怒涛の春学期が終わっても休む間もなく2週間後にサマーセッションに突入した。息をつく間もなくとにかく走り続けた2024年だったと思う。サマーセッションは夏の短い間に単位を取得することができるが、その期間の短さがゆえに一回一回の課題の量が非常に多い。私はTask-Based Language TeachingとTESOL Practice Teachingの2つを受講したのだが、TESOL Practiceは10週、TBLTに関してはたった5週間しか授業がなかった。通常学期は15週であることを踏まえるといかにサマーセッションがインテンシブであるかお分かりだろう。
Willisのタスクサイクルやタスクの概念について学んだ。What is a task?という問いに対して全員で意見を出し合った。様々なタスクの切り口があって面白かった。タスクはTBLTの根底にある概念だが、なかなか定義することが難しい。のちにわかるのだが、学習者のニーズや言語能力に応じてタスクの難しさを逐一調整する必要があることがわかった。つまり、無味乾燥のタスクはTBLTには存在しないらしい。
うまく落とし込めれば外国語教育に変革をもたらすゲームチェンジャーであることは間違いないのだが、やはり学習指導要領との相性が悪すぎるように思えた。TBLTは学習者が主体となってタスクを遂行する中でターゲット言語にアプローチをしていく。気付きがあって初めて教師が介入できるのだ(批判を恐れずにざっくり申し上げると、生徒のエラーや気づきをベースに教師がその言語項目に学者の注目を持っていくことをfocus on formと呼ぶ。)。果たしてそのような気づきを教師を指導の前から予見することができるのだろうか。そして、日本のEFL環境では常に30名から40名ほどの学者が一堂に会して学習をしている。各々異なる認知能力を有している学習者が皆同じような気づきをするとは限らない。TBLTを日本の環境で実施するにはあまりにも前提や条件が異なりすぎるような気もする。最近ではTBLTに対して批判的な論文も増えてきている。この辺りを今後さらに調べてみたいと思った。
各々がデザインしたTBLTのカリキュラムを発表した。私はEFL環境、学習指導要領の制約を意識しながらレッスンプランを作成してみた。どちらかというとTBLTというよりTask Supported Language Teaching(TSLT)に近くなってしまったような気もするが、日本のような環境ではむしろこちらの方が適しているのかもしれない。