キミとアタシのすべて。
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向かい合いの席が苦手な岩崎くんなのでカウンターで隣り合って座ることが多いけれど、最近の居酒屋は、親切に2名様用個室がたくさんあるので、あたしは、まじまじと岩崎くんの顔を見つめていた。まじまじと見つめると、彼は照れたような恥ずかしそうな、ちょっとそんな表情をする。それがなにを意味するのか、人の顔色を伺うのは得意だけれども大好きな人の気持ちというのは、なかなか冷静に読み切れない。それに岩崎くんは、ウソも上手だから。冷房が効きすぎていたため、早めに店を出て駅前のスーパーでピールと缶チューハイを買って、続きはうちで飲んだ。引越し疲れでいつもより早く眠くなってきたあたしに、「まだねるなよぉ・・・!」と元気な岩崎くんは言った。「・・・いっつもトットと先に寝ちゃうくせにぃ。」あたしはフトンに横になりながら言った。部屋の中を物色されて見せたくないもの見つけられたらヤダなと思ってウトウト眠気に抵抗していたら、そんな気持ちを察してか否か、「オレ、テレビ見ながらもうちょっと飲んでるからひろちゃん、無理しないでもう寝なぁ。」と言った。彼の後ろ姿越しに、F1インディアナポリスの映像が流れていた。車のスピード感が、細かな心配をどこかに飛ばしてしまいあたしは眠りに落ちていった。
2007.02.07
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