雨の日は音楽を

雨の日は音楽を

2020年07月29日
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カテゴリ: 歌曲
東日本大震災の数日後に、震災以前から航空機もアパートの予約が終わっていたので、花の都パリじゃなくて音楽の都ウィーンに家内を連れてまいりました。音楽の都ウィーンを見て、ベートーヴェンやシューベルトの墓参りもしてみたかったのでね。震災直後の大混乱の時に、大きなスーツケース2個の夫婦が移動するのは正気の沙汰ではないと考えて、前日に成田のホテルまでタクシーを手配したのですが、それを知ったお隣のドイツ人家庭では、ドイツに居る親族から「危ないから娘だけでもドイツに避難させなさい」とのことで、偶然私達と搭乗日が同じなので、娘をお願いというので、タクシーがあと1時間で迎えに来るというので、大慌てでお嬢さんの荷物と搭乗券を準備して、私達とタクシーで混乱の東京を後にして成田空港そばのホテルに。お嬢さんと夕食を一緒にとって、翌日空港へ。

 お嬢さんの予約した便は定刻に出発したようですが、オーストリア航空のウィーン直行便は、搭乗しているクルーが、放射能汚染された!日本への勤務を拒否したとかで、韓国のインチョン空港で、オーストリア航空社員の志願者のクルー(もう子供作っちゃったから平気な年代の人達ばかり)と交代してから成田に来るので、朝の10時台のフライトが夜の8時に変更してしまった。でも一人に付き2000円分の空港内で使える金券をくれたので、食事2回分は無料となりました。でもその間の10時間あまりをまつことになるので、三井住友VISAゴールドカードのラウンジがあるのを思い出して、早速駆けつけたらまだガラガラ。しめたとばかりに、入場して席と充電用コンセントを確保して、飲み物をいただきました。時々余震がくるけれど、空港は丈夫な構造らしく、それほどの震れは来ません。外では行き場のない人々が、難民のように廊下で寝転がっていました。ゴールドカードなんて!と文句を言っていた家内は、それを見て、うん、この場合はゴールドカードで良かったわね、とほざいておりました。VISAゴールドカードも他の銀行発行のカードではラウンジにはいれないので、入り口でちょくちょく揉めていたのが可愛そうでした。

 やっと搭乗することになったものの、オーストリア航空の説明では、オーストリア政府の厳命で、登場する客は、放射能検査を受けてから搭乗することとのアナウンスがあり、周囲の客がザワザワと騒ぎ出したから、大きな声で、大丈夫ですよ、ガイガーカウンターがビービーと反応するくらいなら、放射線被曝の症状が出ているはずだから、機械が反応するわけないからね、と安心させて上げました。いざ登場となったら、通路のあたりで数人の係員が極度に緊張した様子で、乗客一人ずつに測定器を向けて足の裏まで検査していました。とても怖がっている様子なので、私の番になったから、大きい声で「ビー!」って言ってあげようと思いましたが、余り怖がっているので気の毒だから止めておきました。チェルノブイリのときにも、ドイツなどでは、アホな人々がヨードチンキ飲んでしまったり(被爆前に体内に沃素を入れると良いらしいが、被爆後は無意味かも)するくらい、放射能を怖がっていたから、余程ショックだったんでしょうかね。

 飛行機が離陸すると、最初に韓国のインチョン空港で、ボランティアクルーと正規のクルーが入れ替わり、いざウィーンへ。変な時間に離陸したから、真夜中過ぎにウィーンに到着。眠そうな入国審査官が面倒くさそうにスタンプを押して入国。と思ったら乗客とオーストリア航空の係員が言い合いに。遅れてタクシーに乗る以外にウィーンに行く方法が無いから、タクシー代はどうするんだと詰め寄った人がいて、係の人は、タクシー代は後で請求すれば会社が持ってくれるというので、すぐさまタクシー乗り場に急行。他の乗客が押し寄せる前に二人はタクシーに乗れました。住所のHelbling Gasse 7 が通じなくて、探し回って、アパートに到着したら、午前3時過ぎなのに、管理人が待っていてくれて入れてもらえました。もちろんタクシーの領収書は頂いてあります。

