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2007年04月09日
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青春の汗と涙

 古い柱時計が静寂を破り、鉦を5回打ち鳴らした。午前5時、それまで私は寝付かれず、一晩中、寝床の中で冴えた眼をパチパチしていた。仕方なく私は睡眠をあきらめて起きだし、味噌汁を作ることにした。

 ワカメ、豆腐、ネギ、それに鶏卵を3個かき混ぜて入れ、沸騰させて適量の味噌を入れてかき混ぜればOKとなる。そして、ゴマ油少々と、ダシの素を入れてやると 「お母さんの味噌汁よりおいしい~~~」と高一の息子よりおほめのお言葉を頂くのである。

 寝付かれなかった理由は、そのひょろ長い体格の息子が、こともあろうに第5回OTV杯小中高柔道大会に、選手として出場するためであった。

 身長175cm、体重54キロというという体格はどう考えても頼りなく、弱々しい印象を受ける。しかも繊細な神経の持ち主で、気の弱い面もあり、柔道という、荒々しい格闘技などの出来るはずがない、思っていたのである。

 試合場で無残にも畳みに叩きつけられ、顔を歪める息子の哀れな姿が見えるようで、不安と絶望に襲われるのであった。

 しかし、親馬鹿は時として冷静に見つめねばならない現実を、幻想に変えてしまうもので、強烈な危惧の念に拘束されながらも、痩身長躯で、弱々しいはずの息子が、姿三四郎のように相手をバッタバッタと投げ飛ばして見事に優勝、次のオリンピックの金メダルは確実で、百年に一人出るか出ないかの名選手として、琉球新報に載ってしまったらどうしよう~~、などと馬鹿げた空想をしたりする。

 カロリーを計算しての朝食の準備が出来ると、心を静めるために、まだ薄暗い庭に出た。天空の重みに圧縮されて、その濃度を強めたような闇が地上に広がっていた。東空には三日月が、清浄な薄明かりの中にあった。私は思わず合掌して祈った。


 「息子が負けても勝ちますように!」



 「柔道とは勝つためのものではない。負けて強くなるためのものだ。勝つと思うな、思えば負けよ・・・」

 息子は素直にうなずいた。

 「どうせ、負けるから、応援になど来ないでください・・・」

 息子はそういって出かけた。私は親ばかながら責任を感じた。それでじっとしておれず、試合場の興南高校の体育館へとこっそり行ったのである。

 会場は青春の強い熱気に充満していた。私はなるべく目立たないように会場の隅っこに立って観戦した。

 待つこと十数分、ついに、やせた息子が出た来たのである。

「はじめ!」

 主審が叫ぶ。息子の相手は筋骨隆々の大男。こんな大男なら、私でも勝てない、と思った。ところが、ひょろ長い息子は怖じける様子は微塵も見せず、敢然と、そして、敏捷に動き回ったのである。

 汗が飛び、気合が怒号となって会場に響き渡る。私は意外だった。あの気の弱いとばかり思っていた息子が、これだけやるとは、これは現実か幻か、・・・いや、夢ではない、現実だ。

 電光石火の早業で、息子の体がくるりと回り、相手の懐深くに潜り込んだ。次の瞬間、巨漢の相手が空中で一回転して畳みに叩きつけられたのである。

「一本!」

 主審の右手が上がった。なんと、息子の一本背負いが見事に決まったのだ。私はただ呆然、これは夢か幻か、思わず頬っぺたをつねったら痛かったのであります。



 私は顔を被った手の平の隙間から、息子を見た。意外にもそこには、晴れ晴れとした息子の姿があった。それは、あまりにもまぶしいものであった。その時、息子がすでに私の膝元から離れていることを悟った。

 青春とは勝利の栄光が目標ではないと思う。いかに苦しく、いかに納得出来ない社会であっても、たくましく努力することが大切だと思う。汗と涙に汚れた時、青春の光は鋭く未来を照射する。息子よ、頑張れ~~~!





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最終更新日  2007年04月09日 05時52分01秒 コメントを書く


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