星の髪飾り

星の髪飾り

2007/09/07
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訪れた静寂を見はからって優が現われた。 だから僕は、それを「眠り」と自覚する。

 大きなコーナー出窓からは白い月が覗き込み、夜景は仄かな灯りだけを選んで瞬く。

ベッドに腰掛け、髪をほどいた優は、簪(かんざし)をスタンドの下に置くと、しばらく

窓辺のサザンクロスを見つめていた。 

青白かった優の顔は、月の光を浴びながら少しずつ赤みを帯びていく。 

首筋から胸元へと僕の視線が流れる。 バスローブが交差する辺りでシャワーが残した

雫が光る。 けれど、めちゃめちゃになる手前を、夢はわきまえていた。

「こ、この簪は? 」

 僕はベッドから起き上がり、その簪を手にした。

「これはね、大切な人から頂いたの。 あそこで・・・」

 優は平然と月を指差した。 

「月? やっぱりこれは夢だね、残念だけど・・・」

「浩樹・・・」

「ん?」

「癒してくれる? とても疲れているの」

 その誘惑は、妖艶過ぎて僕を冷静に戻した。

「優は勝手だな。 『抱くって、抱きしめたいから入る抱くならいいよね・・・』

そう言ったくせに。 男心を玩ぶのが優の快感? 焦らして焦らして、夢で果たすって何?」

 いつもは言葉が途切れ途切れになって、満たされずに諦めて、多くを語らなくなる僕の

習性が、いきなり弾けた。 



 優の呼吸が乱れはじめた。 

「ごめんね。 仕事を終えて、壊れそうで、それでここに来るしかなかった。 だから・・・」

「仕事って? 優、大丈夫?!」

 月が雲に覆われ、僕等が月の光を失うと、優は溶けるようにベットに体を馴染ませた。

「私・・・今、人を殺してきたの」

                photo by  pooh0529さん





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最終更新日  2007/09/07 07:41:52 PM コメント(6) | コメントを書く


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