さずにできあがった新しいカリスマ主婦の形か。主婦には、どんな状況にあってもそれなりに欲求を実現しようとする逞しさがあるようだ。ところで「女性の生きがい観」とは何だろう。しかも何故 主婦の生きがいだけが、ことさらに論じ立てられるのか、あるいは無理矢理それを探させられるのか。それでは主婦以外の人は、はっきりと生きがいをもって生活しているのだろうか。「育児です」「ボランティア活動です」「職をもつことです」…。質問されて戸惑う主婦は何か具体的な事実をでっちあげねばと焦り、その結果、自分が従事している生活行動にもっともらしい理由をつけてそれが「生きがい」だと弁じたてる。弁じたてることで、これぞ生きがいと錯覚（？）していく。「主婦の生きがい」だけが取り出されて問題とされるのはおかしい、それは「人間の生きがい」という形で問われ考えられるべきではないか。
2006/08/19
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元気をもらった飲み会
大学時代の友人３人が遊びに来てくれた。小姐と坊がいると 半分以上が子守りになってしまい、落ち着いて話もできないのだが、帰りがけにどこかで食事をするというので、駅まで送って行くついでに私も参加した。夫が快く送り出してくれたおかげである。タウン誌で家の近所の創作居酒屋を調べて予約した。アジアンリゾートを思わせる雰囲気のいいその店は、住宅街の中に建つ隠れ家的な存在。近所にこんな洒落た店があったのか～！あっても行く機会がないけどね、今の私には…。子連れで行けるなんてファミレスとかショッピングセンター内のフードコートだもの。それに、こんなにのんびり食事ができるなんて普段の生活では考えられない。子どもたちに食事を摂らせ（小姐にはほとんど手がかからないが、坊が自分でスプーンを使って食べたがって尚且つ手伝うと怒るので大変！）、自分はその後で食べるのだが、テーブルで食べていると坊が寄ってくるため台所の死角になる場所でかきこむように食べて３分で終了、どこに入ったかわからないような慌しさ…。これが私の日常である。その日常を忘れ、身軽だった頃に暫し戻ったような気分になった。友人３人のうち２人は独身、もう１人は既婚で共働き、子どもはいない。そして私は専業主婦で２児の母である。皆それぞれ立場が違い、愚痴（！）の内容も違う。洗いざらい話すと、結局はないものねだりになるのだろう。正解があるわけでもない。しかし、誰もが今おかれている環境の中で精一杯生活しているのだ。悩みは尽きることがないが、遠く離れた友も頑張っているのだと思えば私も頑張れそうだ。「私は客観的に見るとたぶん順風満帆な人生を歩んでいる部類だと思う。結婚して子どもが２人いてマイホームに住んでて尚且つ金銭的にもほどほどの余裕があって、これ以上何を望むのか、私がブチブチ言っているのは贅沢ではないか、恵まれているからこそ平穏無事が何よりだということに気づかないのかな」と言うと「確かに虎ちゃんは勝ち組のほうだと思う。でもだからって文句を言っちゃいけないわけじゃないしこれでいいって何の疑問も持たずにノホホーンとして暮らしているよりいいんじゃない？向上心があるってことでしょう」という答えが返ってきた。とても嬉しかった。
2006/08/13
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続・社会復帰への展望
一昨日、社会復帰への展望 について書いたばかりだが、今からの４年半よりも むしろその後のほうが絶望的ではないかと思い始めた。（気づくのが遅い！？少なからずショックであった）自治体によって差はあるものの、子育て支援策は国をあげて推進されている。しかしそのほとんどは子どもが６歳になるまでの支援ではないだろうか。保育園の数を増やすとか預かる時間を長くするとか、働く母親にとってありがたい環境は少しずつではあるが整備されている。しかし、小学校にあがったら いわゆる「鍵っ子」ですか？そのために学童保育があるのだが、これを運営しているのはあくまでも利用する子どもの保護者であり、国は補助金を出しているにすぎない。何故なら、そういう施設をつくることを法律で義務づけていないから。学童保育のバックアップに努めましょうというような文言しかないのだ。しかも学童保育を利用できるのは小学３年生までである。３年生と４年生の違いは何ぞや。低学年と高学年という括りだけだろう。４年生になったら家で留守番せよと？この物騒な時代に？ウチみたいに年子の場合、坊は学童保育にいられるけど小姐は学校からまっすぐ家へ帰れと？きょうだいなのに別々に過ごせと？そういう場合、たとえば専業主婦の家庭の友達の家に遊びに行ってそれが度重なってトラブルのもとになる…なんてことはないのかしら？それとも、同じ境遇の子と家を行き来する。いずれにせよ子どもだけで留守番していることには変わりない。やはり危険ではないか。祖父母が同居していたり、近くに住んでいてヘルプが望めるならよいが、当然ながら そんな恵まれた条件の人ばかりではない。小姐も坊もＳ幼稚園に行くなら私が働くのは無理だから、それならば２人とも就学したら…と思っていたが どうやら甘かったようだ。尤も、幼保一元化の話もあり 今後制度が変わっていく可能性がないわけではないし、あまり先のことを考えすぎても仕方ないかもしれないが…。しかし、主婦の再就職＝パートと決めつけられるのが気に入らないなどと鼻息を荒くしていた私が、パートにさえ就けるかどうかわからないとは なんとも皮肉な話だ。子持ちの主婦は家に引っ込んでいろと言わんばかりの労働条件しかない世の中なら専業主婦やるしかないって？悔しい。それではあまりに悔しすぎる。「毛布の長さに応じて、汝の足を伸ばせ」（古代ヘブライ人の言葉）と言われると、高望みをとがめられたようで身のすくむ思いがするが、過小評価は損だと思う。「樹木は風に吹かれて強くなる」（セネカ「摂理論」）のだから、少々の逆風など向かっていこうではないか。育児は一様に母を逞しくするから大丈夫だ。とにかく、諦めたくはない。
2006/08/10
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社会復帰への展望
小姐がＳ幼稚園へ行くということは、１年半後には坊もＳ幼稚園へ行くことになるだろう。Ｓ幼稚園は２時降園で、長期休み期間中の預かり保育もないため、母親が働くのは不可能といってよい。坊が卒園するのは４年半後である。小姐の入園が決まってホッとする反面、少なくともあと４年半は専業主婦でいることが確定かと思うと正直ウンザリしている。入園の件を母に話した。そのついでに、何の気なしに「あぁ、社会復帰はまたしても遠のいたわ」と呟くと、母は「社会復帰？そんなのできるわけないでしょ、４年半後だなんてアンタ何歳になると思っているの」とピシャリ。一瞬、背筋が凍りつくような感覚に襲われた。「夢を壊すようなこと言わないでよ」と返すと「夢じゃないわよ、それが現実よ」。母は超リアリストだが、私が働きたいと思っていることも知っているくせによくそんな冷たい言い方ができるものだと腹立たしくてたまらなかった。さらに妹までもが「難しいと思うよ。私だってなかなか見つからないのに」何を～ぅ。転職活動が思うようにいかないからって八つ当たりかよ。アンタこそ世の中ナメてたんじゃないの。次の就職くらいすぐ見つかるってタカをくくってたんじゃないの。確かにＳ幼稚園はすばらしいと思っている。家から遠いこと、帰りが２時で慌しくなるであろうこと、夏休み等の預かり保育がないこと等を差し引いても尚 ここへ入れたいと思った幼稚園である。どうやら市内では一番人気の幼稚園らしく、評判もいいのだろう。そこへ小姐が入園するなんて嬉しいではないか。もっと素直に喜べないものか。「社会復帰なんてできるわけない」―――。どうしてそんなふうに決めつけられなければならないのだろうか。本当に私には今後の展望がないのだろうか。選り好みしなければ仕事はあるだろう。ただ、男性の仕事を補完するような働き方はもうごめんだと妊娠前に嫌というほど味わった。「これがいい」と思って始めた仕事が、いつしか「これでいい」になり、「これしかないのだから」を経過して、最後は「やはりどこか無理がある」となり、「惨めだ」とぼやき始めたら、どうにも止まらなくなったのである。そこで、もう一人の自分が批判する。アンタは才能もなければ努力もしていないくせに 何を偉そうなことを言っているの？と。進学率が上がり、国民の約半数が大卒ということになった現代、職業と学歴のギャップという問題は誰にとっても他人事ではない。学歴の如何にかかわらず、男女を問わず、誰もが多かれ少なかれ職業においてこんなはずではなかったという挫折感を味わう時代に突入しているのではないだろうか。考えようによっては、私は女であることで、この種の挫折感をさほど強く味わわずに済んでいるのかもしれない。というのは、女性の多くは結婚、出産、育児という出来事のたびに、権力や威信から徐々に、しかし確実に遠ざかってきたからである。だから４大卒の女性といえども一旦表社会からリタイアすると、もはやそこに戻ることはできないということを誰でも知っており、そういう意味では「偉そうな仕事につけるはずだ」というセルフイメージは段階的に捨てて人生を歩んできたことになる。ここが 倒産やリストラによっていきなり梯子を外される男性と決定的に異なる点である。しかし「職業に貴賎はない」というのは建前だと思う。仕事をしていない今、自分はインテリ（！）だという妄想を抱き続けることが可能だ。大学を出た人が競うようにして我が物にしたいというような職業につかない限り、その扱いの軽さによって「私はいくらでも替えのきくただの○○」にすぎないのだと思い知り屈辱感を味わうことになるのだろう。私が小姐を（自動的に坊も）幼稚園ではなく保育園に入れて働くことを夫が反対した理由はせめて坊が３歳になるまでは…という以外にも重要事項があったのである。言い方は乱暴になるが、私の性格では ただその辺で働くだけでは満足しない、仕事と育児の両立はただでさえ難しいのに、好きでもない仕事では長続きしないだろう、それなら今はじっとしてプランを練り、満を持して社会復帰すべきである、とのことである。何かをするには原動力がいる。車でいえばエンジンである。エンジンのない車は、いかに外見だけ整っていても走ることはできない。