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2009年01月31日
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ふ~しょう♪ふ~めつ♪ふ~くう~♪ふ~じょう♪~読経は続いている。焼香の煙が静かに漂い流れてくる。

私の実家は阿波の国、土佐との国境で、海底で堆積し褶曲された山々がある所では隆起しある所では黒潮が流れる青い海へと没した海辺に開けたのどかな土地にある。宗派は真言、それで弘法大師いわれの話しがここかしこに言い伝えられている。

大師さんが休み、杖をついたところ、そこから清水が湧いてきたとか、ちょうど大石が落ちてきた時、弁当に使っていた箸を地面に突き刺すと忽ち箸は大木の杉の木になって大石の落下をくい止めたとか、小さな頃から法事がある度に先代のおじゅっさんから先祖の逸話を聞くと伴に大師さんにまつわる話しを数多く聞いてきた。

・・・ないし♪むろし♪やくむろしじん♪・・・遠い声を聞く様に清んだ先代のおじゅっさんの話し声が重なって聞こえてくる。

裏山に住む狸の話をしてくれた事や椎の大木の陰に潜む天狗が夜な夜な空を飛ぶ話しとか、そんな幾つかの話しの中にあって、ことさら不思議と胸の内にわだかまった話し「大きな声では言えないがね寺の裏山には終戦頃まで芥子の花が咲みだれていてね・・・」何か咲きみだれる見知らない花々が秘密めいて思い出されてくる。これは我が母校の校章となっているからだろうか?

焼香の匂いが一層強く漂い私はさらに静かにゆっくりと夢想の翼が開いていく様に感じられてきた。

月の青い光が降り注ぐ裏山に白い花びらの芥子の花が青白く濡れている。これは梶井基次郎が書いた『櫻の木の下に死体が埋まっている』より尚妖艶ではないだろうか?芥子の花の下には骨が埋まっているのに違い無いのでは。

空海さんはさすが博学やったんやな~と思ってしまう。
真言密教の片田舎の末寺に芥子の花が咲き乱れていたと言う事は日本各地の数多くの寺々では芥子が植えられ使われていたのではないだろうか?



薄暗い堂内に掲げられた曼荼羅に昇る火と立ち込める煙、それと伴に強い香を焚けば祈りを捧げる人々みんな酩酊しないわけが無いのではないだろうか。人々の眼前に現れるのは極楽浄土だったのではないだろうか。

夢想する私の耳には空海さんが唐国から船で帰るさい墨染めの衣の袖の下には身毒(インド)渡りの芥子坊主を忍ばせた・・・・サラサラと芥子坊主の中の乾いた実の音が聞こえてくる。そしてその音はサラサラ サラサラと木霊し流れ来て私の脳内の神経節の一部にエンドルフィン、エンケファリンとして反応し点滅している様に感じられてくる。
それはランニングハイのような高揚なのだろうか?いやいやそれは今まさに私の脳内で芥子坊主から滲み出した黒く変色した果汁が翼を開ける様に広がっている高揚なのではないだろうか?

・・・ぎゃあ~てい♪ぎゃあ~てい♪はらさそ~うぎゃあ~てい♪・・・・読経は尚も続いている。

ああ・・・またもや何処か人知れない廃寺の裏山でひっそりと月の光に濡れながら青白く咲く芥子の花と唄う様に揺れる芥子坊主の姿が私の頭の中で映像として結びだしてきた。





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最終更新日  2009年01月31日 18時11分05秒
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