マックの文弊録

マックの文弊録

2005.04.27
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◇旧三月十九日 辛巳(かのと み) 長崎港祭り

胡瓜と同じくらい嫌いなのは、「言葉に鈍感な人間」である。

前にも書いたが、僕はほぼ二週間おきに「二十四気便り」と題した随想を、ネット上の友人知人に送り出している。直接には数百人、ある会社のHPにも掲載されているからそれを入れるとどれほどの数の方がお読みになっているか。

殆どの皆さんは、義理でお付き合いくださっているのだろう。「面白かった」と律儀に感想を送ってくださる方も何人かいらっしゃるが、折りに触れて色々聞いて見ると、どうも圧倒的多数に共通する評は、「言い回しが難しい」、「漢字が読めない」である。

てやんでぇ!まともな日本人ならこれくらい読めなくてどうする!
内心でそう思っても、それじゃぁ実も蓋も無いから、暫らく前からちょっと馴染みが無かろうと思う漢字には全てルビをふる事にした。
それでも、相変わらず「難しい」と云われる。我が拙文の読者の脳裏には、どうもそれが最早先入主として刷り込まれてしまったものらしい。

日本の教育の不備が色々云われているが、数学や理科ならともかくも、我らが国語だぜ。
日本語能力の低下には、国を滅ぼしかねない危険があるでしょうに。


先の大戦中、ドイツ軍に占領されたフランスのアルザス地方では、フランス語の使用を禁止された。それでも愛国の情止みがたく、「国を守るためには母国語たるフランス語を守ろう」と、厳しい監視下をくぐって密かにフランス語の授業を続けた、というのは、学生時代どこかで教わった話だ。国語というものはそういうものなのだ。

そういうものに鈍感だと、同じく先の大戦中に満州や朝鮮で現地の人々に銃剣を以って日本語の使用を強制した事がどれほどの悪感情を醸成したかなど、金輪際分かりはしない。

そしたら昨日優秀な(と誤解していた)我が部下が、「煩瑣って漢字が読めなかったので、読み易いように煩雑に直しておきました。」だと。何ということか!煩瑣と煩雑じゃ、意味が全然違うでしょうに!人の書いた文章を、読めないバカさ加減を棚に上げて勝手に変えるな!

オノマトペ(Onomatopoeia)という言葉がある。これは「擬音語」といって、「犬がワンワン吠える。」とか、「ボチャンと水に落ちる」のカタカナの部分のように、音を表す言葉である。大体こういう言葉は言語能力の発展過程では初期に習得するものである。つまりは言葉としては甚だ幼稚なのだ。

ところが、最近の所謂「新造語」として流行るのは、オノマトペそのものではないが、殆どそれに近いものばかりだ。「チョー」とか「マジ」などの発想はオノマトペの水準である。

それだけでも僕などにとっては耳障りなのに、最近はe-メールでの絵文字の氾濫だ。笑顔や汗かき顔、お辞儀など、文字というよりはもう立派な言葉になっている。ASCII文字を使ってよくもこう色々発想できるものだ、と感心してしまうが、これも一種のオノマトペ的造語法だと思う。
そしたら最近のケータイメールでは、本来の漢字をタテヨコに分割して、同様にした前後の漢字との連携で別の字に読んだり、意味を変えたりとか、まるで判じ物の如く手が込んできた。これはもう一種の暗号の領域になる。
これは文章だけでなく例示したいが、オジサンとしてはとても覚えられないから無理だ。

どちらにしても、表意文字の背景に意味を汲み取るという日本語本来の発想とは全く逆で、擬音語ではなく「擬気分語」とか、「擬光景語」とも云うべき造語法である。

こういうものが蔓延していくと、日本語の語感なんてものは死語になってしまう。
オノマトペの類の符牒ばっかりが飛び交う事になる。






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最終更新日  2005.05.08 01:08:27
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