私の場合、闇雲に「働きたい」と思っているだけで、それが具体的にどういう内容なのかがはっきりしていない。これでは夫も賛成できないし、アドバイスのしようもない。教育関係の仕事がしたいという漠然とした希望はあるものの、狭き門だし採用は皆無に近い。それなのに、いつまでもそれにこだわっているのは、仕事をしたくないというのと同じなのではと思うことがある。仕事なんて、おもしろくてやりがいのあることだと感じているのはごく一部の人だけで、大抵の人は意に染まなくても生活のためにやっているのだ。しかし、育児中で、生活は保障され、今の暮らしがそう苦痛でもない中で働き出したいと思う時、やはり自分にとってやりたい仕事につきたいというのは当然である。たとえ始めからは無理にしても、夢としては持ち続けていたい。仕事に関することばかりでなく、人生のすべてにおいて、「やらなきゃいけないから」「人がやれというから」「皆がやっているから」等と言わずに、「私がやりたいから」やるのだという姿勢を持つ人は、限りある人生をより豊かにできるだろう。逆に「私は○○がしたいが、～だからできない」「○○さえ～であったらできるのに」と言う人は、たとえその障害がなくなったところで、やはり何もしないのではないだろうか。自分がやりたくない理由を他者に転嫁するという姿勢を変えない限りは、どんな恵まれた状態になっても、やはりどこかにできない理由を見つけたがるだろう。この山がこんなに高くなければ私だって登る、などと不平を言っていないで、本当に自分の登りたい山を見つけよう。他人の目を通してでなく、自分の目でさがしてみれば、それは必ず見つかるし、自分でも気づかないうちに頂上まで登っている場合だってあるだろう。本当に自分が好きなものは何だろう。私には何ができるのだろう。まずそこから始まるのだ。苦労するのも、達成感を味わうのも自分である。舞の海が、どうしても相撲をやりたいのに身長が規定の１７３センチに届かなくて、頭にシリコンを入れて新弟子検査をパスしたのは有名な話である。それだけ情熱があったということだ。私も「やりたい！」と言い切れるものをさがしたい。
2006/08/08
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閉塞感を乗り越えたい
今日は男女共同参画推進冊子の編集会議があった。会議が終わって、託児をしてくださっている部屋に小姐と坊を迎えに行くと、託児ボランティアの方に「今年はどんなテーマなの？」と尋ねられた。「女性の再就職にあたっての課題や、仕事と家庭の両立について等です」と答えると「両立なんて考えちゃダメよ。子育てを頑張らなきゃぁ」。どう返答してよいかわからず 笑ってごまかすしかなかった。その方は50～60代とおぼしき女性だから、昔ながらの考え方でも不思議ではないのだが、少なくとも託児ボランティアの方の口からそのような言葉が出るとは思っていなかったのだ。両立なんてできっこないんだから最初から働くな、母親たるもの育児に一心不乱に精進すべし、ですか。確かにそれは大切なことではあるけど、どうして母親だけが孤立させられるのだろうか。育児に励めば励むほど、大人社会から取り残されていく。社会全体から「ハイ、お母さんはこっち」と一くくりにされ、のけものにされるようにさえ感じている私の闇をアナタはわかってくださいますか。各種育児講座などは、「今しかない育児を楽しんで」という言葉で締めくくるのがお決まりパターンである。どの講師もだいたい言うことは一緒！託児があるから（１時間ないし１時間半子どもと離れられることが確定するから）受講を申し込んできたけど、いい加減そろそろ飽きてきた感がある。奇麗事では済まないことばかりだから。もう本当に疲れてしまった。あまりに腹が立ったので、帰りの車の中でＣＤのボリュームを大きくして恥を捨てて大声で歌いまくってやった。小姐と坊は呆気にとられていたが、構うもんかい。
2006/07/13
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女性どうしで足をひっぱり合うな！
主婦の就労率は６０％を越えるという。しかし、さまざまな事情から 働きたくても働けない主婦もいる筈である。働きながら子育てするのが当たり前なら、外で働かない主婦は落ちこぼれになるのだろうか？女性の社会進出は歓迎されるべきだと思うし、選挙権すらなかった時代など言語道断である。しかしながら、今女性の権利を主張される方々は、外で働く女性の味方ではあっても、家事労働に従事している女性の味方では必ずしもないのである。あまつさえ「専業主婦根絶運動」などと言っておられる女史もいらっしゃる。専業主婦を指して「三食昼寝付き」とのたまった時はさすがに唖然とした。このように、同性からも理解を得られない「お母さん」という「仕事」なのだから、特に必要もないのに外で仕事をしたがる女性が増えるのは必然といえるだろう。転職活動が長引きイライラしている妹が、「専業主婦は働かなくていいから羨ましい」と言いやがったので「何をっ！」と食ってかかろうかと思ったが、売り言葉に買い言葉になりそうなのでやめた。それに妹は独身だし10歳も下だから、話がかみ合わなくても仕方がない。そういえば一昔前に出ていた「ふざけるな専業主婦」とかいう本はテレビ受けを狙って（？）過激なことを言っていた節もあったようだけど、どうして専業主婦とＷＭは不毛な論争をくり返すのだろうか。専業主婦は「私の人生これでいいのか」と常に自分に問いかけ、ＷＭは「子供が寂しい思いをしてないか」と日々気にかけている。お互いがお互いの地雷を踏んでしまったことで、全員逆上したガチンコ議論になったのだろう。自分とは正反対の立場にいる人に やっかみ半分の反発を感じるのだろう。「子どもを預けて働くなんて子どもがかわいそう」って、同じ女性が言うな！（専業主婦はとかくＷＭを批判したがる。だからバカにされるんだよ！）家庭を守るのも外で働くのも、いわば種類の違う才能だから、専業主婦が必要かどうかなんてハッキリ言ってどうでもいテーマである。子どもを人質にとるような言説まであるから呆れてしまう。乳幼児が口をうまくきけないのをいいことに、人を脅すような３歳児神話なんてさ！子どもが寂しがっているかどうかはわからない。専業主婦がどんな生活をしているか、ＷＭが何を考えて働いているか、相手からはわからない。憶測、印象、幻想でしかない。偶像に対してああだこうだ言っているだけである。第一、母親が働いているだけで子どもがグレていたら、女・子どもといえども必死で働かなければならなかった時代の日本人は全員ろくでもなかったことになる。だいたい、専業主婦なんて日本が豊かになってからの産物ではないか。他人のいい加減な評価は気にせず自分の足で立とうではないか。自分の生き方に自信があれば、立場が違う人のことをとやかく言おうなんて思わないはずだ。それにしても妹め、腹が立つなぁ！要するに私は自己完結できていないのだ、往生際の悪いヤツ。
2006/06/26
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アンバランス
夫の会社で、自社製品の販売会（外部の人間も入ることができる）があったので行ってみた。社員食堂を開放して、うどんやそばを100円で食べられるようになっていた。ここは かつて私が働いていた会社でもある。食堂は、規模を拡大してきれいになっていた。駄菓子屋のようだった売店もコンビニさながらに進化していた。そして、工場棟と食堂の間には連絡通路が設けられていた。雨の日は傘をさして移動しなければならないという不便さが見事に改善されたのである。辞めたくて仕方がなかった会社なのに、多くの社員で賑わう食堂の光景をイメージすると、専業主婦となった今は、なんだか羨ましく思えてしまうから不思議である。もっとも、専業主婦になりたいと積極的に望んでいたわけではないので、退職後１ヶ月もしないうちに、何もしていない罪悪感で暗い気持ちになってしまったのだが…。要するに私は、いまだに自己完結していないということである。この期に及んでまだ往生際の悪いことを言っている。自己完結できていれば そんなトラブルはないはずなのに。今の自分は社会との接点がない、社会から疎外されている気がする、といってもでは、社会から取り残されているという時の「社会」とは、一体どういうものをさすのだろうか。辞書に載っている「社会」という言葉は、まず最初に「人間が集まって生活を営む集団。家族、村落、会社、政党、階級、国家等が主な形態」とあり、次いで「同類の仲間」「家庭や学校に対して、企業などの組織をさす」と書かれている。つまり、会社だけではなく、地域や育児サークル、家庭もまた「社会」なのだ。しかし、私を含めた母親たちが接点をもちたい、疎外されたくないと切望している「社会」は常に自分を評価してくれる場所であり、スポットライトを浴びることができる場所、今の自分には手が届かない、憧れの場所をさす代名詞として使われているようにさえ思う。一日のうち、自分自身と向き合うための僅かな時間すらもなかなか確保できない育児環境では、「社会」を「ここではないどこか」ととらえて、それに憧れるのも無理はないのかもしれない。しかし今の時代、ほとんどの女性が結婚前に仕事を持ち、「社会」というものがどんなものか、その厳しさや実態についてもよく知っているはずなのに、結婚して家庭に入った途端、「社会」という言葉が憧れに変わってしまうのだとしたらこれほどアンバランスな話があるだろうか。
2006/06/17
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ワークシェアリング
