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2024.03.02
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カテゴリ: 昔話



 正月は数日家で過ごすが、父は船長だったため船員たちが年初の挨拶に来る。当然酒を振る舞うことになり、大宴会が続く。したがって、家族でゆっくりと正月を過ごすことなどはなかった。僕と妹は奥の部屋で息を潜めて正月を過ごすことが常だった。船員たちが酔って騒ぐ声が僕たちを怯えさせた。まあ、そのかわり大勢の船員たちがお年玉をくれるので、不幸せというほどでもなかったのだが。
 数日の正月休みが終わり、再び出港する際には港まで見送りに連れて行かれた。冬場の日本海は大抵荒れている。父の船は、湾内だと言うのに波の間に隠れて見えなくなり、次の瞬間には波間から飛び出てくる。僕にはあの大きな船が波の間に入って見えなくなることが信じられなかった。僕は臆病だったので、そのような父の出港を見るたびに身が震えた。だから、長い間、父とまともに話すことができなかった。ただ恐ろしかったのである。





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最終更新日  2024.03.02 22:01:18
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