北京で「黄沙(黄砂)」大量発生が叫ばれていたので、2日~5日で日本まで到達かと思っていたらやはり3月21日朝から薄黄色のどんよりした「黄砂」に遭遇した。黄砂に覆われた車がそのまま走っているのを見て、『ボーダレス』について考えてしまった。ボーダレス化と言われて誰しも思い浮かべるのは、金融危機など経済が国境を越えて影響しあうことだろう。でもよく考えてみると国なんていうのは、後から出てきた話。もともと人が移動し定住してから国ができて併合・分離独立などが行われただけの話。’’国境を越えて’’などは、気候の異なる地域がいろいろあって住みやすさで移住したり交易したりで、昔から地域を越えて影響し合ってきた歴史がある。そこで『ボーダレス』的な身近な自然現象と言えば、日本ではピンとこないが、大きな長い川の川上の地域(国)と河口の地域(国)のせめぎあい、チリ大地震のような対岸地域へ津波が時速約100キロメートルくらいで到達するその連絡広報網整備、台風やサイクロン、ハリケーンの発生地と勢力拡大しながら通過する地域、それにこの黄砂のような上空移動などとなる。人為的には、原水爆の実験や原発の事故などがあれば近隣の地域へ’’黒い雨’’や放射線被曝の影響が出てくる。また汚染物質を発生させ大気に拡散させたり、医療廃棄物・ゴミなどを海上投棄すれば海流に乗って対岸などに到着し大変な迷惑を被る。先進地域と途上地域がCO2削減の話し合いで妥協点を見つけたり、新型インフルエンザなどの流行阻止、クロマグロの資源保護と食文化・漁業の経済保証のせめぎあいなども、これに類する話だ。ちょっと飛躍するがソマリア沖の海賊や、数年前のマラッカ海峡「韋駄天」号襲撃の海賊も無国籍の乱暴者という意味では人為的な類する話だ。これらは「ボーダレス」を感じさせる出来事だ。そこで黄砂(黄沙、Dust and sandstorm(DSS))について’’自然現象だからなるようにしかならないんじゃないの’’と片付けるにはちょっと寂しいので、発生元と拡散移動先でどのような動きがあるのかを、国立環境研究所の資料などを引用し推測してみた。一つのコメントとして知っておいて貰った方が、将来対処を考えるのにいいのではないかということで述べてみます。黄砂発生地にタクラマカン砂漠や黄土高原の他にゴビ砂漠が上げられる。ゴビ砂漠は、大きくはモンゴル人民共和国と中国の内蒙古自治区に分けられる。2地域は、放牧用草原が残っていて砂漠化が比較的進んでいない草原の国モンゴルと、放牧地が一部開墾され砂塵が生じやすい地域もあり自然に砂漠化が進んでいると言われる内蒙古に分けられる。日本を中心にゴビ砂漠などへの様々な緑化支援事業が行われており、中国も自ら砂塵が発生しにくくなる緑化や土質劣化改善、防風林作りなどに立ち上がっている。上海市長出身の名宰相と言われた朱鎔基元首相が、在任中北京が大規模な黄砂被害に会い「遷都も考えざるを得ない」と嘆いた逸話があります。その後中国三千年の歴史でしょうか、緑化は200年位経たないと効果がわからないと言われていますが、日本などの支援を生かし着々と推進しているようです。拡散移動先はどうかというと、上空2~7kmの偏西風に乗って日本はもちろん、ジェット気流で北米まで到達することもあるようです。サイズは数~数十ミクロンですが、平均直径約4ミクロン程度の長石や石英に加え、粘土性の雲母やカオリナイト、緑泥石などに、うまくないのは輸送途中で人為起源の大気汚染物質を取り込んでいる可能性があることです。アンモニウムイオンや硫酸イオン、硝酸イオンなどが検出されることから途中もウォッチしておく必要があります。日本では、1952年発生したロンドンスモッグ以降制定された大気汚染防止法などを導入し、四日市ぜんそくなどを克服すべく大気汚染の改善に成功、公害防止関連の技術では世界の最先端を走っていると言われています。また黄砂飛来情報をレーザー光線を使ったライダーなどの新鋭測定器で観測し、素早くWebに乗せて速報しています。大気汚染物質の取り込み程度などの測定も精度を上げつつあるようです。肝心の関係国での黄砂対策会議も2007年に日中韓三カ国黄砂局長会議が開かれ、連携が獲れつつあるようです。やはり『ボーダレス』な事柄ですが、「黄砂」に関心を持ち続けることが肝要かと思います。