男女共同参画事業を推進するための冊子 の編集会議に出席した。２回目の今日は、平成１８年度前期として発行する号のテーマを決めるため、各自が案を練ってメールやＦＡＸで事務局へ提出した企画書を拝読した。多く出たのは 予想どおり、女性の再就職と育児支援であった。私は専業主婦の苦悩について書いたら実に主観的になってしまって恥ずかしかったのだが、他の委員や事務局からは「よくぞここまで本音を書いてくれた」と思いのほか反響がよくて、こそばゆい思いであった。女性の再就職と育児支援には、少子化の問題、男性優位の意識の問題、専業主婦の実態等、さまざまな事柄がリンクしてくるため、どの角度からでも書けそうな気がするのだが、とりあえずは再就職と育児支援をベースに進めていくことになった。育児のために一旦家庭に入った女性が、再び職を得る場合、日本ではパートタイムが主流になっている。望んでパートを選ぶならば問題ないが、そうでない人には辛い状況といえるだろう。ワークシェアリングが浸透していってほしいと切に願う。オランダ等で推進されている パートタイムを中心とするワークシェアリングは、それぞれの生活に応じて短時間に集中して働き、残った時間をじっくり自分のためにまたは家族と味わおうというものである。日本でパートといえば低賃金、いつ解雇されても仕方がないような（？）不安定労働、社会保険も福利厚生も薄い、いわば「補助労働」であり、正社員のボーナスを含む平均給与と比較して約５５％という調査結果があるそうだ。ところがオランダのパートは、時間あたりの賃金は正社員と同額で、社会保険や育児・介護休暇も同一の条件である。単に労働時間が短いだけの正社員であるといえよう。企業のホワイトカラーは勿論、課長や部長クラスの管理職がパートだったりするらしい。日本社会のしくみは、高度経済成長の企業戦士が働きやすいように整えられてきた。しかし６０年を経て、少子・高齢化社会へ突入してしまった。女性の社会進出が必要になる時にはワークシェアリングを積極的に取り入れていただきたい。ゆとりある生活で、一人ひとりが自分らしく生きられる社会は、他人をも大切に思いやることができる社会だと思う。
2006/06/14
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「自分らしさ」を自分で選ぼう
ＣＡＰの講習会で、ジェンダーの話題が出た。「男の子が転んで泣いた時、泣いちゃいけませんって言うお母さん多いですよね。そんな場面を見たことはありませんか？」という質問に、ほとんどの人が手を挙げていた。過去の日記 に書いたことと重複するのだが、多くの親は、息子や娘の行動を それぞれの性役割にふさわしい型にはめこみ、それに添って躾をしようとする傾向があるのではないだろうか。たとえば、男らしさとは…。苦しくても弱音を吐かない。泣きたくても泣かない。常に闘争心を持つ。強くて競争に勝つ。権力を持つ。出世する。家族を養ってこそ男だ。男は家長だ。嫁をもらう。男は黙って…等々。たとえば、女らしさとは…。か弱い。守られる。おしとやか。おとなしい。従順。強がらない。理屈を言わない。周りに合わせる。控えめにして出しゃばらない。男をたてる。学歴はそこそこに。貞淑。家事・育児は女の仕事。経済力は持たなくてよい。嫁に行く。夫・子どもを第一に…等々。ちょっと待ってよ～、私ったらこの中のどれに当てはまるっていうのよ？ダテに「男に生まれたらよかったのに」「女にしておくのがもったいない」と言われ続けてきたわけじゃないってことか…（オイオイ違うだろ）。よく「かわいい女になりたい」と聞く。そりゃぁね、結構なことですよ。かわいい女性は素敵です。でもね、こうあるべき女性像にとらわれすぎると、がんじがらめになりませんか。自分の本当の気持ちを出せなくなる恐れもあるんですよ。男が泣いたっていいじゃないですか。感情をあらわにすることの何がいけないというのですか。男だから、女だからという前に、もっと広い視野でとらえたい。「男らしい」「女らしい」ではなく、「自分らしい」ことが大切である。この世にたった１人しかいない、かけがえのない自分なのだ。たとえば、自分らしさとは…。正しい。強い。頑張り屋。たくましい。活動的。行動的。積極的。主体的。リーダーシップ。意志が強い。度胸がある。自分の生き方をもつ…。どんなことでもいい。自分らしさを出していこうではないか。
2006/06/07
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はじめの一歩
家で育児や家事に追われている中で、外へ出られなかったこの数年間をかえりみて、あぁなんてつまらない無駄な年月を過ごしてしまったんだろう、退職しなければよかったと嘆いたり、後悔することがどれだけあっただろうか。私はつくづく専業主婦に向いていないのだと思う。しかし、そう思ってばかりではちっとも建設的ではないので、次のように考え方を変えてみた。この数年間は、マイナスと評価するにしろ悔やむにしろ、そのことに気づき、生活を一新しようと考えるに至る貴重な節目だったのだ、と。もしかしたら、今までずっと働いてきた人だって、充実した毎日を送っている一方で、なんて自分は忙しいばかりで余裕のない生活をしてきたのだろう、と思っているかもしれない。どちらもないものねだりという一面もあるが、少なくとも専業主婦の時期に人生についていろいろ考えることができたのなら、その点についてはもっと積極的に評価してもよいのではないか。お金がいるからにせよ、あるいは生き方として働くことを選ぶにせよ、今のところはまだ専業主婦であるなら、あと少しの間はこの状態が続くわけである。良いほうへ解釈するほうが、人生においては前向きになれるということである。もし無駄に歳をとったような気がするなら、その悔しさを今後のエネルギーとしてとっておけばよい。もし嘆くことがあるのなら、今のうちに思いきり嘆いて、何故そうなったのか、どうしたら嘆かずに済むようになるのかを徹底的に考え抜くことである。今後二度とない（であろう）こうした期間を持っているのだから、大いに活用したい。夫との話し合いの結果、少なくとも坊が幼稚園に行くまでは家にいることにしたのである。その間、自分なりに意義ある生活を送りたい。坊の成長を待っているだけでのんべんだらりんと過ごしていては、甘え合い、もたれ合いが生じないとも限らないし、時間がもったいない。小姐が幼稚園に行けば、２人連れて行くのは大変だからと今まで尻込みしていた場所にも気軽に出かけられるようになるとはいえ、それが毎日毎日続くわけでもないし、テニスに行って、あとは適当に育児イベントを見つけて参加して、というだけでは到底満足できそうにない。では、何をしたいのか。何をすべきか。何ができるのか。そんな時、広報の小さな記事が目に留まった。市では、男女共同参画事業を推進するための冊子を作っているのだが、その編集に携わるスタッフを市民から募集するというのである。かつて憧れていた編集という仕事、しかも男女共同参画というテーマ。必要であれば託児もおこなうとのこと、これはもうお呼びがかかったとしか思えない（笑）。すぐさま応募し、２週間ほど経って市長から委嘱状が届いた。今日、第一回目の編集会議がおこなわれた。就業という形ではないものの、社会に参加しているという高揚感が心の中で弾けて、顔がニヤけるのを抑えるのに必死だった（笑）。委嘱期間は３月末まで、月に２回のペースで集まり冊子づくりをすすめていく。私以外のスタッフは年配の方が多かったが、違う世代との交流は視野が広がるし、男女共生フェスティバルの実行委員を兼任されている方もいて、思わぬ情報を得られるかもしれない。いずれ社会復帰をめざす私にとって、貴重な経験ができるに違いない。転ぶのは恥ではないが、転んだままでいるのは恥である。これまでさんざん燻って自分を卑下してきたが、一筋の光が見えたような気がする。
2006/05/30
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輝きたい
祖母の四十九日法要で親戚が集まった。ついこの間 亡くなったばかりだと思ったのに、月日の流れ まさに光陰矢のごとし。食事会の席で 私たち姉妹が３人並んでいたら、伯母が「三者三様だと思ったけど、なんだかんだいって顔が似てきたわね」と言った。これまでは、私と上の妹は似ている、妹どうしも似ている、しかし私と下の妹は似ていないと言われていた。最近はそうでもないのかな…。叔母が「若いっていいわね～、私も戻りたいわぁ」と言うと、伯母が頷いた。そこで私が「私もこの子たち（妹たち）を見るとそう思うよ」と言うと「あなただってまだ十分若いじゃないの～」「でももう30越えたもん」「いやいや、30代は美しいのよ。20代とは違った美しさがあるのよ」う、う、うつくしいですか？本当ですか。そんなことを言われたら、間違いないく図に乗っちゃいますよ、この人。私は妹がまぶしかった。上の妹（25）は、看護師としてバリバリ働いており、休みの日もケアマネージャーの資格を取るために勉強したりと、目的意識の高い子である。今勤めている病院を辞めたいと思ったことはあっても看護の仕事そのものを辞めたいと思ったことは一度もないそうで、まさに天職なのだろう。子どもの頃から看護師になりたいと言っていたが、実際になった今も そう思えるのは幸せだ。仕事に関して不完全燃焼だった私は、なおさら妹が羨ましい。この春 退職し、転職活動はしているものの、やりたいことが見つからないとボヤいている下の妹（22）でさえ、若いというだけで十分に羨ましい（かくいう私にも、若い時はあったのだが）。法要は家（実家）でおこなったので、喪服さえ着ていれば靴は何でもいいと思いこんで着替えた後の服装に合うサンダルをはいて行ったのだが、墓に行かなければならず（すっかり忘れていたバカな私）、慌てて妹に黒いパンプスを借りた。出産してからというもの、ピンヒールは とんと御無沙汰になっていたので歩きにくく、すぐ近くの墓まで行くだけなのに膝が笑っていた。そう、こんなのはく機会ないのよ。化粧直しをしないから化粧品が減る速度も落ちたわ。バッグだって、いつも肩からかけるタイプで なんだか幼稚園児みたいだし、どう見ても所帯じみた。妹の髪型がステキだと思ったって、マネはできない。年甲斐もなくて…。そして私は外見だけでなく、専業主婦という自分の立場を卑下してばかりいる。時間に縛られることのない専業主婦はお気楽な反面、無能のレッテルを貼られているのだと どこかで僻んでいる。有職主婦でも特に技術者、あるいは専門的な知識を必要とする職種についている主婦に比べ、自分は…と卑屈になってしまうのである。「子どもが小さいうちから保育園に預けるなんて…」と刃を剥くことで、どうにか自分の存在理由を確認している。実に哀れである。こういう、いわば自暴自棄の世界にいる自分がたまらなく情けないのである。美しいなんてとんでもない。ドロドロしていて醜いことこの上ない。それは必ずや顔にも表れていると思っている。もっと自分に自信をもてるようになれたらどんなにいいだろうか。「子持ちには見えない」「独身者みたい」、そんな褒め言葉もいいが、「母親になってますます輝いている」と言われるのはもっと素敵だと思う。大切な家族を守りつつ、自分自身も輝けたら、それこそ本当に素敵な女性だと思う。
