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小説「ゲノムと体験が織りなす記憶」 第 15 話
皆さん、こんばんは。
突然「書け」という言葉が頭に浮かんできました。まるで命令するような意思を感じて・・・では書き始めます。
小説「ゲノムと体験が織りなす記憶」 第 15 話
そろそろ、全員が食べ終えたようだ。
「では、ぼちぼち話を再開したいと思います」
「すまん、ケンたちがまだなんだよ。私たちの弁当の空き箱を
処分してくれているのでね、もう少し待ってもらえないだろうか」
「分かりました・・・噂をすれば、戻ってきましたね。彼らが席に着いたら始めましょうか」
「はい、そうしてください」
マリは当然俺の隣りにいて、ケンさんをはじめ若い人達も席に着くとリョウの方を注視している。自分たちの尊敬する長が聴きたがる話をする者だから、それだけだろうか・・・。
「私は二十歳で努めていた仕事を辞めて東京に来たのですが、動機は、夢の中で「東京へ行け」という命令を受けたからです。
頭はそれほど狂っているとは思えないのですが、その命令には逆らえない力が込められていまして・・・恐らくは、我が家の初代「小林又右衛門」ではないかと・・・確証はありません。直感でした。
上京してみて少しづつ確信に変わっていくのですが・・・何しろ高一の時以来の上京でしたが、今度は何かが違っていました。
何だか懐かしいのですよ。たった二度目の事なのに、すごく懐かしい。私だけじゃなく、似たような経験をお持ちの方がいらっしゃると思うのですが?」
「うん、それは私にもある。例えば戦後九州を訪れた際に強くそれを感じたのだよ」
俺はうなづいた。
(青木さんは叔父との出会いの時を、思い出されているのだろう)
「それからの事をお話しする前に、触れておこうと思うのですが、私の所は本家と二軒の分家が「小林」の名前を京都のある方から頂きました。あと数軒あった分家は元の名前を名乗っています。
我々3軒に名前を下さったのはある公家の血を引いたお方で、その方がある時、五代将軍徳川綱吉公に招待されまして江戸城に参りました。その時私どもの初代がそのお方の警護役として京都から江戸城までの往き帰り、片時もそばを離れることなく主人を守り通しました。
因みに初代は大地主の長男でしたが剣術が好きで代を次男に譲り大阪で剣術道場に通い、免許皆伝の腕前だったとか、それで 雇われたのでしょう。
「これは私も以前は知らなかったのですが、綱吉公は生類憐みの令だけでなく、儒学も奨励していて、ご自分で大名や公家などを集めて講義のようなこともされていたとか、それでうちの初代がお仕えしていた公家さんにもお声がかかったのだろうということでした」
「それでは、君のご先祖は歴史上の人物をその目で見たわけだ。私の先祖は徳川譜代の旗本だったから、何かしら縁を感じるねぇ」
リョウは嬉し気に頷いた。自分でも何かしらの縁を青木氏に感じていたからだ。
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