M-BLstory

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January 28, 2025
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テーマ: 自作BL小説(22)
カテゴリ: BL小説
戦国の世は、常に刃と血が支配する混沌の時代だった。だが、その中にも美しくも儚い絆が生まれることがあった。

天下統一を目指し、日夜戦い続ける若き将軍・浅井直隆(あさいなおたか)は、その鋭い知略と強い信念で数々の戦を勝ち抜いてきた。その姿は兵たちの心を掴み、彼を慕う者は後を絶たなかった。その中でも、特に直隆の傍を離れず仕える美しき部下、瀬戸光春(せとみつはる)は、誰もが認める特別な存在だった。

光春はかつて敵方の家臣だったが、ある戦で捕虜となり、その美貌と知性を直隆に見出され仕えることとなった。長い黒髪が風に舞うその姿は、まるで戦場に舞い降りた月のようだと噂されるほどだった。彼の存在は、戦場においても直隆の心を冷静に保つ拠り所となっていた。

ある夏の夜。月明かりが戦場を照らし、風が涼やかに吹き抜ける中、直隆は光春を自らの天幕へと呼び寄せた。最近の戦の進展について話し合うためだったが、直隆の胸には別の思いが渦巻いていた。
「光春、こちらへ。」
直隆の声に応じ、光春は静かに天幕へ入った。その凛とした佇まいに、直隆の胸は自然と高鳴る。
「最近の戦、よく支えてくれたな。お前がいるおかげで、私は冷静でいられる。」
光春は小さく頷き、控えめに口を開いた。
「私など、ただ浅井様の意志を支えるだけの存在です。それ以上でも、それ以下でもありません。」

「光春、お前は私にとって、それだけの存在ではない。」
直隆は一歩前に進み、光春の肩に手を置いた。その視線が絡み合い、静寂が二人の間に流れる。光春はその目を見返しながら、胸の奥に隠していた感情を押し殺すように瞼を閉じた。
「浅井様、それ以上は…」
だが、光春の言葉は途切れる。直隆の手が彼の頬に触れ、熱を帯びたその感触に、彼は自分の心が高鳴るのを止められなかった。
「もう隠さなくていい。」

直隆の囁きが光春の耳元に届いた瞬間、彼の防御は崩れ去った。二人の唇が重なり、互いの心が一つになる刹那、これまで抱えていた不安や葛藤が消え去っていく。

その夜、二人は戦乱の世において、ほんのひとときの平穏と幸福を見つけた。そして、彼らの絆は戦場で再び試されることになる。だが、それはまた別の物語である。





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Last updated  January 28, 2025 11:54:02 PM
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