2006/05/27
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主婦というアイデンティティの揺らぎ
若い女性の間では、いまだに専業主婦志向が根強いと聞いたことがある。私の妹もその一人で、私のことを羨ましいとのたまうが、個人的には やめときなと言いたい。はたして、この先の時代も専業主婦は存在しうるのだろうか。当今の専業主婦は、一家を切り盛りしていた昔の主婦に比べて はるかに軽い印象を免れない。家族規模の縮小と耐久消費財の普及によって、昔とは桁違いに家事が軽減された現在、成人女性が家事・育児に専念する必要性の有無、換言すれば専業主婦の存在理由が問われているからである。今は何でも便利になって、大半のことは自力でやらずに済む時代である。家庭と家計のマネージャーとしてテキパキ物事を仕切っていくならそれで大忙しだが、そこを放棄してひたすら楽をするという今の優雅な（！）専業主婦は戦前などゆうに通り越して19世紀末の上流階級奥様風ではないか。上流階級？なんてレトロで美しい言葉でなんでしょうねぇ。ええ、若い女性が憧れるのがわかる気がしますわ～。少子化で所得ものびない今の時代には、社会的にも個人生活レベルでも、消費するだけの人間を養う力はない。しかも労働力は不足していくのが全体の状況である。いい、悪いの問題ではなくて、時代が変わっているのである。やはり、この先 消費だけの主婦層は成り立たないと私は考えている。専業主婦はハイリスク、ハイリターン！
2006/05/18
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過敏な反応
今年、我が家は町内会の組長である。毎月15日に組長の会合があり、市の広報と 回覧板用の書類を受け取ることになっている。今回の回覧物は少なかった。夫が「これならすぐ回るかな。前回は山ほどあったよね」と言うので「それでも、３日で戻ってきたよ」と答えると「そうなんだ。皆、家にいるからなぁ。出かけてなければ早く回るか…。でも、これで子どもが大きくなって皆パートとか行き始めたら１日１軒にしか回らないかもね」この組には11軒の家がある。２軒を除いて他はどの家にも幼児がいて、奥さんは見事に全員専業主婦である。言葉尻をつかまえることになるが、「パートとか行き始めたら」に私は過敏に反応してしまった。どうしてパートなのか。「とか」がついているから、パートに限定しているわけではないものの、「主婦の再就職＝パート」という図式が完全に確立されているのだろうと思うと、私はなんだか悔しくなる。細かいことを気にしすぎだと言われればそれまでだが、もっと広義に「仕事」「働く」だったら、反応は違っていた。もっとも私とて、育児のためにブランクのある主婦が正社員の座を獲得することがいかに難しいかは重々承知である。何か強力な資格や特技でもあればいざ知らず…。子どもの頃、観念の世界で遊ぶことが多かった私は、手ごたえのある生活の基盤にかかわることなく生きてきたため、暮らしの中で自分の手を使い、体を使い、汗を流すということがほとんどないまま成長し、こんな半端な大人になってしまった（今思えば、家事の手伝いくらいしておけばよかった）。故に、技術を身につけるということがどういうことなのか理解できなかった。このままでは私は、再就職できたとしてもせいぜい低賃金労働力資源のパート要員だろう。夫は特に他意などなく ああ言ったのに（っていうか私のことに限定してもいない）、私は一人で勝手に痛いところを突かれたような気になって嘆いている。こういう自分が本当に嫌いだ！小さな子どもを抱えた主婦が、かりそめにも勉強するのは生易しいものではなく、仮に勉強を続けていったとしても将来利用価値があるのだろうか。そうかと思うと、子どもが大きくなって母親の手を必要としなくなった時、何か心の励みになるような仕事を持っていないと寂しいだろう、とたえず心が揺れ動いて、まるで時計の振り子のように行ったり来たりと迷い続けている。とりあえず細々とでも勉強はしよう。継続は力なりというではないか。
2006/05/15
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鯉幟に誓う
女の子が道端で転んだ時、急いで駆け寄って抱きかかえてやる親は多いだろう。これが男の子の場合だとどうだろうか。「男の子でしょ、泣かないのよ！」などと叱ったりすることは、日常的に多くの人が経験していることではなかろうか。親は、息子や娘の行動を、それぞれの性役割にふさわしい型にはめこむように躾をする傾向があり、特に男の子に対してこの躾は厳しくおこなわれるように思う。たとえば男の子が人形遊びなど いわゆる女の子らしい遊びを好むような場合にはこの子ったらまったく…と眉をひそめられることもあろう。しかし女の子の場合には、男の子に混じって乗り物ごっこなどをしてもそれほど批難されることはないものと思われる。男の子が女々しいのはよくないこととされるのに対し、女の子は少々お転婆でも大目に見られるのである。ここには、男らしさのほうが女らしさより価値があるとする、男性優位社会の価値観が反映されているのだと思えて仕方がない。そういえば私は 坊が泣いた時、冗談めかしてではあるが、「情けない息子だねぇ～」と言ってしまうことがよくある。男たるものビービー泣くな、という意味になる（女だったらビービー泣いていいのか？）いかん！この台詞は封印しよう。屋根より高い…ではなく、もう一つの鯉幟の歌（甍の波と雲の波…のほう）に、「たちまち龍になりぬべき、我が身に似よや男子（おのこご）と～」という歌詞がある。龍は強いものの象徴？男の子は強く逞しく？勿論、坊が強く逞しい子に育ってくれれば親として嬉しいが、あまりに男だから云々と言い過ぎるのはよくない。女である小姐と比較して、育て方に大きな隔たりをもたせることになるのは本意ではない。弟として姉をたてることは教えたいが、男だから女だからと差をつけすぎないようにしたい。
2006/05/04
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職業欄 「無職」
私は、新しい時代の教育を受けた世代である。理想の母親像が生き続ける一方で、フェミニズム運動が切り開いた男女平等の新境地、斬新な平等主義の理想は印象的で魅力的だった。同じ女性運動でも、堕胎や同性愛の権利といった、よりラディカルで激論を呼ぶ問題はさておき、おおもとの思想、つまり職場での機会の均等に反対する理由は見当たらない。女性も希望するキャリアを追求できるようにするのは当然のことである。そして実際、女性の多くは、元々は男性の仕事とされていた職種にも挑み、自分たちも同等の賃金を得る資格があるという自信を得た。やがて、私が大学に入る頃には、どの本を読んでも、新聞も雑誌も、ある一つの単純で辛辣なメッセージを発信するようになっていた。つまり、できる女は働くものだ、という。そもそも働かないなど裏切り行為に等しい、と。後生のために闘い、道を開いた先輩女性に顔向けができないではないか、と。私は、アンケートの職業欄に主婦と書くことを躊躇ってしまう。主婦は職業ではないと思っているから。主婦とは仕事をしていない既婚女性をさす言葉だが、どことなく「ただの主婦」という響きがあるような気がする。定義が曖昧なだけでなく、やはりなんとなく変な言葉だと思う。幼児がいる家の家事育児は膨大な量なのに、これは職業ではない。家事や育児が今の自分にとって職業だと思えばいいと言う人もいるが、給料ももらえないものを職業だと呼ぶほど私はおめでたくできてはいない！夫の収入の半分が主婦の収入だと考えればいいと言う人もよくいるが、その考え方にも無理がある。その人の家事能力にかかわらず、夫の収入によって給料が決まるなんて変な話だし、同じ世帯収入の中での半分の権利なんて、ままごとをやっているのと同じだと思う。自分の家の家事をすることによって誰かから給料をもらえるなんて思ってもいない。たかが自分の身のまわりのことをしたり、生活する空間を清潔に保ったりするのは、基本的生活習慣とかいって、小学生にだって求められる自立的行為ではないか。それをどうして職業などと呼べるのだろうか。故に、主婦を職業と思わない私は、職業欄にはいつも無職と書いている。無職。なんて頼りない存在。私はそう書くたびに、情けなさで足元が崩れそうになる。この資本主義社会の中で、健康な成人でありながら職業をもって自らの食い扶持を養うことなく、そして職業をもたないことを少しも悪びれることなく暮らしていけるのは、おそらく主婦と呼ばれる女たちと、その予備軍だけであろう。しかし私は、自分の意志で無職と書いておきながら、そう書くことが怖いのだ。認めてよ、私は幼児を２人抱えてこれだけの労働をしているんだもの、こんなに忙しかったら、他の職業なんて持てっこないじゃない、子持ちの主婦は家に引っ込んでいろと言わんばかりの労働条件の職種しかない世の中だもの、専業主婦やるしかしょうがないでしょう…。私はそんな気持ちになりながらも、そう感じる自分が本当に情けない。そんなに思いつめているなら働きに行けばいいじゃないか！ところが私は、最後の最後で腰を上げることができないのである。そもそも、どうしてなりたくなかった専業主婦になったのかというと、会社での仕事にやりがいを感じられなかったから。こういう仕事をしたい、そのためにこんな勉強をしていますとアピールしても、現状の改善要求をしても却下され、失望し、本気で転職を考え始めた時に小姐を妊娠し、これで誰からも批難されず円満に辞められる、と思った。いわば大義名分である。仕事に対する欲は強かっただけに、不完全燃焼といった感は否めなかったが、小さな子どもを預けてまで続けたい仕事ではなかったので、あっさり退職した。とりあえず出産して、後のことは後で考えようと思っていた。早い話が「嫌だから辞めた」という単純なこと。今ここで私が、専業主婦でいることに耐えられないから、育児がつらいからといって働くことを選択しようとするのは、これまた同じ轍を踏む、すなわち「逃げる」ということになるだろうと思うと、自分が許せないのである。結局はどっちつかずの状態である。いっそのこと、いろいろ悶々と考えることをやめてしまえたらいいのに…。
