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へろへろパンダ

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アモンドノエル @ Re:ちょっぱなぱんつ(06/16) ヤニに気をつけようぜ。歯肉が黒くなった…
2007年11月11日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 船が波を掻き分けるたび、視界が上下する。晴れた空、たなびく雲の下、男は舳先に立って、目を閉じ、軽く吐き気を催すこの揺れに身を任せていた。男の閉じた瞼に映るのは過去と、これから彼が人生の末端を過ごすこととなる孤島だけであった。そのどちらもが老いた彼の陶酔を引き起こし、達成感を感じさせた。軽い吐き気を添えて。

 過去!孤島!あぁ、なんと愛しく、美しいことか!
 男は晴れ渡る空に、真白な雲に、燦々と照る太陽に、そして駆け抜けた大地に、聳え立つ懐かしの山々に向かって腕を広げた。
 ―――やはり、私の辞書に不可能はなかった。
 腹のそこから立ち上る歓喜を噛みしめ、拳を作ってそれを表現した。
 男は幸せであった。


「Respect to Bonaparte」


 男は下級貴族の出であった。貧乏であり、士官学校では誰しもが彼を馬鹿にし、友達は出来なかった。「カクメイ」という言葉が彼の周りでは声高に叫ばれ、その言葉を聴くと誰しもがうっとりするような時代であったが、彼はまったく「カクメイ」とやらに興味がなかった。

 士官学校を卒業し、初陣を華々しく飾り、部下が出来、尊敬を勝ち得るようになり、対等に話の出来る男たちが彼の周りを取り囲み始めた。彼は望むものを手に入れたわけだが、心は安らかではなかった。「ニンゲンカンケイ」というものがうまく出来なかったのではない。仲間がほしかったわけではなく、彼は彼の望むように物事が進まないのを好ましく思わなかっただけであった。それは「ニンゲンカンケイ」にも同じことが言えた。彼は彼自身の思うとおりに声をかけてほしかった。思うとおりに現れ、また消えてほしかった。
 彼は支配することを欲していたのだ。
 いつしか彼は世界の中心というものを望み始めた。誰もが彼にかしづき、気安く話しかける。そんな場所がほしかった。
 その後、彼は政府に登用された。数々の戦いを勝ち抜いた。彼は戦争のやり方以前に、兵隊達の扱いがうまかった。過去の貧しい体験が兵隊達がなにを望むのか理解するのに役立った。連戦連勝だった。勝てば勝つほど持てはやされ、彼は歓喜と共に迎えられた。
 彼の望む世界が成立しつつあったのだ。
 また更なる戦いを勝ち抜き、いくつかの幸運と謀略をへて彼は皇帝へと成り上がった。誰もが彼にかしづいた。しかし彼は満足ではなかった。自分に歯向かう勢力がある限り、彼は戦いをやめなかった。
 しかし、彼の世界は長く持ちはしなかった。
 勝利を確信して乗り込んだ極寒の地で、彼は敗北を喫した。初めての敗北ではなかったが、彼は確かに聞いた。彼の世界のひび割れの音を。
 そこから先はとんとん拍子で進んだ。あちこちで戦争がうまく立ち行かなくなった。彼は怒鳴りちらした。歯軋りし、暴れ倒し、泣き散らした。
 それでもガラガラと彼の世界は崩れていった。
 帝位を降り、彼は一度孤島へと流された。失意のどん底であった。彼を救出に兵隊達が来た時、彼は泣いて喜んだ。酒をあおり、歌を歌い、勝利を確約した。負けるわけはなかった。負けるわけにはいかなかった。

 しかし、いざ戦場に立ったとき、彼は違和感を感じた。戦場には黒い塊が渦巻いていた。彼は「それ」を初め認識し損ねた。初めての体験であったからだ。突撃の命令を出し、大砲に砲撃の合図を送り、戦争が始まったとき、彼は「それ」を認識した。
 「それ」は何十万の人間が織り成す憎悪だった。祖国を踏みにじる怨敵への憎悪だった。彼は、敵の兵隊達も何らかの方法で守るべきものを見つけていたことに思い至った。
 圧敗だった。
 敗走の途中、彼は敵の兵隊達がなぜ守るべきものを手に入れたのかを考えていた。彼にはわからなかった。カクメイも起こさずにそんな祖国が手に入るとは考えがたかった。ただ絶望のみが彼を支配していた。孤島には帰りたくなかった。
 しかし、彼は小憎たらしい小僧の手下に、船に乱暴に押し込まれる際、彼は気づいた。手下は彼に向かって唾を吐き、豚野郎とののしった。彼はすべて理解した。誰も彼もが彼を憎んでいたのだ。彼に祖国を踏みにじられ、彼に略奪され、彼に家族を豚のように殺されたとき、兵隊達は守るべきものが認識出来たのだ。彼への憎悪と共に。

 彼は舳先に立った。遠ざかる愛しの大地と、越えて行けば孤島が見えてくるはずの水平線の先を交互に見た。
 彼の心には歓喜が渦巻いていた。これから遠ざかる大地は血にまみれていくであろうという予感に、彼の撒いた火種によって、戦いの炎が、かの大地を席巻するであろう予感に酔いしれていた。

 いまこそ男は世界の中心を手に入れたのであった。世界は男が作り上げた祖国という概念を基礎に更なる発展と戦火を作り上げる。憎しみが守るべきものを作り上げ、守るべきものが憎悪を作り出す。憎悪は火種となって世界に飛び散るのだ。
 男はまさに世界の担い手になったのであった。過去はその栄光ある軌跡であり、孤島は玉座であった。目を閉じて過去の回想と、未来、つまり孤島に思いをめぐらした。
 孤島で男は朽ちる。それはさながら自らの強大な重力に押しつぶされていく星のようだった。

 男は幸せであった。



















――――――――――――――――――――――
久しぶりの小説
すこし文が死んでる気がする
やっぱ昨日かいときゃよかった
感想御待ちしてマス
自分ではよく出来たほうだと思いますが、いかんせん言い回しと語彙の不足に悩まされました

そいでは、





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Last updated  2007年11月12日 22時55分15秒
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