 ゆっくり休んで午後に周囲を散歩しました。狭い歩道に、工事の機械が置いてあって、人が一人しか通れない箇所で、反対側から来た人に、どうぞとジェスチャーしたら、驚愕した表情と仕草でしたので、家内に、やっぱりね、ウィーンの人はマナーがなっていないと聞いたことがあるけれどその通りだねと言い大笑い。確かに朝の通勤時間帯では、大声で言い争う人々までいて、時には電車の中が騒音だらけ。でもたいていオバさんのほうが強いのは更に笑ったことは楽しい思い出です。電車の中で私の隣が空いているので、立っているオバさんに「どうぞ」のジェスチャーをしたら、また驚愕の表情。たまたま英語の先生らしく、話がはずみましたが、やはりこの町ではあんなふうに席を空けてくれることは無く、二人がけの席の中央に平気で座るらしいとのことでした。

 一番おもしろかったのは、テレビでした。各国の特派員のニュース映像が面白くてたまりません。福島から伝えているようなことを言っているが、背後には通天閣!!が写っているし、ウィーンで出会った音楽家は皆、日本に帰らないほうが良い、帰ると放射能で死んじゃうと引き止めてくださいました。何でそんなことを言うのかわからなかったのですが、翌年ウィーンを再訪した時にそのような発言の真意を尋ねて見ました。何と!学校では日本は小さい島国もしかしたら四国くらい?なので、一箇所で原発事故があると日本国民全員が被爆するのだと考えていたことがわかって、私のほうが驚愕!なんでそんなイメージがと思っていたら、発見しました。一日に数十回流れる、ウィーンの交通局?のコマーシャルが原因だったと思います。ウィーンの電車・地下鉄・路面電車の総計は9000キロにも及ぶというコマーシャルで、テレビに一杯のサイズでオーストリアの真紅の地図が映し出され、そこから画面の外に矢印が9000キロ伸びていって、地図が西に動いて、矢印が画面一杯に描かれた日本地図に行き渡るのです。つまりウィーンの人々は毎日、オーストリアと日本が画面一杯に映るコマーシャルを見ているようです。ですから、日本が小さい国だという小学校での知識が更に強められているのではないでしょうか?いや日本はもっともっと大きな国で、スカンジナビア半島に北海道を置くと南の端はエジプトの直前まである、世界で56番目の面積のある国であること、オーストリアはこの日本地図の四国と呼ばれる島とだいたい同じ面積なのだと教えると、またまた驚愕。どうも驚愕するのが好きな人なのでしょうかね?

 日本国内でも、こんな狭い国などとほざく輩がいるようですが、気概として「狭い日本にゃ住み飽きたぁ」と世界を見ようという言葉を鵜呑みにしているだけですよね。広い国だと思うけれど、国土面積では世界の上から4分の1くらいの大きさだし、広い領海(EEZも含んで)を足すと、世界第6位の面積なのでね。日本人が変に謙遜して、日本は小さい国だなんぞと言うせいかも。

 スロバキアまで足を伸ばしてみました。朝食も取らずに電車でスロバキアに。ブラチスラバに到着して駅構内のスタンドで朝食を買おうとしたら、出ている値段表示がおかしい。ウィーンの半分以下の値段なので、錯覚してスロバキアはスロバキアンコペイカだったねと思って、両替所に行って、ユーロ札を出して、この国の紙幣が欲しいと申し出たら、狐につままれたような顔で、「すみませんがユーロをユーロに両替なんてやっていないのですがぁ」と言われてしまいました。え?じゃぁユーロでの値段なのかと再度朝食売りのスタンドへ。や、安い!ウィーンだったら7~8ユーロの朝食が4ユーロ!すっごく得した気分でした。でも無知な私。