2006/04/16
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ジェンダーの呪縛
家族や友達と話していて、肯定しがたい性差別のある社会構造や人間関係、一般慣習を、周りの人間がなんとも思わずに受け入れているのを見ると、もしかしたら私は普通じゃないのかもしれないと思うことがある。別に構わないんだけどね、皆と同じじゃなくても。悩むのが嫌だから、何も考えないですべてを受け入れるなんてこともできないし。それに、一見性差別を無批判に受け入れているように見える人たちだって、ただ諦めているだけかもしれない、どうせ世の中思うようには生きられないんだから、って。勿論、すべて思い通りにいくはずもないのだが、とりあえずおかしいと思うことは言っておきたい。たとえば江戸時代、封建制度にがんじがらめになって、士農工商の身分制度が絶対と信じて人々が生活していた頃、民主主義の世の中なんて想像すらできなかったはずである。その頃、武家の娘が町人の男性を好きになった場合を想定してみると、その恋愛は実を結ぶことができなかったに違いない。（そもそも、武家の娘が町人と知り合う機会さえないのかもしれないが）彼女はきっと、自由な恋愛なんてできない世の中だから我慢するしかない、世の中はこういうものだと最初から諦めて、親の決めた婚礼に従ったのではないだろうか。それは封建制の世である限り、当然の帰結であっただろう。しかし、永久に続くかのように見えた封建制度だって、黒船が来たらあっけなく終わってしまった。もし世の中が変わっていく可能性があるなら、生きやすい方向に変えなければ損だ。もし世間の相場が「結婚したら夫と子どもの身のまわりの世話をして生きるのが女の正道」なんていう考え方だったら、そう言われて窮屈な思いをしている女性であればなおさら、それはおかしいんじゃないですかと口に出して言わなければ損だと思う。最近、小姐がやたらにピンクの服にこだわるのだが、たとえば赤ちゃんの肌着にしても、何故女の子はピンクで男の子は青を着せるのだろうか。小姐がキティちゃんではなくトーマスのグッズを好んだっていいじゃないか。女子は理系に向いていないというなら、それは生理的にそう決められているからだろうか。どんな根拠があって、女性は管理職よりも補助的労働が似つかわしいといえるのだろうか。男女に割り当てられている性役割には、生得的に運命づけられているわけでもないのにいつのまにか慣習化して、自然であり当然であると思い込まされているものが多いのである。
2006/04/06
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年度末に思う
大学を卒業して丸10年である。今日からセ・リーグ開幕。桜の季節。店は「新生活フェア」だって。新入学の皆さん、社会人になられる皆さん、フレッシャーズという言葉には希望が満ち満ちていて実にすがすがしいねぇ！夢にむかって一歩を踏み出すっていう感じだわ。思えば、何の自覚もなしに、自分は「普通の主婦」にはならないという鼻持ちならぬ思い上がりから出発した主婦生活だった。子育ての中で焦燥感だけが肥大し、まさしく主婦の壁を意識してから３年が経とうとしている。今、ようやく落ちた地から見えたものがあるように思う。落ちたといっては語弊があるが、私にとって育児に伴う専業主婦生活は、決して誇り得る暮らし方とはいえず、人生の行き止まりを半ば意識し、自己を磨くことを大部分放棄した時間経過だったように思う。暇といえば暇だが、あるのはいつもこま切れの時間であり、子どもが寝ているうちに何かができるといっても、それはいつでもやめられる程度のこと。子どもはいつ泣き出して起きるかわからない。何をしていても、気持ちの半分は子どもを受け入れる態勢でいなくてはならない。乳幼児を抱え、思うように外出もままならない生活をしている専業主婦の切なさは、一般的にはあまり理解されていないように思う。育児休暇をとって一定期間子どもを育て、仕事に復帰した友人はこう言った。「私には戻る職場があるという希望があるからよかったけど、あのままの生活をずっと続けなければいけないとしたら、気が狂ってしまっただろう」。（あの～、私は専業主婦ですが何か？ 苦笑）子どもは確かにかわいい、しかしだからといって、母親はありがたがって子育てに心を砕き、核家族で子どもを育てることのできる幸せをかみしめていろなんていう論理にはならない。父親は社会と関わり金を稼ぎ、母親は社会から隔離されて子育てに専念するというのは、一見ごく合理的なシステムのように思えるのだが、これはすさまじい人間疎外ではないだろうか。育児書には、母親の心理や心の持ちようについてはいい加減なきれいごとしか書かれていない。子どもを育てるのが主に母親であるなら、そして育児が母と子どもという対でなされるものなら、育てる立場にいるほうの母親についても もっと突っ込んで書いてあってもよいのではなかろうか。子どもの児童心理は０歳の時からそんなにも大切で、母親のそれはどうでもいいのか。それとも、子どもを産んだらその途端、母親はみんな心身ともに立派な母親になるべきであって、母親の心理などは育児書を執筆する専門家の知ったことではないとでもいうのだろうか。こんなことを言うのは私が甘ったれの異常であって、普通の、気立てのよい女性たちは皆、子どもを産むと同時に何の葛藤もなくすんなり母親になり、育児というすばらしい仕事を手に入れて幸せいっぱいの生活をしているのだろうか。いや、そんなことはない。口に出すか出さないかの違いだけだろう。子どもを持ったことで確かに幸せだと思うこともあるが、そして長い目で見れば幸せであるに違いないのだが、日常的な生活において言えば、子どもを産んだことによって失ってしまった世界への絶ちがたい思いが常に頭の中に渦巻き、それはかなりきついストレスになってしまっている。男性だって父親になれば折り合いをつけることを学び、我慢したり諦めたりする世界があるはずで、妻子を養うためには 仕事が嫌だからといって簡単に辞めるわけにもいかず大変だが、社会から隔離され、育児だけで一日を終える母親の生活に比べれば自由だと思う。自由を謳歌していた女性が、子どもを産んだ途端、忍耐と犠牲を当然として受け入れる、古き良き聖母であることを有形無形に押しつけられ、みるみる未来を萎ませてしまうとしたら…。家庭という見えない檻に閉じ込められ、「妻というものは」「母親たるもの」というお定まりの文句にがんじがらめにされて、うつろな日常を送っているとしたら…。それは心がけが悪いというだけの問題なのだろうか。一時の辛抱だからと簡単に片付けてしまえることではないと思う。母親なんだからという言葉で一くくりにすることはできないほど世の中は変わってきているのに、こと親になることにのみ母性神話は生きていて、時代錯誤の母親像が理想として掲げられてしまっている。これはやはり容認できない。育児だけに明け暮れている生き方に飽き飽きしている。この焦燥感と孤独感は、今までの人生で味わったことのない切ない思いである。母には喝を入れられる。「何を贅沢なことばかり言っているの。私なんておばあちゃんと同居で気を使ってばかりだったわよ。ああだこうだと育児のことをいろいろ言われて、でも我慢するしかなかったのよ。その点あなたは子どもと自由に向き合えて、育児に専念できて結構なことじゃない。一体何が不満なの。あなただけが大変なわけじゃないのよ。もっと大変な人だっていくらでもいるんだから」つくづくごもっともです、としか言いようがないのだが…。子どもがある程度大きくなるまでは子ども中心の家になるだろうが、いざ子どもが巣立っていったら何も残っていなかったというような状態にはなりたくない。子どもの肥料としてだけ生きるのではない。子どもは子ども、私は私。日頃の鬱憤や愚痴を肯定し、そこから、子育てが一段落したら…ではなく、現状を突き抜けるたけの突破口を見つけたい。
2006/03/31
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鬼気迫る顔で床磨き
このところ、たて続けに暗い内容の日記ばかり書いていた。（読んでくださる方まで暗い気分にさせたに違いない）さっき、頭を掻き毟りたくなるような気持ちの高ぶりに任せて、リビングの床をゴシゴシ磨いてしまった。一生懸命やりすぎて、暖房もついていないのに汗をかいてしまったくらいである。しかし、こんな時間に 何をゴキブリみたいに活動しているのだろうか…（苦笑）。育児のために家庭に入った途端、自分の居場所がなくなったような気がした。アイデンティティが消滅するような恐怖感に襲われている。これまで培ってきたものは一体何だったのか、と。（そんなふうに言うほど、バリバリ仕事をしていたわけではないのだが）それは、母性があるとかないとかいう話ではない。ただ、そういった心の迷いが、育児を楽しむことの妨げになっているのは事実だと思う。正直なところ、私は育児がこれほど大変でエネルギーを要するものとは思っていなかった。日がな一日、子どもと向き合っていると、それはそれは疲れるし、自分の時間をもつことも難しい。そして、社会から一人ポツンと取り残される気がするのだ。しかし、育児とは本当にそんなものだろうか？子どもとだけ向き合っていればそれでいいということはないはずだ。社会から遠ざかりながら、子どもをきちんとしつけ、教育するなんてことができるのか。母親が社会から孤立している、そんな環境で、子どもが健全に育つだろうか。息が詰まるような暮らしに風穴を開けたい！今の状態では自分が化石のように思えてくるが、主婦は決して、家という箱に閉じ込められているわけではない。図書館や生涯学習などを通じて世界は無限に広がっているのである。主婦にできることなんてたかが知れていると卑下したり、３歳児神話がどうとか社会構造が云々と責任転嫁するのはやめよう。何もしない人間（私）に限って批判的だったりするのだ。「禍福は糾える縄の如し」という言葉がある。あらゆることには逆の要素も含まれている。雨降りの後には日が照るのだから、今はつらくてもやがて時が来れば楽しくなるはずだ。
2006/03/09
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牙を抜かれた虎
