迷鴎亭 ★BAKERY FESTE★

迷鴎亭 ★BAKERY FESTE★

2005.12.17
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スティーブン・スピルバーグ監督、1997年。


1839年、スペイン船アミスタッド号は黒人奴隷を積んでキューバを出発。航海中に奴隷たちがつながれていた鎖をはずし、反乱を起こす。二人を残してスペイン人乗組員は殺され、黒人たちは船をアフリカへ向けるよう命じる。
しかし、イギリス軍艦に拿捕され、黒人たちはアメリカで裁判にかけられる。

なぜこの映画を見ようと思ったのかすっかり忘れていて、最初のほうを見てあまり興味を感じなかったが、実はこれが「裁判モノ」であることがわかって、法廷の場面が始まると俄然面白くなった。
法廷物、好きなのだ。作り手の意図がはっきり見えるし、演出と共犯関係になって正義とか知恵とか人権とかのイデオロギーにのっかって感動すればいいのでわかりやすい。

裁判の争点は「黒人たちは誰のものなのか」ということだった。当時の法によると、合法的に売買できるのはプランテーションで生まれた奴隷の子だけだった。アミスタッド号に乗っていた黒人たちがアフリカから拉致されてきたのなら、彼らは誰の所有物でもなく、所有権を主張している乗組員たちは犯罪者である。
また、スペイン女王はアミスタッド号がスペイン国家のものであるという理由で、同船を拿捕したイギリス海軍は拿捕した船の積荷に対する権利を根拠に、それぞれ所有権を主張する。
そこに、再選のことしか考えていない現アメリカ大統領と、清廉潔白すぎていまいち人気のなかった元大統領との対立(奴隷制存続派と廃止派の対立がそれにぴったり重なる)、そしてその対立が内戦の危機をはらんでいることを憂慮する人々の思惑がからみ、小さな奴隷密輸船をめぐる裁判は、合衆国の運命を左右する大事件になっていく。


いったんは黒人たちが裁判で勝利するが、奴隷制擁護派である支持者たちを失いたくない大統領が、最高裁判所に上訴してしまう。そこで弁護人側の助っ人として、元大統領ジョン・クインシー・アダムズ(アンソニー・ホプキンス)が法廷に登場する。

結果は言うまでもないが、決してすべてめでたく終わるわけではない。自由人であることが認められてアフリカに帰った黒人たちは、自分の村が略奪され家族も行方不明であることを知る。奴隷として密売されてしまったのだろう。
そして、誰もがそのあとの合衆国の運命を知っている。内戦は避けられなかったのだ。

黒人のリーダー格であるシンケを演じたジャイモン・ハンスゥは、存在するだけですごい威厳がある。この映画の印象はシンケ役の俳優に左右されるだろうから、とても良い配役だと思う。
アンソニー・ホプキンスは、これを見たあとではクインシー・アダムズはこの人でしかありえない!と思うほど、見事に役を作っていた。やっぱりすごい。目力がある。オーラがある。

重いテーマだが、よくぞ作ってくれたと思った。この映画がなかったら、私はアミスタッド号事件のことを知らずにいたのだから。スピルバーグのように才能があって最高のスタッフを集める力のある監督が、このような作品を作りつづけていってくれるといいと思う。





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Last updated  2005.12.18 15:30:33
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