マックの文弊録

マックの文弊録

2005.08.18
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◇木曜日:旧暦七月十四日 甲戌(きのえ いぬ) 伝教大師誕生会
夏の黒部-2
今頃黒部のダムでは写真のように放水が行われていることだろう。山間奥地のダムには、青い空や真っ白な水を背景に、アキアカネが早々と飛び回っているかもしれない。数年前、「雲隠れ温泉に行ってくる!」と周囲を煙に巻いて、高みに高みにと逃れた時の写真である。乳幼児期のベンチャー企業のリーダーとしては、今年も「雲隠れ温泉」には行けそうも無い。まぁ、後暫くは我慢の子だ。

このブログは十八日の分だが、実際には二十日の午後に書いている。
実は今の今まである事情で、ブログ上は「死んでいた」からだ。

ある事情とは、痛風である。
僕はどうも尿酸値が高い体質のようで、三十歳代より「石持ち」(尿路系結石)である。それが進化してとうとう痛風持ちにまで出世してしまった。結石も痛風も、その痛みは人類の三大疼痛といわれる。もう一つはお産の時の、所謂「生みの苦しみ」だが、僕がこれを経験するのは相当困難だろうと思われるので、とりあえずは「男子の疼痛の二冠王」とはなったわけだ。名誉なことである。

何らかの理由で体に尿酸が余剰に蓄積され、それがナトリウムと結びついて尿酸結晶を生じる。この結晶が関節に沈積していくと、異常を感じた体内指令によって白血球が増産される。この白血球が尿酸結晶を攻撃する際に、炎症が起き疼痛が生じる。これが痛風の本質である。
尿酸の過剰生産の理由は、主に食生活とストレスであるとされる。「王者の病」とか「贅沢病」といわれるのはそのせいだ。だから、平穏に暮らしてストレスの無い人や、戦時中などで食生活が貧困な時には痛風も殆ど発症例を見ないのだ。
わが国では、1960年以降に痛風患者が急増しているとの事だ。これは高度成長が始まった時期と一致する。つまりは、この頃わが国には飽食とストレスが都市生活者に共通の問題となったということだ。



どうだ!と威張ったって、痛いのは本当に痛い。
足先の関節で細い鋭利な尿酸結晶に白血球が群がってチクチク戦っている光景を想像すると、もっと痛い。「風が吹いても痛い」という風説はオーバーだけど、要するに栄えある人類としての二足歩行は全く不可能になる。歩けないのは当たり前。横になって寝ていても、寝返りも自由に出来なくなる。先ずは体を動かそうとする際に、色々考えて慎重に痛む関節に繋がる筋肉を動かさないように配慮しなければならない。配慮したってそれだけのことで、個別の筋肉を自在に操ることなど出来ないのだから、要するに動作がのろくなるだけで、ちょっとでも動くたびに「イテテ、イテテ!」と悲鳴を上げることになる。
要するに同じ哺乳類でも南米のナマケモノのレベルまで「退化」してしまうというわけだ。

こうしてみると普段何気無く体を動かしていることが、全身各所の筋肉の実に精妙な連携の結果だということが分かる。何しろほんの数十センチの距離にあるものが、到達できない永遠の遠きに去ってしまうのだ。階段などは一の谷の ひよどりごえ の坂どころではない。考えるだけで戦意喪失する断崖絶壁に等しい。
一時的にしろ身体障害者の境遇に身を置かれてしまうと、バリアフリーというものがどういうもので無ければならないか、健常者の常識が如何に偏狭なもので有り得るかが分かってくる。

そうはいっても先ずは我が身である、とにかく痛くて車を以ってしても病院に行けない。医者に行くには救急車を呼ぶより手立ては無いが、痛みはこれほどひどくても、意識も頭脳もはっきりしているから、サイレンを鳴らしながら運ばれるのは大いに羞恥心を刺激し、憚られる。

患部には消炎鎮痛の湿布を貼って固定し、鎮痛剤(アスピリン系のものは痛風発作には逆効果になるそうだ)を服用し、極力水を飲んで「流通」を活発にした。(尤も、人間は「開放系」なので、「流通」に際しては「鵯越の逆落とし」の敢行を余儀なくされる。)それで、今日二十日になって何とか小康を得て、こうして椅子に座ってキーボード操作を出来るようになった。
僕の場合、痛風発作は予兆が出てから1~2日でピークが生じ、その後余韻を残しながら数日で痛みが消えていくようである。

月曜日の午前中には行きつけの医者に行って、尿酸値を下げる薬を処方してもらうつもりだ。その頃には二足歩行の初心者の水準にまでは「再進化」出来ていると思う。

長期的には無論尿酸値を下げることが大事になる。これに関しては抜本的且つ長期的な対策を講じねばなるまい。まぁ。とりあえずはお酒を控えなさい、ということなのだろうけれど。





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最終更新日  2005.08.20 16:05:12
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