小姐につらくあたるといっても、小姐が悪いわけではない。問題は別のところにある。自分のことが嫌いだから、自分のことを肯定できないから、毎日がつらいのだ。朝、溜息とともに目覚める。また一日が始まるのか、と暗い気持ちで。そういう気持ちを抱えて生活しているので、何かにつけ小姐に当たってしまうのだと思う。夫とも話し合っているが、こうしたらよい、とすぐに解決できるものでもなく、よいと思ったことを一つずつ実行してみるくらいしか思い浮かばない。とりあえず１泊２日でどこかに行ってきたら、と夫が提案してくれたので相撲と野球を見に行く計画を立てた。ありがたい話だし、とても楽しみなのだが、単なる現実逃避で終わりはしないだろうかという不安は拭いきれない。何がそんなに私を闇の中へ葬るのか。端的に言えば、牙を抜かれてしまった思い！小姐が生まれてからというもの、私はまったく夫に依存する存在になってしまった。私は自分の食費分さえも稼げない。幼児２人抱えているんだから当然じゃないの、と胸を張ってこういう存在のしかたを肯定することもできない。いつもどこか後ろめたく、それでいて、だからどうしろっていうのよというやけっぱちな居直りで、内なるストレスはたまる一方である。要領の悪い母親が働くと、子どもと家庭にとって必ずマイナスになると聞いたことがある。もし私が今のまま働きに行けば、そうなることは目に見えていると思う。それからもう一つ、自分を犠牲にして夫や子どもに尽くす女性は美談になるが、まず自分を大切にした上で夫や子どもとの世界を大事にするという女性に対して、世間はまだまだ厳しい。男性は、学校を卒業したら働くのが当然という前提があって、ほとんどの人が職業を持つ。そしてその仕事がたまたま生きがいになるようなすばらしいものだった場合、男子一生の仕事を得ましたと自慢もできて、周りの人も拍手喝采という話になる。しかし女性、それも子持ちの主婦が同じことを言っても、そう簡単にはハッピーエンドに持ち込めない。女性は生きがいのために働くのは、周りを説得させるに足る、どれだけの器量が必要だろうか。女性だけがそんなことまで考えて働かなくてはならないなんてバカバカしい話だと思う。しかし、自分の才覚と器量を武器に、頑張って欲を通してしまう女性は素敵だ。まぁ、私にはそんなウツワは備わっていないようなので、おかあさんといっしょの歌でも覚えて、小姐を喜ばせてやりましょうか、はい。私のライフワークとは何ぞやと考えはじめたら、たとえ夜中であっても目が冴えて眠れなくなる。私はこのまま何のキャリアも持たないまま、ただの子持ちの主婦で終わってしまうのだろうか。確かに、私には特技も何もない。手に職のある人はいいなぁとつくづく思う。技術さえ身につけていれば、一旦専業主婦になって育児に専念した後でも再び職を得ることができるではないか。私みたいに事務とＣＡＤを少しばかりかじったきり、何の展望も将来の設計も持たぬままボーッと過ごした末に親になった人間は、キャリアのない子持ちの中年女性という、企業が真っ先に弾きとばす、雇いたくない人間の典型だ。若い頃から自分の将来をしっかり見定めて精進努力を続けてきた利口な人間に比べれば、これから何かを始めたとしても、たかが知れているかもしれない。しかし、平均寿命まで、あと50年くらいあるのだ。何もしないで今までの自分の愚かしさを呪っていると、それだけスタートが遅くなるだけである。さぁ、何か始めようではないか！でも、何を？いつから？その前にクリアすべき問題がある。今の私には目を離せない子どもたちがいる。子育て期間は充電期だと割り切ってみるか？子どもがある程度手を離れるまでは何にも手を染めないで、子育てに没頭しようか？いや、充電期といっても、私にとってこの状態、育児と家事だけで一日が終わるという生活が充電期だなんて到底思えない。充電どころか、放電しているような気さえする。充電というからには、育児や家事に煩わされることなく自分のやりたいことを思いきりやるとか、静かなところでじっと自分の精神を見つめるとか、一人きりになる時間を持ててこそ 何かに取り組めるのではないだろうか。どのみち子育てしながら片手間にできるようなものでもない。こんな散漫な生活の中では、かつて得た知識だってどんどん忘却の彼方へ飛び去っていくばかりである。こういう生活をしている自分が苛立たしいし、主婦は気楽でいいね～なんて言われようものなら、事実誤認だと叫びたくなる。その上、子持ちの主婦が何かを始めようとする時、往々にして周りは非協力的である。さらに、主婦にできることなんてたかが知れていると皆が思っている。何かしたいという意志をもった時が動き出す時であり、とりあえず一歩を踏み出すことをしなければ永遠にスタートの時はやってこない。結婚していようが子どもがいようが関係ない、私はやるわよ！と言い切ってしまいたいのだが、なかなかそうはいかない現実で、さらにストレスがたまってしまう。そうやって言い訳が先に立つことについても情けなく思っている。小姐と坊を育てなければならないのだから専業主婦でいるのは当然と、自分を騙し騙しなんとか言いくるめるようにするのは、これ以上は無理なのかもしれない。この居心地の悪い無職の状態にいつまでも座り続けている気にはどうしてもなれない。必ずしもお金を稼ぐことだけが自立することにつながるとは思わないが、よく、経済的に自立することよりも精神的に自立することのほうが大切だと思いますなんて言って、人に養われる自分の立場を変革しようとせずに、精神的に自立したなんて一人で勝手に納得している人がいるが、やはり経済的に自立することは基本中の基本であり、これがなければ結局は自立なんてできないのだと私は思う。私がこれから先、自立できるかどうかは定かではないが、この社会経済の中で、消費する人間としてだけではなく、何かを生産する側としてかかわっていきたいと願う。育児書等には、母親の心の持ちようについては いい加減なきれいごとしか書かれていない。母親になったのだから仕方がない、と 女性が諦めて受け入れてきた不合理な部分、いわば妊娠出産の裏の部分は、たいした問題ではないかのように扱われてきたと思う。母親というものは愛と平和の使者であり、生の源、聖なる存在であるはずだから、たとえ母親であることからくる苦しみや悩みを持ったとしても、そんなものは子どもへの愛情という自浄システムでなんとか処理してしまうはずだ、と。しかし私は、ギリギリのところまで追い詰められている。思ったことを文章にすることで、ボヤボヤしていた気持ちがはっきりしてくるが、母性神話に喧嘩を売っておきながら、やはりその呪縛に相当取り込まれている私は、理想をふりかざして自分の現実を苛めるサディスト兼マゾヒストではなかろうか。
2006/03/08
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「ママさん」という属性
つい最近、市内でママさんバレーの大会があったようで、○○クラブが優勝したという記事が地元のスポーツ新聞に載っていた。私はこの「ママさんバレー」という言葉が なんだか差別用語みたいに思えて仕方がない。僻み根性が強いためにこういう考えに達するのかもしれないが、敢えて書く。子持ちの主婦が何か始めようとする時、往々にして周りの状況は非協力的なものである。主婦にできることなんてたかが知れている、と皆が思っている。「ママさんバレー」「ママさんコーラス」など、「ママさん」という言葉をかぶせた途端、うまくできなくて当たり前、でもまぁお遊び程度にやるにはいいんじゃないの、第一線の社会生活からリタイアした女性たちがやることでしょ？などという、軽く見られているようなニュアンスをひしひしと感じてしまうのである。他にもよくありがちなのは「主婦のためのやさしい○○講座」とか、「主婦が○○に挑戦」。穿った見方かもしれないが、やはり主婦は一段低く見られているように思えてならないのだ。「主婦でもわかる」というのは、上からものを言われている。何かに挑戦しようものなら「主婦にしてはよくやった」という評価となろうか。話を戻すと、どうして「ママさん」なんて わざわざ属性にあてはめる必要があるのだろうか。男性に「パパさん」なんて間抜けな形容をつけることはないだろう。あるとすればせいぜい、子どもの運動会で競技に参加する時くらいではなかろうか。父親になったからといって、自分の趣味でやっているテニスを「パパさんテニス」なんて呼ばれることはない。もしそんな名前をつけられようものなら、まじめに取り組む気が失せるだろうな…。
2006/03/05
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籠の中の鳥
昨日の日記を読み返して、また考え込んでしまった。日本では、母親が子どもを預けて遊びに行くというのは社会的に受け入れられていないのが現状ではないだろうか。暗黙の了解がある。古風だが、要するに 子育ては母親の役目であり、子どもが生まれたら女性はできるだけ子育てに専念すべきである、と。しかも子育ては決して仕事として評価されることはない。最近になって、夫も子育てに参加するよう呼びかけられている。「育児をしない男を、父とは呼ばない」という広告もあったように記憶している。しかし実際は、仕事で忙しすぎる世の夫たちの対応は…。休日に「子どもの面倒をみるからたまには遊びに行ってきたら」と言える夫は決して多いとはいえないだろうし、ましてや子どもが乳幼児の場合、本当にそれができる夫に至っては希少価値である。夫は毎日仕事で忙しいとはいえ、帰りに一杯飲んでくることだってできるし（車通勤の我が夫はそういうわけにはいかないが）、休日にパチンコやゴルフその他で出かけたって「たまの休みだから」と許される。しかし、母親が子どもを預けて息抜きに出かけることは、世間的に許されていない。独身～ＤＩＮＫＳ時代の自由な生活とは雲泥の差である。私が年末に参加した飲み会（大学時代の仲間との集まり）は実に３年半ぶりであった。妊娠している間は まだいろいろなところに行けた。しかし、お腹から出てきた瞬間にすべて終わった、という感じである（苦笑）。これはやはり、何かおかしくないだろうか。子どもが生まれたら、何かと大変になるのは当然だし、以前よりは母親の自由がきかなくなるのは仕方がない。しかし、子どもが生まれた途端に、３年以上も飲み会に行けなくなるような、すべて終わったと感じさせてしまうような生活が待っているというのでは、あまりにも悲しい。これでは、子どもを産むことを躊躇する女性が増えるのもわかる気がする。第一、ずっとべったり子どもの面倒を見ていることだけが母親にとって必要なことではないはずだ。そんな生活をしていたら、ストレスがたまっていくのは目に見えている。そういう母親のストレスは、やがて子どもにしわ寄せとなって押し寄せるだろう。そう思いながらも、子どもが小さいのも一時のこと、今だけの我慢だとも思っているのである。
