全体は p で始まり、最後の伴奏が pp で終わる、落ち着いたテンポ "Etwas langsam" 「わずかにゆったり」の曲である。最初の伴奏の4小節で、全体のメロディーを提示し、四分休符の静けさの後で、歌が始まる。伴奏の左手の和音は、トボトボとあるく若者の歩みであろうか。
しかし数箇所で感情が激発する。最初に心が揺れるのは、第2連の歌い出し "Doch bald ..." であろう。伴奏の和音が小節の頭ではなく、四分休符を挟んで、8分音符でアルペジオ!心が揺れる。ああやはり髪の毛は黒いままなのだ。現実に引き戻された若者は21小節目で、激しく "Jugend" までクレシェンドして、伴奏のスフォルツァンドと響き合う。続く「棺桶に....」は、抑えめでなければ、感情移入過多に聞こえてしまいそうである。抑制して力なく歌うべきであろう。第2連は、29小節目の2分音符でおわる。その後の四分休符は、第3連に続く大切な転換点であるから、大切に休符として意識すべきである。
第3連は30小節目のアウフタクトから、冒頭のメロディーを半ばなぞりながら入る。歌詞は「夕焼け時から朝焼け時までの一晩で白髪になる人も」と、大変カラフルな詩行で始まる。紅の空と白い髪の対比だから、印象深い部分である。でも強調しているわけではないから p で歌う。歌いながら、そうだもう何日も旅を続けているのに若者は髪が黒いままという、失恋の苦しみがまだこの先も続くことに思い当たり、40小節目で、少し憤りと苛立ちを感じて、"auf dieser ganzen Reise!" 「この旅全部歩いてきても!」と f で盛り上げ、最後は "Reise" の途中でデクレシェンドして、哀しく終わる。