星の髪飾り

星の髪飾り

2007/06/11
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ふさわしい言葉が見つからない。 温もりとか、そういう平凡を超えた思いを持て余す。 

六畳一間のむさくるしい部屋の真ん中には小さなテーブルがあり、昨夜寮の仲間と呑んだ

ビールの空き缶や、灰皿から溢れた吸殻が散らかっている。

部屋は未だ男くさい。 それでも目覚めのいい朝だった。 きっと鳴る・・・携帯電話に

目を落とす。 

薄雲色の鉄筋コンクリートの建物に規則正しく並んだ小ぶりの窓、同じ色のカーテン、

エアコンの室外機。 何かの収容所みたいな箱の中でもう2年も暮らしている。

窓を思い切り開けられる日曜日、一週間分の空気の入れ替えと簡単な掃除をはじめる。

洗濯は一階にならんだ共同洗濯機を使い、布団も乾燥機に入れる。

 一人になった父と墓参りを済ませ、高崎に戻って二週間。 それまでの平凡な寮生活が

少し変わった。



 「田口 優」・・・・一回、二回、三回、ベルは鳴った。 本当は待っていたのに

直ぐには出たくない。 こんな気取りも、あの人は見抜いているようで怖い。

僕の手がまた汗ばんできた。

「おはよう! 目覚ましコールになってしまった? 」

「起きていたよ。 今、窓を開けた。 暑いね」

「夏だもん。 耐熱ガラスの中にコモっていれば? 私は仕事、じゃあ」

 凄く短い間に僕等はこんな会話をしていた。 おまけにあの人の話も凄く短い。 

大阪万博の数年後に生れた僕よりずっと年上だということや、比較的緑の多い東京の

どこかの花屋さんで働いていること以外、僕はあの人の多くを知らない。 

 天から降ってきたかぐや姫は川が流れるように凄く自然に僕と関わりはじめた。

だからと言って軽い人だとも、頭の回線がズレた人だとも思ったことはない。

いや、思わせない。 あの人の魔力かもしれないし、あの人は本当にかぐや姫かもしれない。


                      photo by poohさん





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最終更新日  2007/06/11 02:02:06 PM コメント(10) | コメントを書く


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