2006/02/20
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誇大妄想的ナルシズム
とある本の一節を読んで、顔を平手でひっぱたかれた気分になった。私もこの類だ…と思ったら、忸怩たるものがある。**************************************************************************たとえば、主婦が育児の後の社会参加という発想で職業を考える場合、往々にして「いいお仕事」、つまり、自分の能力や趣味などを生かせる職種、誰にでもできるような単純労働ではない、お金のためだけではなくて、生きがいを得られるような職業でなければ、という人が多い。つまらない仕事なんて自分が働く意味はない、なぜなら、自分は生活のために我慢して働く必要はないのだから。生活のほうは夫が支えるのだから、という具合だ。本人は意識していないのだろうが、ここでは、職業というものがきわめて幼児的に空想され、差別的に格付けされているばかりでなく、最愛の人であるはずの夫の労働についても、甚だ利己的にしか考えられていない。少なくとも、夫の肩に、子どもばかりか自分もおんぶされていることに対して随分と無頓着である。自分はつまらない仕事などできないが、夫は男だから、生活のためには多少つらいことも、つまらないことも耐えて当たり前、それが仕事というものだと割り切っていられるのは、一体どういうところからきているのだろう。*************************************************************************私は、育児に専念するために退職したのだが、働いている母親に対して（あるいは自分が働いていないことの理由に）「能力のある人はいいなぁ…」などと思うことがある。世の男性たちは、特別な能力なんてなくたって、男というだけで働いているのに。たとえば、彼の力では無理ではなかろうか、と周りが心もとなく思うような人に何らかの重要な役割が与えられたとする。始めこそ身丈に合わぬブカブカの上衣を着たようで傍目にも落ち着かないが、だんだんそれなりに身についてくることが多いから不思議である。ある面、能力とはそういうところがあって、期待され、必要に迫られれば否応なしに備わるのではないだろうか。能力があるように見える人も、最初からあった人ばかりではなく、大方は自分でつくり出していったものではないだろうか。それに、女性ばかりが能力、能力と殊更に気にするなんて、どう考えても不自然ではないか。あんなふうに言うと、主婦である私は、職に就くということを高い標準で考えていて、自分の力量がそれに及ばないから働くことに尻込みしているように聞こえるが、そうとばかりも言えないのである。その例が「誰にでもできるような仕事じゃ嫌だ」という言い分である。「いいお仕事」という言い方に代表されるような、始めからやりがいのある仕事、すぐさま自分の能力や趣味を生かせる仕事が、既製品のように備わっていて、自分の体をそこに運びさえすればいいなどという職場がどこにあるだろうか。やりがいというのは、持続と努力の中でだけ生まれるものである。働くことは、多かれ少なかれ自分を汚しながらしか自己を獲得できないものだろう。ところで、legamoさんも言われていたが、数年後の私にはレジ打ちかファミレスくらいしか選択の余地がないかもしれない、という焦燥感が常につきまとっている。惨めさと思い上がり。この源泉をたどっていくと、大学という場所に否応なくぶつかってしまう。４大進学率をみれば、世の中の多くの人が思っているとおり、大学出なんてナンボのものでもない。ましてや一部を除けばインテリでもエリートでもない。大学の４年間を通じて知識が大幅に増えた人が一体どれだけいるだろう。語学が驚くほど向上した人がどれだけいるだろう。おそらく１割にも満たないのではないだろうか。残る９割は受験期と比べれば語学力も計算力も悲惨なまでに低下してしまったはずである。「入りやすく出にくい大学にしよう」というスローガンのもと、大学改革が大いに叫ばれている昨今だが、少なくともこれまでの大学では、特に文系の学生はまったく勉強せずひたすら遊ぶかバイトで、あるいは特に何もしないでブラブラしながら４年間を過ごす。それどころか、受験期に必死で身につけた知識をまるで仇のようにバサバサ切りながら脱ぎ捨てていく期間を多くの大学生が過ごすのである。それなのに何故か大学を出ると、自分でも説明不可能なインテリ意識（！）を身につける。大学ではほとんど何も学ばなかったということは誰でも知っている。受験的な知識という点においては中学生にもかなわないかもしれないというきわめて情けない事実を否定する人はあまりいないはずだ。それでも大学を出さえすればある種の階層、上流とか中流とはまた別の、敢えて言うなら「４大卒階層」に所属できるという感覚を多くの人がキャンパスで覚えるのである。茫然自失状態や低空飛行が続いたりしても卒業証書をもらえるというところに日本の大学の何たるかが如実に表れているといえよう。これが大学の実態であるが、不思議なことに私はあのキャンパスでグータラしながら、一方でインテリ意識（！）だけは着実に身につけていた。大学出は特殊階層に所属していると自覚し（いや、勘違いだ）、職業イメージもそれに合った形で作り上げていく。悲しいことに、学歴を根拠にしたセルフイメージというものは、境遇が変わっても、よほど達観しない限りそう簡単に消え去るものではない。セルフイメージに合った職業についているうちは、誇大妄想が表面化することは滅多にないが、いざ学歴と職業に大きなギャップが生じたとき、にわかに自分の学歴を意識する。「職業に貴賎はない」というのは建前だと思う。これといった資格も持っていないし、アナタに一体何ができるのと尋ねられれば しどろもどろになってしまうのに、心の片隅で「私は大学まで出ているのに」と呟いている。なんて傲慢な！書いていて、我ながら情けなくなってきた…。世の中、そんなに甘くない。
2006/02/17
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主婦の想念
子どもが小さいから、今すぐ働きに出るのは私にとって非現実的であるとはいえ、もし今 自分が働けるとしたら、どんな仕事があるのかなと思って新聞の折込で入ってくる求人案内をよく眺めている。「あっ、この会社まだ出している。１回目ではいい人が見つからなかったのかな」などと想像してみるのも一つの楽しみでもある（いやらしい？）妹は、３月いっぱいで会社を辞めることになっており、転職のために職安に通ったり新聞の求人案内や転職雑誌等をチェックしている。これまで高校入試にしろ入社試験にしろ、敷かれたレールの上を歩いていただけの妹が、今回、初めて自分の意志で行動した。嫌だ嫌だと思いながら４年間勤めたが、これ以上は限界だと感じたようだ。客観的に見ると、高卒の若い女の子にくれる給料としてはそこそこ高いし、辞めてはもったいないのだが、本人がどうしても嫌だというなら仕方がない。もう大人だし、どうしようと自分の責任である。好きなようにすればよい。しかし、気になることがある。次に何をしたいという希望が特にないらしい。とにかく今の会社を辞めたいというのが第一で、後のことを具体的に考えていないのだ。そんな心構えで大丈夫なの、と つい老婆心が顔を出してしまうのだが、妹にとって満足のいく転職活動ができることを祈るのみである。この前職安に行ったらこんな会社があった、という話から、妹は「今って派遣が多いよね～」と言い、年齢の壁が気になる私の再就職については「派遣なら見つかるんじゃない？」派遣というと事務のイメージが強いのだが、私の希望は教育関係。うーん、と返答に詰まっていると、「店とかサービス業なら、少しくらい年齢オーバーでも見つかるだろうけど、今って主婦でも月の半分は土日出てくださいって言われるんだってね。そんな、旦那さんと子どもが家にいる日に働くなんて意味ないよね。お姉ちゃんの場合、自分が働かなくてもお金に困らない生活だしね。でも家にずっといるのも退屈だし働いて気分転換したいよね～」ちょっと、ちょっと、アナタ…。黙って聞いてりゃ、何なのよ。その憶測！え？気分転換のために働くですって？つい、ムキになってしまった。「そんな理由で働きたいわけじゃない。気分転換なら他にいくらでも方法がある！」22歳の独身の妹に、私の気持ちがわかるはずもないのだが…。以前は、自分でお金を稼ぎ出すということを実際にしていたが、現在はそれをせず、夫の収入で自分や子どもの生活をまかなっている。これでよいのだろうか。確かに自分はお金を得る活動こそしていないが、家の中で家事全般を受け持ち、子どもを育てている、それはそれで大変なことだし、一家を切り盛りしていく主婦として誇りに思うべきだ、そうは考えてみるものの、やはりどこか物足りないのである。教育を生かしていないという罪悪感もある。私は、いわば長い学校教育を受けて子育てに入った世代である。学歴を重視する親世代は、我が子に経済力の許す限り最高の教育を受けさせた、我が家も例外ではなく、私の将来のためにと身を削った親の姿は、子ども心にも印象的で今も私の心に焼きついている。ところが大概において、立派な教育がめざすものは限定的である。私が追い求めた学歴は、ごくごく限られた領域でしか役に立たない。出産によって、私は一夜にしてまったくの異世界に放り込まれてしまった。そこでは、教育も、論文も、さしせまった問題を解決する糸口にすらならない。家事と育児だけの自分にあきたらないと思うのは私が恵まれているからだろうか？そんな愚痴をこぼす暇があったら もっと本気で家事と育児に取り組め！って言われるかな…。考えはじめると止まらなくなってしまうのは私の悪い癖なのだが、世の中、大多数の夫は職業を持ち、その経済力によって妻子の生活を支えている。