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10年以上前の話しです。コンサルタント会社でアシスタントをやっていた時の話。
日本の一流電気メーカーからヘッドハンティングか何かで転職してきた方がいました。そのコンサルタント会社にしては平均年齢より結構上になる40歳の人でした。新入社員ということで彼を交えて何人かでランチにも一緒に行きました。そこで知ったのが、
「幼稚園の時、親の仕事の都合で渡米。でもウチの家系の方針で3代目としてどうしてもK幼稚舎に進まなければならなかった。だからアメリカで暮らしながら(通いもしない)K幼稚舎に特別籍を置かせてもらって卒業ということにしたんだ」
という彼からの話。コンサルタントの人は皆素晴らしい経歴を持った人ばかりだけど、この人はお家柄迄違うのだなということがこの話だけでわかりました。気さくで自分のことをオープンに話す人だなと思いました。そんなちょっとおしゃべりな彼を苦笑するコンサルタントもいました。
そして何週間かして「同じチームの同僚を週末我家に招待したい」と言って私も招待されました。
自宅は港区のセレブと言われる地域にありました。バスも通る交通量の激しい所でしたが2LDKのマンション。奥様と二人暮らしでした。私も「セレブなお宅拝見」気分で伺うのを楽しみにしてました。そしたら期待を裏切らない話とパフォーマンスの連続でした。。
*奥様も子供時代中東に暮らしていた帰国子女
*親と一緒にこのマンションを購入。上の階に住んでいるが、以前は神宮前に住んでいた。今では更生中の航空会社に勤めていた(この時はそうなるなんて想像だにしてなかったけど)。北海道にわざわざ作ったワインセラーを所有している。
*各部屋の中を案内してくれた。と言っても2LDKで特別広くはなく普通の2LDK。寝室に皆で入る。奥様が「このぬいぐるみは私が子供の頃から一緒なの。だから今もないとダメなの」と古びた布製の縫いぐるみがベッドにあって、小さくてその存在に誰も気が付かなかったけど奥様自ら説明してくれた。
*続いて書斎へ。壁一面の書棚は特注の作りつけとのこと。
*リビングの飾りテーブルには夫婦や家族の写真がフレームに入って沢山並べられていた。
*ワインが好きな夫婦で、恵比寿ガーデンプレイスにある高級ワインショップが月一で見繕ってワインを配達してもらってる。
*趣味をアピール。「僕のトマトパスタは格別」と会社にいる時から言っていて「そんなに言うなら」と食べさせてもらった。でも、輸入もののお洒落なパッケージのパスタにトマトソースをかけただけのシンプルパスタだった。茹でたてあつあつはもちろん美味しいけどパスタとトマトの味がしただけのものだった。和菓子も職人さんの如く本格的に作るそう。
なんだか女性ファッション誌の「読者マダムのライフスタイル紹介」のページ出てくるのと全く同じようなアピールでちょっと滑稽だなと思いつつ、もてなしてくれた寿司、料理、ワイン、高級ケーキ屋さんのデザートを頂きました。全然こちらから聞かなくても、話の流れになってなくても彼を中心に奥様も上記のような話を展開してまして、招待された庶民的な私達は「フーム、フーム」と笑顔で聞いておりました。
そして、楽しい時間もそろそろお開きかなという時彼が出してきて見せたのが、
アメリカのパスポート
だった。中身も開いてみせた。自分はアメリカ国籍も持っているということを見せたかったようだ。それまでの「ライフスタイル紹介」では自慢めいてはいたけど楽しませて頂いたし、悪い方に取るのは「妬み」でしかないと思っていたけど、最後にパスポート見せたのには引いてしまった。だって親のことや海外で暮らしていたことを聞いて十分、セレブ(当時、セレブという和製英語はまだ使われてなかった)ということが皆に伝わってるのに、パスポートなんてプライベートなものわざわざ見せるか?それに彼の年齢は40歳。いつも知り合った人達にこんな話をしてきたのかなぁと思うと逆に何かコンプレックスを抱えてるのかなとも思ってしまった。
毎週教会に通っている熱心なクリスチャンで、卒業した国立大学でエンジニアリングを後輩に教えてるとのこと。素晴らしい経歴の持ち主で立派だと十分印象付けられるのに、自分のことを小出しにせずに、一日のうちに話してしまうのは返って安っぽい印象を与えてしまうのでは?
と滑稽に感じてしまった私は翌日、他のアシスタント達とランチを食べに行った時、「○○さん家どうだった?」と興味深げに聞かれ、ワイドショーみたいにレポートしちゃいました。
後から聞いた話ですが、転職して来たのも何か訳ありだったようです。。。。。。