マックス爺のエッセイ風日記

マックス爺のエッセイ風日記

2010.07.11
XML



 民宿は意外に小ざっぱりした部屋だった。冬季に訪れるスキー客が目当てとか。テレビを観ながらレースの準備にかかる。持って来たランシャツは夏向きの「へそ出し」でメッシュの目が粗い。ゼッケンナンバーは1枚で計測用のタグもない簡単なもの。ハーフパンツ、帽子、靴下、首に巻くパルプ繊維、小さなタオルハンカチ。それが今回の全て。今回テーピングは省略。、膝が気がかりだが、何とか最後まで持ってくれることを信じるしかない。

 クロワッサンや八朔をつまみに、焼酎の水割りを飲んでいたが、その後何の音沙汰もない。台所へ行って声を掛けると出て来たのは奥様。ウルトラランナーにとって食事は不可欠であることを説明すると、「最近法事があったため、大会本部には食事が出せないと伝えてある」との返事。ここは元来四千円の素泊まりが基本なのだとか。

 事情は分かったが、それで納得する訳には行かない。先ず翌朝のお握り弁当を作ってもらうことで交渉成立。そして肝心の夕食は、近所の居酒屋へ案内してもらうことで決定。前払いした9千円の中から5千円を返却するよう、E藤さんから連絡があったとか。でもその予約金が届かず、奥さんも困っていたようだ。

 居酒屋は民宿から車で10分ほどのところ。お客さんは地元の顔見知りばかりで、店内の雰囲気は決して悪くない。その時民宿のご主人が私に馬刺しは食べるかと尋ねた。一瞬奇異な感じがしたが、OKと返事。色々迷惑をかけたのでご主人の奢りとか。内心「へえ!」と驚く、案外純朴な土地柄なのだろう。早速生ビールと馬刺しを注文。

 九州の馬刺しは「霜降り」だが、ここ会津では昔から「赤身」が主流の由。量も多く生きが良い。久しぶりの馬刺しに舌鼓を打つ。次に豚肉の生姜焼き定食と地酒の冷酒を注文。この地酒が最高で、お客さんの実家とか。生姜焼きも美味しく、レース前夜の夕食としては何の申し分もなかった。土地の人達は皆素朴で良い人ばかりだ。

 酔った勢いで、今回の経緯を話す。中には町の観光課の人もいた。主催者のE藤さんは決して人柄が悪いわけではない。ただし実質的に1人で事務局を引きうけているため、600人を超えるエントリーともなれば、細部まで連絡が行き届かなくなるのだ。まさか翌日のレース中に、その心配が現実のものになることをこの時はまだ知らない。



 真っ暗な風呂場へ行くと「入浴は11時まで」の札。既に清掃は終わったようだ。湯船に入らなければ良いだろうと解釈し体を洗う。再び布団に倒れ込み、次に目が覚めたのが3時過ぎ。5千円を返金しに来たご主人が、出発は3時半と告げる。ありゃりゃこれは大変。大急ぎでレースの準備にかかる。洗顔すると目が真っ赤。まだ酔っ払っていた。

 トイレを済ませ「お握り弁当」を受け取る。お握り4個、塩鮭、大根の味噌漬け、卵焼きが入った弁当と、バナナ2本、乳酸飲料も入っての充実ぶり。これは嬉しい誤算だった。マイクロバスは暗闇の道路をホテルへと向かった。深夜目覚めた時は大雨で最悪のレースを覚悟したのだが、今はそれも止んでいる。

 途中まで来た時、100kmに出る人がもう1人いることにご主人が気づいた。万事がこの調子だが、もう一回戻っても十分間に合うと余裕。お世話になったお礼を言い、受付会場へ向かった。ここはスタート前の最終点呼がないから気楽。早速心づくしの朝食をパクつく。余ったお握り、おかずなどをリュックにしまう。これがレース後、とても重要な役割を果たすことになる。<続く>






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2010.07.12 20:46:55 コメント(10) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: