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2007年04月14日
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灯を落とした室内は春の闇に沈んでいた。静寂が辺り一面に覆いつくし立ち昇る白い煙草の煙が闇の彼方に消えていく。

やがて短くなった煙草を灰皿に押し付けて消すと秀二は叉直ぐ新たに口に咥えた煙草に火をつけた。

赤い火が闇にひとつ浮かび上がる。秀二は煙を深く胸に吸い込んだ。頭がグラリ揺らいだ感じがした。

「・・・なにもかも落ち着いたら・・みんなに会いたいな~・・・」

秀二の耳奥で木原の言った溜息ともつかぬ言葉が幾度も繰り返し押し寄せて来る。

「・・・なにもかも落ち着いたら・・みんなに会いたいな~・・・」

昨日、木原の奥さんから電話がかかってきて木原が体調を崩して入院したと聞いた。それも思ったより様態は悪く楽観を許さないとの事であった。

・・・そう云えば・・以前電話で話した時に何か深い心配事を抱えているとか言っていた気がするが・・・

秀二は木原がふと呟いた言葉を反芻していた。そしてゆっくりと胸の奥深くに仕舞われていた青春時代のアルバムを開いていた。



「は は は 俺らここまで麻雀にはまっていたら結婚して子供が生まれてきたらきっと生まれた子供は雀牌を握って生まれてくるんとちゃうか」

「ぎょろの子は白牌」「え!なんでや」「 ふ ふ ふ」

「それやったら鈴木は中牌やな~」「えっちやからな~」「そうかな~」

「へらへらとこは満牌か」「きっとそうやで」

「俺とこは七竹牌や こうちょっと斜めに曲がった指触りがたまらんしなあ~」

みんな悪友達はそれぞれ納まる所に納まって結婚して子供が出来たけれど、それぞれの子供達は雀牌を持って生まれてきた事は無かった。

そうだ無い金を出し合って揃って悪所通いをした事もあったかな・・・純情と云おうか真剣な顔をして赤や青のネオンの下を恐る恐る潜ったっけ。

・・・木原とこの子は我々の中で一番小さく確か下の子はまだ今年中学に入学したばかりの筈だし心配だろうな~・・・・

秀二は物思いに耽り、煙草を深く吸い込んだ。春闇にひとつ赤く火が灯った。秀二の胸の内に囁きが繰り返される。

「・・・なにもかも落ち着いたら・・みんなに会いたいな~・・・」





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最終更新日  2007年04月15日 08時46分39秒
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