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「あの梅の木は」 第 4 話
「どうかした?」
普段はそっとしといてくれるマスターだが、
「すみません、ちょっと不思議なことがあって・・・」
香織が彼の右手をつかみ強めに引いた。裕也が振り返る。
「この話、マスター、いや、誰にしても信じないわよ。
私たちだって訳がわかんないことでしょ・・・」
裕也は、少しだけ引きつっているであろう顔に笑みを浮かべて
マスターに言った。
「・・・あ、なんでもないんです。すいません」
「あ、そう?・・それじゃあ・・・」
マスターはそう言うと、親指と人差し指を大きく縦に広げておいて
両方の指の間隔を縮めてくっつけた。
(もう少し声を落として)というジェスチャーだろう。
裕也は頷いてからちょこんと頭を下げた。
コーヒーをもう一口すすって裕也が言う。
「俺、思うんだけど・・ 高二の秋のあれ
裕也に言われて香織も思い出していた。
あの日 、新宿で映画を観た帰り道、京王線笹塚駅で電車を降りて、
甲州街道をわたり十号通り商店街に入ったと同時に・・・
2人と、顔も着てる物も、年恰好も瓜二つなカップルがやってきた。
後で聞いたら裕也もそうだったと知ったのは、香織の胸の鼓動が
高まり、周囲の音は聞こえず、目をそらそうとしても大きく見開いた目が、
勝手に相手を凝視することを、コントロール出来なかった。
向こうの2人も香織たちと同じ状態にある。
不思議だが、多分間違いないだろう
それはお互いのカップルがすれ違うまで続いたのである。
時間にしてどのくらいだったのだろうか?
すれ違った瞬間に、『やっと終わった・・・』と感じたのは一時的な
感覚?それとも願望だったのか?
香織は、裕也が制止する間もなくこれから甲州街道を渡って笹塚駅に
向かおうとする 2 人を振り返った。
驚いた!向こうも女性だけが振り返っていたのだ!
2 人の女性は、はっとして踵を返し2度と振り返らずその場を
去ったのだ・・・もうひとつ不思議なのが、あの出来事が、特に
振り返ったあの瞬間が、今も・・・続いている、そんな感覚が残って
いること・・・
「あのことと、この梅の木が、何か関係あるっていうの?」
裕也は答えず、視線をコーヒーカップに移し、次いで窓の外「中野
通り」に移して珈琲を一口すすった。
「不思議なことが重なれば、関連付けても不思議はない、違うか?」
更新、早くて不思議、ですか?
本人は不思議に思っています。(^^?
今回もよろしくお願いします。
「あの梅の木は」 第13話 2026.05.14 コメント(2)
「あの梅の木は」 第12話 2026.05.04 コメント(4)
「あの梅の木は」 第11話 2026.04.29 コメント(6)