マックの文弊録

マックの文弊録

2005.05.11
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◇水曜日;旧暦四月四日 乙羊(きのと ひつじ) 長良川鵜飼開き

故郷の岐阜では今日から鵜飼が始まった。
岐阜市のやや北方を東西に流れる長良川では、これから10月まで、満月(と嵐で出水があったとき)の晩を除いて毎晩鵜飼が行われる。

長良川の鵜飼を司る人を鵜匠と呼ぶが、鵜匠は宮内庁の職員として、国家公務員なのだと以前に教わった事がある。つまり、鵜飼で獲れた鮎は時の皇への献上品であり、鵜匠は従って元来が宮廷の使用人なのだと。

鵜飼は、鵜の首根っこを、木の髄で拵えた紐で緩く締めあげ、その紐の先を鵜匠が持って船の上から操る。一人の鵜匠は十二羽の鵜を操るのだとか聞いた。この紐は絡み合ってキンクができるとプチッと切れるのだそうで、そんなにたくさんの鵜を操っても、紐が絡んで労働者たる鵜君が扼殺される心配はないのだと。

そして、鵜が鮎を見つけて飲み込むと、首の紐が邪魔してそこで留まる。それを吐き出させて獲物とすると言うわけだ。釣り針や銛などの「カナモノ」で傷をつける事がないから、やんごとなき辺りのお気に召したのだろうか。こうして獲れた鮎には鵜の「歯型」がついている。

今では鵜飼の獲物の鮎は民草も食べられるが、それでも高級料亭でしか巡り合う事は出来ないようだ。

「面白うてやがて哀しき鵜飼かな」という、有名な芭蕉の句を、「折角飲み込んだ鮎を取りあげられてしまって、人間には面白いけれど、鵜には哀しい」という意味だと思い込んでいたが、どうもそうではないらしい。一介の凡人としては、風雅の境地に向かうより、つい食い物を取り上げられる鵜君に感情移入してしまう。

長良川の鵜飼の歴史は相当古いもののようだ。かの信長も、金華山頂の岐阜城の天主から、眼下の篝火の舞を見下ろしていたのかもしれない。





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最終更新日  2005.05.12 16:07:00
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