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「最新版 投資戦略の発想法」
著者は悪名高い木村剛ですが、なかなかに優れた投資本です。
最近の投資家は知らないと思いますが、今から10年と少し前、不良債権が騒がれまくった時に『倒産リスト30』というのリークという形で世に出しまして、その中に入った企業の株価が売り叩かれまくったという事がありました。リストに入っていたのは大手ゼネコンその他諸々の有利子負債比率の極端に高い企業ばかりでした。しかし、『倒産リスト30』の中にはその後倒産した企業は殆どありませんでした。
売り叩かれていたこれら企業の株を二束三文で買い叩いたのは、いわゆるハゲタカ。その為、木村剛は暴利を貪ったハゲタカの手先という評判もあります。
この木村剛ですが、今では廃刊になった『フィナンシャルタイムズ』という雑誌の監督もしていました。「1億円を目指す金融セレブのための金融雑誌」と銘打ったこの雑誌は大変よく出来ていた本でした。今でも僕の本棚に綺麗に陳列されています。僕はこの雑誌以上の金融雑誌を読んだ事がありません。
前置きが長くなりましたが、この本はタイトルそのまま投資戦略の発想法を書いた本です。
2005年の発売当時この本はそこそこ売れましたが、当時から今に至るまでこの本を絶賛している個人投資家を僕は見たことがありません。
ビギナー向けですが、8位として紹介したいと思います。
※この投資戦略の発想法は、度々改訂されて内容が加筆修正されているようですが、僕が紹介するのは2005年度のものです。
この本は個人投資家に向けて書かれている本で、株式投資の心構えについて書かれています。しかし、経済や金融の基礎についてもしっかり丁寧に説明されており、単に株式投資のみについて書かれている投資本とは一線を画しています。
400ページを超える厚い本ですが分かり易くスラスラ読める、それでいて投資に必要な心構えについての理解が深まる大変優れた本です。
この本に書かれている内容は侮れません。ポートフォリオ理論など、理解しているようでなかなか理解しきれていない投資家もいるでしょう。
お金の働きという基礎的な考え方についても、機能、概念、などから本質的に説明しています。
資本主義経済を突き詰めると金利に辿り着きますが、この本は金利に対する考え方も懇切丁寧に記述されています。基礎的な景気との結びつき以外にも、お金の量との関係、物価との関係、それらを総合して考えることが出来るようにキホンのキから全体的に説明されています。
「経済理論が想定している純粋な温室よりも、経済は複雑かつ乱暴なのです」
と著者は言います。
整然と基本的なルールに則り金利や株価や物価や経済が決まる訳ではありません。
色々な反応を示すので、考え方は人それぞれです。さまざまな思惑を持った投資家の先読みの違いにも影響します。 何が正解かという考え方は通用しない
のです。
頭が固い人にはいまさら読んでも無駄でしょうが、投資を始めて間もない頃にこの本を読むとその後の投資人生に良い影響を与えること請け合いだ、と僕は思います。
この本には『資本主義社会との付き合い方』という項目があり、なかなか為になる事が書かれています。
・資本主義経済は拡大再生産を要求するシステム
・売上からコストを引いたものが利益だが、そのコストは誰かの売上になっている
・資本主義経済においては供給と需要が拡大しながら均衡していく
・人間の限りない欲望が資本主義経済システムとの相乗効果をもたらす
・経済全体が常にプラスにならないと資本主義経済は成り立たない
などの 基本的なこと
は一通り抑えておいた方が良いと思います。
その他でも、この本は 『自分のバランスシートを作ろう』
と、なかなか面白いことが書いてあります。
自分のバランスシートすら管理できない人間は投資で成功することなど出来ない、とも書かれています。
なるほどそういう考え方もあるか、と感心してしまいました。まぁ実際はそんな事はないんですが、バランスシートのイメージ化は大切ですね。