専業主婦の私は、夫の労働に幾重にも依拠しながら生きている。五体満足な大人でありながら、妻であるというだけで、働かないことを当然とされている。自分は働かず、他に依ることを生きる基本においている生活とは何なのか。働かないことを生活の基底におく生き方とは人間にとって何なのか。妻であることを自らの生活手段にしている、と言えば専業主婦とて何もしていないわけではない、家事と育児に励み、夫が安心して働けるよう家を守るという仕事をしているのだから、これも立派な職業の一つに匹敵するという反論がある。主婦労働の経済価値を認めよという議論まである。夫の収入は妻の内助があってこそなのだから、給料の半分は妻のものだという主張もある。しかし、いずれの場合も、現在 夫が働いており、具体的に収入があって、それによって生活が支えられているという大前提の上で、はじめて成り立つ言い分ばかりである。たとえば夫が亡くなったり、失業したとすれば、もはやこれらの理屈は成り立たない。その意味で、妻であることを職業にたとえるのは、現実には無理だと思う。主婦業は大変だと声高らかに語れば語るほど、孤立感と孤独感が顔を出すのである。今の自分の存在証明を自らの手で語らねばならない。それは、他人に向かっての説得であると同時に、我が身への説得であるに違いない。自分を肯定されたい、なんとしてでも言い繕って辻褄を合わせたい気持ちは誰にでもあるものだが、内なる声を封じるかのように「これでいい、これでいい」と塗りつぶして見ないことにしてしまうか、あるいは、しっかり見据えようとするかが、私にとって大きな分かれ道になるのだと思う。私ひとりの生命を悔いなく生きるとはどういうことかと考えたとき、家庭を守り、我が子を育てあげることとは別の生きがいがほしいのである。勿論、子どもを授かったことは幸せであり、子どもをもたなければわからなかったことはたくさんある。母となったことで初めて与えられた視点に感謝しながら、再び職に就く日を夢見て私自身を問い続けよう。
2006/02/15
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均衡を保つ三要素
良妻賢母、これは女性に対する理想像として、戦前まで子女の教育に使われた言葉である。夫に尽くす貞淑な妻、子どものしつけや家事を一切任された賢い母。この言葉を額面どおりに受け取れば、それは「いい奥さん」に違いない。そしてこの言葉の陰に隠れていれば夫も満足するし、社会からも批判されない（もっとも、昨今は専業主婦をバッシングする風潮もあるのだが）。良妻賢母像は女性にとって理想像であるばかりでなく、この世の隠れ蓑でもあった。無風の安全地帯、核シェルターである。しかし そこに身を置く、いわば無難な中での幸せは、私が本当に求めているものとは違うようだ。「あの人はいい奥さん」これは甘美な称号である。私もそう呼ばれたい。でも他人からそう呼ばれることが、本当の幸せと結びつくだろうか。そもそも良妻賢母とは、主婦のあるべき姿として掲げられた言葉であるが、ものの言える現在から見れば、これは主婦側の立場についてはまったく考慮されていない。つまり、主婦にとっては自分の世界がゼロではないか。よく「妻であり、母である前に、一人の女性として、一人の人間として」という台詞があるが、私は「である前に」ではなく、同列に、母であり、妻であり、自分であるという三要素を置きたい。三つの要素を合わせたものが、私の１００％である。この三者が適切なバランスを保っている時こそ、私自身が幸せで平和であると思う。妻の部分５０ ＋ 母の部分５０ ＋ 自分の世界０ ＝ １００※ 妻と母という役割だけで１００％、その比率はどうあれ、自分の世界は０である。妻の部分２０ ＋ 母の部分８０ ＋自分の世界０ ＝ １００※ 小さな子どもを抱えている今、妻より母の部分が大きくなっている。妻の部分Ｘ ＋ 母の部分Ｙ ＋ 自分の世界Ｚ ＝ １００※ Ｚの項は自分で描く未来の夢であるが、この部分が膨らんでいったとしても 決して Ｚ＝１００ とはしたくない。 それぞれの状況に合わせて三者の均衡をはかっていきたいと思う。十年後の自分はどうありたいのか。あらかじめ自分の前に道があるわけではない。歩いて初めて、自分の歩いた分だけ、後ろに道ができるのである。主婦だから、子どもがいるから、ブランクがあるから、したいことは「夢」だけで終わってしまうのだと諦めてしまってはいけない。これからやろうとすること、まだやってもいないことを無理だと決めつけて、頑に閉じ込めるべきではない。もし何かをやってみてできなかったとしても、できなかったんだと自覚すればよいだけのことだ。何かをやって、現実にはできなかったことと、何もしないで、できないと決めつけたことと、結果的には確かに同じである。同じ結果なら、何もせず、燃えることも傷つくこともなく生きていたいという選択があってもよい。しかし、十年という年月は決して短くはない。それだけの時間で人はどれだけ成長できるかという見本が、目の前にいる子どもたちである。子どもは、十年という時間で、私より速く走り、高く跳ぶ。たとえば、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ＥＵといった新しい世界の歴史を知るだろう（これはトリノオリンピックの開会式を見ていて ふと思った）。これからの十年、世界もまた変わり、子どもたちはさらに大きく高く成長するだろう。同じ時間を過ごしながら、自分は一体何をしてきたのかと呆然としないよう、十年後に向けての階段を少しずつでも上りたいものである。
2006/02/12
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ライフアップセミナー（１回目）
市が開設する「生涯学習市民大学」では、幅広い分野から数多くの講座が企画されている。学習ジャンルは地域学、生活社会学、教養創造学、健康学の４つに分かれていて、月２回の広報に開講案内が掲載されるので、どんな講座があるのか毎回楽しみにしている。昨年秋に受講した「図書館ボランティア育成講座」も、ここで見つけた。主に女性を対象とした講座のうち、いくつかは託児付きである。私の場合、受講するには託児つきであることが絶対条件となるため興味をもった講座にすべてチャレンジできるわけではないが、無料か、または格安料金で受講できて、新たな何かを吸収する機会をいただけるのは非常にありがたいことである。今回、私が申し込んだのは「ライフアップセミナー 自分らしくイキイキと」。「元気に生きるための人権講座」というサブタイトルがついている。最近は物騒な事件が多く、いつどのような目に遭うかわからない。犯罪は勿論、日常生活の場で ふと受けてしまうかもしれない身近な人権侵害について、対応する力を養うことが狙いである。第１回目の今日の題目は「声をあげる女性たち」。講話を元に、以下 自分なりにまとめてみようと思う。職場で、学校で、家庭で、地域で、女性が置かれている現状は弱い。セクハラは後を絶たないし、男女平等とは言いながら まだまだ男性中心の社会である。そんな中で、女性が声をあげることができないのは、女らしさというジェンダー に縛られているせいである。（１）育ちの中での刷り込みたとえば「女の子は、いい子にして皆と仲良く」。国民の意識調査によれば、女の子に望むことの筆頭は「皆と仲良くすること」だそうだ。ちなみに男の子に望むことは「社会に貢献すること」「個性や才能を発揮すること」。その次、第三番目として「皆と仲良くすること」が出てくるのだそうだ。そして「女の子は控え目に」。「夫をたてなさい」とか、「家庭や職場での潤滑油となりなさい」とか。上述の「皆と仲良く」にも通じるものがある。出る杭は打たれるではないけれど、第一線に出るより、第一線の人（いわば男性）が力を発揮できるように支えろと？内助の功という言葉が端的に表しているように思う。それから「荒っぽい言葉は使っちゃダメ」。この点では、私はかなり下品（！）な部類に入るのだが…。（２）言葉の問題現代の日本語では、女性は声をあげにくいといえる。たとえば、満員電車で痴漢にあった場合を考えてみよう。耐えかねて「バカヤロー！」と叫んだとする。他の乗客は、怪訝な顔をするのではないか。これが男性の叫びだったとすれば、あの人よほど虫の居所が悪いのね、くらいで済むのだ。男性が「バカヤロー！」と言っても、何の違和感もないのだ。それでは、女性は何と言えばよいのか。「何するんですか、やめてください」？まったく冗談じゃない！どうして痴漢に対して疑問形や依頼形で話さなければならないのか。何年か前、豊川悦司が出ていたＫＤＤＩのＣＭがあったが、そこでは男女の言葉の非対称を如実に物語っていた。恋人（？）がバイオリンの修行のため海外に旅立つことになったようで、トヨエツが空港まで彼女を送るのだが、その車の中で彼女が「寂しくて何度も電話しちゃうかも」というようなことを言う。トヨエツは「かけろよ」。彼女は「かけてね」。男性は命令形、女性は依頼形で話しているのである。なんだかんだいって、男尊女卑というか 男性のほうが上にいる風潮はいまだ根強い。そういえば私は若い頃、「女にしておくのはもったいない」だとか、「男に生まれたらよかったのに」などと何度も言われて、一体どういうことかと疑問に思ったものだが、それらは差別用語ではないか。明治44年に平塚らいてうが「青鞜」という婦人雑誌を創刊した際、「元始女性は太陽であった」という言葉を残している。「今、女性は月である、他に依って生き、他の光によって輝く、病人のやうな蒼白い顔の月である」と続く。月というのは いわば死んだ石、太陽の光を反射して輝いているだけである。そんなバカなことがあってたまるか、女性は太陽であり、自ら輝ける人間であるという意識のもとに「青鞜」が産声をあげた。女性にはまだ選挙権すらなかった時代のことである。現代女性も、抑圧状況にいつも打ちひしがれていてはいけない、一本筋の通った女性でありたい、と思わずにはいられない。人権とは与えられるものではなく、自らが尊厳を捨てないことである。すべての女性が（いや、すべての人間が）本来持つ力を存分に発揮できる社会を皆の手でつくっていくこと、そうしようとする意識が大切だと思う。
2006/02/09
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