41歳ニートと俺とおかんと親父の話

41歳ニートと俺とおかんと親父の話

PR

×

プロフィール

シン・オマサンダー

シン・オマサンダー

カレンダー

お気に入りブログ

まだ登録されていません

コメント新着

saladatomato @ Re:「馬の耳に念仏」←馬は悪くないやん(08/08) (*'▽')おはようございます。 …

キーワードサーチ

▼キーワード検索

フリーページ

2025.12.08
XML
カテゴリ: 日常



――シャッター音に宿る、人の記憶とぬくもり


まいど、俺や。
この前、駅前の商店街を歩いとったら、
ふと見つけたんや――“古のカメラ屋さん”。
高校にカメラ屋のやつおったなーとか思いながら、
看板の色あせ具合がもうええ味出しててな、
ショーケースには、フィルムカメラやレンズがずらっと並んどる。
今どきのスマホにはない“重みと匂い”が、そこにあった。
ので、入ってみた。用もないのに。
時間が止まったような店の空気
ドアを開けた瞬間、
カラン…と鳴る鈴の音。
それだけで昭和が流れ込んでくる感じやった。
店主は白髪まじりのじいちゃん。
分厚い眼鏡越しに俺を見て、
「珍しいなぁ、若い子がフィルムに興味持つなんて」って笑う。
“若い子”言われたの、久しぶりや(笑)
デジタルにない“時間を待つ技術”
そのじいちゃんが言うてた。
「今の写真は“すぐ見れる”けど、昔は“待つ”のが楽しみやった。」
現像に出して、数日後に受け取る。
その間に、どんな写真が撮れたかワクワクする。
それがもう一つの“作品の時間”やったんやと。
いまはAIが勝手に補正してくれるけど、
あの頃の“ぼやけた一枚”にも、ちゃんと物語があったんやろな。
“直す”ことが仕事って、かっこええ
「この子(カメラ)も、よう頑張っとるやろ」
って言いながら、じいちゃんが古いNikonを手に取る。
中のギアの油差しながら、まるで心臓の鼓動を聴いとるみたいやった。
壊れたら捨てる、やなくて、直して延命させる。
それがこの人の“技”であり、“愛情”や。
防大卒の親父がよう言うてた。
「技術は、モノを動かす力やなくて、人の心を動かす力や」
――ほんまその通りやと思った。
フィルムの巻き戻し音が“記憶のスイッチ”
俺が「フィルムってまだあるんですか?」って聞いたら、
じいちゃんはニヤッとして言うた。
「まだあるで。なくなったら、ワシが困るわ」って。
そのあと、古いカメラを手に取って、
“カシャッ…ウィーーー”ってフィルムを巻き戻す音を聞かせてくれた。
あの音、なんか胸にくる。
時間を巻き戻してるのは、カメラやなくて“記憶”のほうやったんかもしれん。


写真に写るのは「光」やなく「心」
現像された写真を見せてもらった。
色あせた街角、子どもたちの笑顔、祭りの夜のぼやけた光。
全部が“その瞬間しかない世界”。
スマホの連写にはない“呼吸”が写っとった。
じいちゃんがボソッと言うた。
「写真ってな、“写心”って書いてもええんやで。」
あぁ、この人はほんまに“時間を扱う職人”やと思った。
店の隅にあった時計が止まってた
でも、じいちゃんはそれを直さへん。
理由を聞いたら、
「この時計が止まった日が、嫁さんが亡くなった日やねん」って。
“止めること”にも意味がある――
そう教えられた気がした。
時間を巻き戻す人が、
ちゃんと“止める勇気”も持っとる。
それがほんまの職人やな。
人は、技術で時間を超える
帰り際、じいちゃんが言うた。
「ええカメラってな、人を“撮る”んやなくて、“寄り添う”んや。」
あの店を出た瞬間、
街の音がやけに現実的に聞こえた。
時代は変わっても、
人の手で生まれる“ぬくもりの技術”は、消えへん。
カメラ屋のじいちゃんがやってるんは、
時間を巻き戻す仕事やけど、
ほんまは“心を前に進める仕事”なんやと思った。




俳句で締め
巻き戻す
記憶の中で
人が笑う





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2025.12.08 08:00:08
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: