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2017.06.05
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カテゴリ: 文楽
文楽5月公演の事が尻切れトンボになったままで、気になっていました。


の幕が開くと、舞台には、大夫部はもとより、三味線部、人形部の錚々たる技芸員さんが並び、圧巻。
わたしの大好きな千歳大夫さんも、呂大夫さんの同期とのことで後列に座っていらっしゃいました。
呂大夫さんは4代呂大夫さんのお孫さんとのことで、歌舞伎で言うなら御曹司ですが、世襲制をとらない文楽らしく太夫さんになるつもりはなかったようです。
都立小石川高校を卒業され東大を目指していらした(って、なんという優秀さ!)のを、おじい様の弟子にあたる5代目呂大夫さんに、おじい様の通夜の席で大夫になれって勧められ、一転。
竹本春子大夫さんに入門されたのは20歳になってからだったそうです。(以上ネット情報でした。)
先日書いた玉也さんと夫とのご縁も、もちろん文楽の外の世界でのことでしたし、文楽は、この道一筋という方がもちろん大部分なのでしょうが、寄り道されたり、わき道からコースチェンジしてはいられたりする方が意外と多い世界のようです。
さすが庶民派の芸能、文楽の面目躍如という気もしたりします。


そして、いよいよ、多分呂大夫さんが語りたいと選ばれた4段目です。
先ずは
義太夫は、呂勢太夫さんです。
こちらは若手というか中堅のホープで、低い音から高い音までよく通る、大変艶っぽいお声の大夫さんです。
寺入りというのは、寺子屋への入門の事のようで、師匠が出かけて不在のため悪たれたちがやりたい放題の大騒ぎをしているとある寺子屋に、母に連れられた男の子がやってきます。
このお母さん、勘十郎さんが遣っていましたので、松王丸の奥さん、お千代さんらしく、ということは子どもは松王丸の息子ということのようです。
ほとんどを若手の黒子さんが一人で人形を遣う、寺子屋の子どもたちの悪童振りがメチャ可笑しく、中で吉田玉翔さんが遣う「よだれくり」という男の子が、まるで我が息子の子ども時代を見るようで、また、玉翔さんがこのよだれくりを本当に可愛いと思って遣っていらっしゃる様子なのがまたおかしくて、この可笑しさ賑やかさは、その分だけ大きな悲劇の前触れなのだろうと思いながらもたっぷり楽しませていただきました。
母親は、師匠が留守と分かると、隣村に用事があると、子どもを預けて出かけて行きました。
そしていよいよ 寺子屋の段 です。
前を呂大夫さんが、切(後半)を、切場語りの咲大夫さんが語ります。

それは、今日の外出が、失脚後も菅丞相を目の敵にしている藤原時平の家来、春藤玄蕃からの呼び出しで、菅丞相の家臣だった源蔵が菅丞相の一子菅秀才を匿っているという噂を聞き、その首を差し出せと言ってきたからなのでした。
菅秀才の顔を知っている松王丸が首の検分役ということで、身代わりの首を差し出そうにも、近郷から集まってきている子どもでは流石に無理と思って落胆していましたが、小太郎を見て、松王丸の子と知らない源蔵は、小太郎の首ならごまかせるかも知れないと考えたのです。
しかも、母親のお千代さんが戻って来たときは、彼女も。。。とまで言っています。
なんてことでしょうを30回ぐらい言いたくなるような筋立てですが、鬼でも蛇でもない源蔵夫婦、苦しみながらも心を決めます。
そこに松王丸と玄蕃がやってきます。

あの、「頭が悪くて根性も悪い」松王丸とは別人のよう。風格すら漂います。
お人形は同じなのに、どう違うんだろう?と頭を傾げましたが、そこは玉男さんの技としか言えないのでしょう。
松王丸が村の子どもたち全員の顔を改めて、菅秀才ではないことを確かめてから帰らせ、さあ、菅秀才の首を差し出せと迫ると、源蔵は奥に引っ込み小太郎の首をとって、松王丸に見せます。
松王丸は、その顔を見て菅秀才に間違いないと言い切り、体調が悪いため暇をもらったと言って去って行きます。
この場面、本当に胸に迫りました。
お人形が演技してるのですよ、もう、ホントに。
玄蕃は首を受け取り意気揚々と引き揚げました。
そこに母親が戻ってきます。
源蔵が刀を抜いて切りかかると、母親は身を逃れ、小太郎は立派に身代わりの役を果たしたかと問うのです。
源蔵と妻の戸浪が驚いていると、そこにまた松王丸が姿を現し、菅丞相の歌「梅は飛び桜は枯るる世の中に何とて松のつれなかるらん」という歌を口にして、菅丞相の恩に報いようと、息子の小太郎を菅秀才の身代わりにさせるため今日入門させたのだと語るのです。
息子の死に涙しながらも、菅丞相の御台所と菅秀才を対面させ、源蔵夫婦に二人を託します。
そして、夫婦は、君主の子を弔う振りで白装束となり、我が子の亡骸をかごに載せさせ、去って行きます。

おわり!

現代の感覚しか持たないわたしたちには、色々と物申したい展開もありましたが、それでもやはりついつい引き込まれ、目頭が熱くなる場面も多々あり、さすがに文楽の三大名作と言われる作品だけはあると心から思った舞台でした。
ちなみに、三大のあと二つは、義経千本桜と仮名手本忠臣蔵だそうです。





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最終更新日  2017.06.05 09:53:11
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