 ブラチスラバの日本大使館前には、震災の死者を悼んで、スロバキアの人が捧げてくれた折り紙が一杯あって、ちょっと涙ぐむ私達。一日観光して帰りました。でもガーゴイルがついた建築物がたくさんあって、ヨーロッパの香りを満喫できました。



 外食はほとんどしませんでしたが、家内が社交ダンスを趣味としているので、現地の方に頼んでダンス教室を紹介していただき、私は通訳としてついていって、家内に1レッスンだけダンスをさせました。終わり近くになって、ダンスの先生に、もう再度来ることは無いかも知れないから、思い出づくりに、本物の(老人向けのヨタヨタダンスではない)ウィンナワルツを一緒に踊ってやって欲しいとお願いしたら、ものすごく早い本物の?曲を流して、レッスン場を3回以上跳ねる走る、すごかった。大柄な先生にぶら下がった家内は宙吊り状態でクルンクルン。とても楽しかったそうです。ハァハァハァハァでしたけど。

 音楽のことで可笑しかったのは、シュテファン寺院前が観光客が必ずと行っていいほど訪れる場所ですが、そこで呼び込みが「日本人だけに」英語で、今晩モーツァルトのレクイエムの演奏会がありますよ、と呼びかけることでした。日本人ならモツレクだと固く信じているようで考えさせられます。訪日外国人音楽家は、日本での演目のアドバイスを受けると、必ずベートーヴェンの交響曲ならこれとこれ、ピアノならこれとこれなどと、日本人が分かる曲の情報が与えられるそうで、皆が同じような曲を演目にするのが哀しい。新しくバロック以前の作曲家の曲なんて持っていくと、プロモーターがダメ出しをするとも聞いたことがあります。合唱曲はモツレク、マタイ受難、ヨハネ受難曲位で間違いなし、ベートーヴェンは5番の運命家6番の田園で間違いなしとのことです。クラシックファンなんぞと言っても、日本のはたかが知れていますね。

 後年、ウィーンに一人で滞在中に、現地の知人から、日本の合唱団がウィーン音楽家協会(ムジーク・フェライン)で無料のコンサートするそうだから行きましょうと誘われました。行ってみたら無料だから400人はいるベートーヴェンザール(ホール)は満杯。みなちゃんとジャケットとタイ着用で、礼儀正しい雰囲気でした。でも演目がモーツァルトのレクイエム、誘ってくださったかたから、「なぜ航空運賃を払って、お葬式の歌を歌うの?」と言われて、クツクツ笑いました。出てきたのは一人を除いて高齢者19人の合唱団!それもピアノ伴奏でのレクイエム K626たった一人で頑張っているのが、合唱団の指導をなさっている音楽家のようで、他の18人はモニャモニャ歌うだけのレクイエムでした。最後まで聞きましたが、皆様礼儀正しく大拍手。ちっとも感動しませんでした。せっかくだから日本語の曲を歌ってくれればよかったのにね。その日の次の演目は日本の高校生の混成オーケストラで100人くらいが山台にびっしりと出演して、オーケストラの曲じゃないものをたくさんオケ演奏。最初の演目は1分位何の曲かわかりませんでしたが、オケ版の「トッカータとフーガ」でした。お客は大喜びで高校生の名演?に聞き入りました。このくらいのインパクトがなければね。

 そんなこんなで、ウィーンからの帰途につきましたが、日本に着いてからが大変。電車がまともに動かないし、エスカレーターが止まっているので、スーツケースを持ってヒィヒィ言いながら帰りました。その頃には殆ど余震がなく、友人に余震はひどかったかと尋ねたら、あんな時に国外脱出したとは非国民だぁと言われてしまいました。あはは。非国民なんて言葉を言われたの初めてで新鮮で大笑い。





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Last updated  2020年07月29日 20時50分18秒
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