一緒に歩こう

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白い倍音の魔法使い

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白い倍音@ そうだったんですね ごちゃまぜアイスさんへ  ブログ閉鎖さ…

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December 30, 2008
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テーマ: 感じたこと(2902)
カテゴリ: カテゴリ未分類
 年の瀬、母は副作用もなく元気です。

 この時期の病院はとても静かだ。
人が行き来するのは、一階のロビーや売店、お見舞い客の人たち。
 普段は多くの人たちが溢れる待合や廊下は、清掃の人たちが黙々と掃除をしている。
 ジュースを買いに行ったついでに、外来の階をぐるっと歩いた。灯りが漏れてる部屋はあるけれど、薄暗い長い廊下では誰にも会わない。
 誰もいない薄暗い待合で一人ジュースを飲んだ。

 今年は年末年始に帰宅する患者数が例年に比べると少ないそうだ。
それでも病室は、きれいにシーツ交換された空のベッドが目立つ。
 すぐ中の様子がわかるようにと、少し開けられた個室。


 帰りのバスの中、白い杖をついた人がバスに乗り込む。
空いている席がないか確かめるようにゆっくりと、私が座っている席の傍にやってくる。
 「どうぞここ座ってください」
すぐ、彼に席を譲れた自分がうれしく、心が温かくなる。
 偶然その人と、降りるバス停が同じになった。
杖で道を辿りながら歩き始める彼。
しばらく様子を見ていたけれど、「気をつけて帰ってください」と心の中でつぶやいて先に歩き始めた。
 歩きながら「家はどこですか、家までお送りしましょうか」と言えばよかったか、それはお節介か、と思いが巡る。足を止めて、彼が来るかどうか待った、来ない・・
 どうしよう、一旦家の方に歩き始めたけれど、やっぱりと振り向いて、走って彼を探しに戻った。
 どこにも見当たらない、杖で歩く彼の足がそれほど速いとは思えないのに・・試されたように冷たい雨が降ってきた。

 今年がもうすぐ終わろうとしている。


 今までの私は、いつも自分の想いを人に伝えることに一生懸命だった。
 言い換えれば、自分の思い通りの人生にしようとするのに一生懸命だった。

 だから、たくさんの人たちの気持ちにすごく鈍感だった。
見えてないことが多すぎた。


 でも自分の思い通りにしようとする人生なんて、実はとても窮屈で苦しく寂しい人生だ。

 来年は、出来れば今から、相手に与えることが出来る人生でありたいと思う。
あの個室でうめいていた男性に近寄り、手を握ってあげれるように、
白い杖をついた彼に「一緒に歩きましょうか」と言えれるように、

 喉が渇いて水を飲もうとしているときに、
同じように喉が渇いている人が目の前にいたならば、
先ずその人に「水を飲みませんか」と
自分のコップを差し出せるような人に、
少しでも近づけるような、
そんな人に
なりたいと、思う。

















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Last updated  December 31, 2008 12:27:27 PM
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