マックの文弊録

マックの文弊録

2005.11.17
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◇木曜日:旧暦十月十六日 乙巳; 奈良談山神社例祭、将棋の日、スエズ運河開通
天神峠から一ノ倉

今 日は将棋の日だそうだ。
少し前の事になるが、十一月十一日は「鮭の日」だったそうだ。しかし、それがどうしてかというと魚篇の右側に十一を二つ縦に書くと、「鮭」という字になるからだというからくだらない。それじゃァ「鮭の日」じゃなくて、「鮭という字の日」じゃないか、とか「魚篇」はどうなっちゃったんだとか、よけいなチャチを入れたくなる。

将棋の日にはちゃんと由来があって、八代将軍徳川吉宗が、この日を「お城将棋の日」として江戸城内で御前対局を催した事に因むのだそうだ。吉宗さんは、色々な改革を実行に移し、徳川幕府中興の祖といわれる実力者だが、一方で中々粋なところがあった。幕府の直轄であった上野の山の他に、庶民が春の花見を楽しめるようにと、王子の飛鳥山に桜を植えて解放したのは吉宗さんだった。
しかし、十一月十七日といっても、これはやはり旧暦の事であったから、現在はそれを新暦の日付にこじつけているのだ。

そ れにしても、このところ急に寒くなった。それで昨日からとうとう薄手のコートを出してきた。
昨晩は、満月であった。冷え切った空気の中、蒼ざめた月を中天に眺めて家路を辿っていると、ついこの間まで汗を流しながら歩き回っていたのが嘘のようだ。昨晩も風の無い夜であったから、今朝も又寒かった。

風 も無く晴れた夜は放射冷却現象が起きて寒いといわれる。しかし、放射冷却というのは温度差のあるところでは常に普遍的な現象だから、「放射冷却現象のせいで寒い」というのは妙な話だ。むしろ、「放射冷却が妨げられなかったせいで寒い」というのが正しい。

物理にはシュテファン・ボルツマンの法則というのがあって、それによれば、ある温度の物体からは絶対温度の四乗に比例するエネルギーが放射されている。


夕べの雰囲気は、「月を踏んで散歩す、青煙地を這ひ 月光林に砕く」であった。これは国木田独歩の「武蔵野」 (1896年)に出てくる光景だ。これが現在の渋谷の辺りの光景の描写だというから、そう思うと随分の時の隔たりを感じる。今の渋谷には「青煙地を這う」などという開けた視界は望むべくも無い。

「青 煙地を這う」光景は、今の時期結構な田舎にまで行かないとお目にかかれない。刈り入れの終わった田圃の広がりに、藁を焼く薄青い煙がゆっくり横に流れていく風景は、初冬の風物詩である。これは夜の間に冷えた空気の層の下に、陽光で温められた地面からの温かい空気が置かれる、所謂「逆転層」が出来るからだ。
しかし、田舎の風物詩は、東京など都会に来ると公害の警報になってしまうのである。





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最終更新日  2005.11.17 13:29:08
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