まいど、俺や!
昨日な、特に何の記念日でもないのに――
おかんが「今日はすき焼きにしよか」って言い出してん。
え、マジで?
給料日でもボーナスでもなくて?
その瞬間、なんか胸がじんわりした。
何でもない日に特別を出せる、これが本物の贅沢や。
すき焼きの音は、幸せの音や
鉄鍋がジューッて鳴る音。
ネギが焦げて香りが広がる。
砂糖と醤油の甘じょっぱい匂い。
それだけで、なんか“ええ家族”してる気がする。
実際うちは無職とおかんと親父の三人暮らしやけど、
あの瞬間だけはどこの高級料亭にも負けへん空気やった。
おかんの「お肉ちょっと控えめ」宣言
「今日は特別やからちょっとええ肉買ってきたで」
そう言いながら、おかんが笑う。
でもそのあと、
「まぁ、量は控えめやけどな」って付け足すのがリアル。
分かるで。
すき焼きって、贅沢の中に“節約の知恵”が光る料理やもんな。
肉より野菜でかさ増しして、
春菊が主役みたいな顔してるあたりが好きや。
親父のひとこと
防大卒の元鬼軍曹の親父が、
すき焼きの鍋を前にしてポツリ。
「戦地では、肉の匂いなんて夢の話やった。」
……おい、急に重い話やめてくれ。
けどその言葉で、すき焼きの味がいっそう深くなる。
人は贅沢のときこそ、
“過去の足りなかった時間”を思い出すもんなんやな。
卵を溶く、それだけで満たされる
すき焼きの儀式、それが“卵とき”。
箸でクルクル回して、トロッとした黄色ができたら準備完了。
肉をくぐらせて、ひと口。
……はい、天国。
この瞬間だけは、無職も社長も関係ない。
全員“生きててよかった選手権”の優勝候補や。
途中で豆腐の主張が強くなる
最初は肉の影に隠れてるけど、
後半になると、豆腐が味しゅんで主役みたいな顔する。
「地味でも、時間が味を作るんや」
――まるで人生やな。
……って言ったら、おかんに「語るな」って言われた。
はい、すんません。
最後のうどんは反則や
みんな腹いっぱいになった頃、
おかんが「うどん入れるで〜」言うてくる。
あの魔法のひとこと。
もう満腹やのに、なぜか食える。
甘辛い出汁を吸ったうどんが、またうまい。
“もう終わりやな”って思ったところからの延長戦。
これが人生の粋や。
食後の沈黙が、家族のBGM
食べ終わったあと、
親父は腕組みして黙ってテレビ。
おかんは台所で「洗いもん多いわ〜」ってぼやく。
俺は満腹でソファに沈みながら、
「ああ、これが平和やな」って思った。
派手な幸せやなくても、
こういう夜が続くことが一番の贅沢や。
まとめ
何でもない日のすき焼きには、
“日常を大切にする力”がある。
誰かのために準備して、
一緒に笑って、
最後に「うまかったな」で終わる。
それだけで、人生ってもう十分やと思う。
肉の香に
家族の声が
とけてゆく
へそくりって、へそに隠してたん? 2026.07.31
三文芝居ってなんや? 2026.07.30
道草食うって、草食べてたん? 2026.07.29